ジャケットは原作者 石塚真一さんの書下ろし。
10ページのブックレット付。BLUE GIANT SUPREMEのメンバーによる、ステージ前のショートストーリーが読めます。
ヨーロッパでのNUMBER FIVEのライブ、こんな感じなのでしょうか??
BLUE GIANT×BLUE NOTE CDの構成
Disc1はOriginals。ジャズプレイヤーによって書かれた曲が11曲集められています。
Disc2はStandards。ミュージカル等のために作曲家、作詞家によって書かれたヒット曲を演奏しているものです。
この分け方も興味深いですが、原作にこんなセリフがあります。
問題です。今まで何百何千、や、何万人がモンクやコルトレーンをカバーしてきました。
その中の、真の勝者は誰よ?
答えはセロニアス・モンクとジョン・コルトレーン。以上。
オリジナルの曲。残る曲が必要なんだわ。(沢辺雪祈)BLUE GIANT 7巻より
オリジナルに特別な価値を感じている主人公たちなので、あえてdiscを分けているのではないでしょうか。
ちなみにこのアルバムが制作されたのは2019年。
BLUE GIANTは2013~2016年、BLUE GIANT SUPREMEは2016~2020年ですから、SUPREMEの連載中だったんですね。
BLUE GIANT×BLUE NOTE コラボアルバムDisc1をレビュー
モーメンツ・ノーティス/ジョン・コルトレーン
 アルバム「ブルー・トレイン」(ジョン・コルトレーン)より。
BLUE GIANT1巻でガソリンスタンドで歌っていました。ガールフレンドの三輪さんに聴かせていたのもこの曲でした。
シスター・セイディ/ホレス・シルヴァー
 「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」(ホレス・シルヴァー)より
このアルバム、「ホレスの才能が100%出ている傑作」と大絶賛されている名作なのです。
ブルー・ミッチェルのトランペットも冴えています!
これは、「こんなカッコよくて楽しくなる曲を聴いてほしい!」という選曲でしょう。
ピアニスト、ホレス・シルヴァーのアルバムはほかにも「ホレス・シルヴァー・トリオ」「ソング・フォー・マイ・ファーザー」等 名作揃い!
ウィ・シックス/ポール・チェンバース
 「ウィムス・オブ・チェンバース」(ポール・チェンバース)より
ベーシスト、ポール・チェンバースが21歳という若さで完成させたBLUE NOTEデビュー作。
We Sixは、この6人!ということでしょう。
ポール・チェンバース ベース
ドナルド・バード トランペット
ジョン・コルトレーン テナーサックス
ケニー・バレル ギター
ホレス・シルヴァー ピアノ
フィリー・ジョー・ジョーンズ ドラム
BLUE GIANT SUPREMEではベーシストのハンナが大きな役割を果たしていました。
弓を使ったベースソロに注目してみては?
ウォーターメロン・マン/ハービー・ハンコック
「テイキン・オフ」(ハービー・ハンコック)より
このアルバムがピアニスト、ハービー・ハンコックのデビュー作。「スイカ売り」は爆発的に有名になりました。
ソロプレイでは、トランペットのフレディ・ハバード に続き、テナーサックスのデクスター・ゴードン、そしてハービーの三者三様の演奏が楽しめます。
デビュー作からこの完成度、全曲オリジナル、というのはBLUE GIANT SUPREMEが参考としたものかもしれません。
ザ・サイドワインダー/リー・モーガン
 「ザ・サイドワンダー」(リー・モーガン)より
トランペット奏者リー・モーガンの大ヒットアルバム。
独特のイントロ、ジャズ・ロック調の8ビート、新しいものを創り出していく勢いにあふれた曲です!
ラウンド・ミッドナイト/セロニアス・モンク
 「ジーニアス・オブ・モダン・ミュージックVol.1」(セロニアス・モンク)より
作曲に目覚めていく雪祈はもしかしたらこんな曲を書くのでは、なんて思ってしまいますね。
最も多く録音されたスタンダードとも言われ、その数は1,000回を超えるそうです。
ブルース・オン・ザ・コーナー/マッコイ・タイナー
 「ザ・リアル・マッコイ」(マッコイ・タイナー)より
ピアニスト、マッコイ・タイナーの曲はBLUE GIANT 5巻にもフライ・ウィズ・ザ・ウィンドが登場していました。
この「ブルース・オン・ザ・コーナー」の聴きどころは、なんといってもマッコイ・タイナーの洗練されたピアノに絡むジョー・ヘンダーソンのテナーサックス!
これを支えるエルヴィン・ジョーンズのドラムとロン・カーターのベース。
まさに、NUMBER FIVEってこんな音楽やってたんじゃないの?と思わせてくれる名演です。
バグズ・グルーヴ/ミルト・ジャクソン
 「ミルト・ジャクソン」(ミルト・ジャクソン)より
ビブラフォン奏者のミルト・ジャクソンの有名なブルース。
BLUE GIANTの中にときおり出てくるセッションのシーン、こういう曲が取り上げられることもしばしばだったのではないでしょうか。
特徴あるテーマ、各人が思い思いに繰り広げるアドリブプレイ、ビブラフォンの音色を楽しみたい1曲。
リカード・ボサノヴァ/ハンク・モブレー
 「ディッピン」(ハンク・モブレー)より
テナーサックス奏者ハンク・モブレーの代表曲。ラテン調のメロディをまったり歌うハンク・モブレーとリー・モーガンの鋭いトランペットの対比がカッコいい!
歌入りのものも良く聴くけれど、この演奏が原点なんだなあと改めて感じさせてくれる。
ミッドナイト・ブルー/ケニー・バレル
 「ミッドナイト・ブルー」(ケニー・バレル)より
ギタリスト、ケニー・バレルの曲。飾り気のないストレートアヘッドなブルース。
タイトル通り夜に聴いても、昼間に聴いても良さそう。
チーズ・ケイク/デクスター・ゴードン
 アルバム「GO」(デクスター・ゴードン)より
Disc1の最後を締めるのはやはりテナーサックスのキング、デクスター・ゴードン。
ひたすらデクスターのテナーサックスを聴きましょう!
力強く豊かな音色、引き込まれそうな音の渦。BLUE GIANTで大が「つながれ!」と願う自由な境地はこんな風景だったのかもしれないと思えてきます。
ピアノはソニー・クラーク。ベース、ブッチ・ウォーレン。ドラムはビリー・ヒギンス。
BLUE GIANT×BLUE NOTE コラボアルバムをレビュー!まとめ
ブルーノートレーベルで録音された膨大な音源の中から厳選された曲。
BLUE GIANTの世界を彩るのはこんな音楽なんだ!と教えてくれていますね。
ここで演奏されるのはこんな曲かな?とイメージを膨らませてから、もう一度漫画を読むと、登場人物たちのひたむきな汗に、より一層の共感を覚えるかもしれません。
この機会に、いいなと思ったミュージシャンの別のアルバムも聴かれてみてはいかがでしょうか?
|