『キングダム』に登場する秦王・嬴政(えいせい)の母、太后。
後宮の頂点に君臨する美女の悲しい過去は史実なの?
嫪毐(ろう あい)との未来を夢見た毐国の乱と子どもたちの運命は?
史実を辿りながら『キングダム』との違いを考察してみましょう。
【史実】趙姫が生まれたのは紀元前280年
彼女は趙の豪族の娘で、後に当時は商人であった呂不韋の妾となったが、秦の王子であった子楚(後の荘襄王)に乞われて、自分の妾であることを隠して、妃として差し出した。
紀元前259年に政(後の始皇帝)を生んだが、呂不韋との間に既に子を宿していたとも言われる。
(wikipediaより)
21歳の時に政を産んだんだね。
呂不韋と出会ったのはもっと前のこと。若かったんだなあ…
【漫画『キングダム』では?】
- 趙姫は『美姫(美姫)』『邯鄲の宝石』と呼ばれた
- 美姫は”一流舞姫”であった
美姫は「呂不韋という生涯を添い遂げる約束をした最愛の男がいた」と言っているので、『キングダム』では妾ではなく婚約者だったんだね
婚約者から「今日からお前が愛すのはこのお方だ」っていきなり言われるんだからショックだよね
紀元前259年2月に政が産まれます。
趙では子楚殺害を決定したために、呂不韋は子楚を秦へ逃がすために趙の役人に大金をつぎ込み買収して秦へ逃亡させ、政親子は趙の豪族にかくまうようにさせ、無事を計った。
紀元前251年、昭襄王が薨去し、安国君が孝文王となり、子楚が太子となった。(wikipediaより)
【史実】紀元前258年子楚が秦に帰国後政と二人趙に取り残される
(wikipediaより)
政がまだ1歳の時、子楚は秦に帰国してしまいます。趙姫22歳。
そして8年もの間、趙姫と政の二人は趙に取り残されます。
史実でも趙姫は22歳から30歳まで、母子2人で趙にいたんだね。
豪族にかくまわれ、と書いてあるから『キングダム』よりはましな暮らしができていたかもしれないけど。
呂不韋の妻になって幸せに暮らすはずだったのに、呂不韋の出世の道具として利用されて…やっぱり気の毒だね!
【漫画『キングダム』では?】
- 紀元前260年、秦は長平の戦いで趙に勝利しますが、秦軍総大将・白起は投降した40万人の兵を生き埋めにします。
- このため、美姫と政の親子は趙人の憎しみの対象となり、仕送りも途絶え、散々な苦労をする羽目に
- 紀元前251年、闇商人・紫夏の力を借りて秦へ脱出
紫夏が政の心を取り戻し、秦に送り届けるのは感動のエピソードだったな
【史実】紀元前247年には太后として後宮を統べる存在に
『史記』などによれば彼女は淫乱とされており、秦の丞相に就任していた呂不韋や偽宦官として後宮に入った嫪毐と密通し、嫪毐との間には2人の息子が生まれた。
ただし、これらは事実でないとも、当時の秦の道徳観では問題がない行為という説もある。
(wikipediaより)
趙姫は31歳で王后に、33歳で太后になったんだ。
【漫画『キングダム』では?】
- 千人を超える宮女のほとんどが国内外の名家の出で有力者の後ろ盾があること
- 無数の宦官を含め、その絶大な力を握っているのが太后であること
これらが具体的に描かれています。
呂不韋との密通を知った宮女の向が宦官に刺される事件がオリジナルで追加されています。
太后様は年をとらない…と話題になってるけど、17巻の時点では紀元前243年。
まだ37歳だからね。
33歳で夫の荘襄王と死に別れるのは若すぎだよ。
【史実】紀元前243~242年?嫪毐(ろうあい)との出会い
やがて、太后の後ろ盾をもとに次第に権勢を握り、紀元前239年に嫪毐は長信侯に封じられた。また、多くの食客を擁するようになり、呂不韋に次ぐ権勢を誇った。
また、嫪毐は河西太原(後の毐国)を封地とした。
(wikipediaより)
嫪毐との出会いの時期は記録がありません。しかし、紀元前239年には2人の息子も生まれていたということは、逆算すると紀元前241年には出会っていたことになります。
【漫画『キングダム』では?】
嫪毐初登場は『キングダム』24巻p.85。
これは紀元前242年ごろ、事実確認として語られます。
ですので紀元前243~242年の出来事でしょう。
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太后は嫪毐と出会った時37~38歳。
この後太后と嫪毐の間には2人の子どもが生まれます。
【史実】紀元前238年毐国の乱
- 毐国の建国に力を発揮した宦官・趙高は秦の歴史の後々まで暗躍する人間。要チェックです。
- 嫪毐は車裂きの刑に処せられますが、二人の子どもは政の配慮で命を助けられています。
この趙高、すでに太后の側に仕えていた宦官です。
毐国に来た呂不韋が「儂は変わらずそなたのことを愛している」と太后に言うんだけど、こんなに太后を苦しめておいて、まだ余計なことを言うか、と腹立たしかったよ!
【史実】紀元前228年太后死去
(wikipediaより・数え年での表記)
【漫画『キングダム』では?】
まだここまで物語が進んでいません。
太后にも心穏やかになれる日々が訪れますように。
『キングダム』史実での太后は?波乱万丈な嬴政の母の生涯!まとめ
『キングダム』での太后は、ほぼ史実に忠実に描かれていることがわかりました。
趙姫は呂不韋という男を選んでしまったばっかりに、大変な苦労と、王后・太后になるという想像もつかない栄華とを味わうことになってしまいました。
太后に仕え、最後は車裂きで死んでいく嫪毐は、太后の本当の理解者でもあったでしょう。
せめて太后の最後の日々は子どもたちと心穏やかに過ごせていると良いですね。
『キングダム』の続きに期待しましょう!
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