伊坂幸太郎『マリアビートル』あらすじと感想|『ブレット・トレイン』原作

レディバグ『ブレット・トレイン』 映画

伊坂幸太郎著『マリアビートル』は、東北新幹線『はやて』の車内という密室の中で繰り広げられる●し屋たちのバトルと人間心理の駆け引きを描いた小説です。

ブラッド・ピット主演のハリウッド映画『ブレット・トレイン』の原作として今世界中の注目を集めています。

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伊坂幸太郎『マリアビートル』の登場人物

『マリアビートル』はその章の主人公が印鑑で表現される仕掛けになっています。
これは前作『グラスホッパー』、3作目の『AX』共通です。

木村雄一:元●し屋。息子・渉を王子に傷つけられ復讐のため東北新幹線に乗る。
木村渉:雄一の息子、6歳。デパートの屋上から落とされ意識不明の重体で入院中。
王子慧(おうじ・さとし):悪意を持って人を操る中学生。
蜜柑:檸檬とペアの●し屋。冷静で小説を読む。A型っぽい。
檸檬:蜜柑とペアの●し屋。『きかんしゃトーマス』のファン。B型
峰岸の息子:誘拐されていたところを蜜柑と檸檬が救出した。
七尾(天道虫):運の悪い●し屋。「トランクを運ぶだけ」の簡単な仕事を請け負った。
真莉亜:七尾に指示を送るハンドラー。
狼:新幹線に偶然乗り込んで来た七尾の知り合いの●し屋。
鈴木:塾講師。前作『グラスホッパー』の主人公。
槿(あさがお):押し屋。前作『グラスホッパー』の登場人物。
スズメバチ:毒を使う●し屋。男女二人いる。
木村茂:雄一の父。元●し屋。
木村晃子:雄一の母。元●し屋。

合計10人のプロの●し屋と、たちの悪いアマの●し屋が同じ新幹線の密室に乗り合わせているというシチュエーションです。

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伊坂幸太郎「マリアビートル」のあらすじ

木村雄一はアル中の元●し屋でしたが、王子という中学生に6歳の息子をデパートの屋上から突き落とされ、復讐を誓います。
犯人・王子が新幹線『はやて』の七号車に乗る、という情報を得て、銃を持って乗り込みます。

王子慧は悪意と人を操る面白さからこれまでも数件の●人を犯している中学生。
木村が得た情報は王子が故意に流したもので、王子はスタンガンを使って木村を縛り上げ、さらに「自分に何かあったら渉が●される手配がしてある」と木村を苦しめます

蜜柑と檸檬は『峰岸』に雇われ、誘拐されていた息子を救出し、用意した身代金も取り戻し、盛岡で峰岸に引き渡すのが仕事です。
ところが檸檬は身代金の入ったトランクを荷物置き場に置き去って来たというのです。
檸檬がトランクを探しに、蜜柑が峰岸からの電話に出るため席を外すと、その間に峰岸の息子は●されていたのです。しかもトランクもなくなっていました。

ガンダムくん
ガンダムくん

小説では出血もなく死因がわからないんだけど、映画では違ったね

七尾は真莉亜から「東京駅から新幹線に乗って、トランクを持って上野で降りるだけ」という簡単な仕事を請け負いますが、トランクを手に入れて上野駅で降りようとした途端、狼と鉢合わせします。狼は七尾に恨みを持っていたため、七尾を降車させずに痛めつけようとします。
運の悪い七尾は、うっかり狼を●してしまいます。

檸檬は目印のシールを貼ったトランクを探し車内を歩き回り、鈴木の持っている大きな荷物を怪しみますが、それはトランクではありませんでした。

檸檬はトランクを探していることを王子に知られてしまい、そのため逆方向に誘導されたり、トランクを隠されたりと翻弄されてしまいます。

七尾は狼の死体を座席に座らせ、奪ったトランクは偶然見つけた隠し場所にしまい一安心です。
その時、蜜柑と檸檬がこの新幹線に乗っているのを目撃してしまいます。

七尾と逆に運のよすぎる王子はトランクを発見し、面白半分に木村にトイレにこもってトランクのダイヤルロックを開けるよう命令します。
木村が開けてみると中にはカードと現金がギッシリ詰め込まれていました。

大宮駅で峰岸の部下がチェックしに来るのを、蜜柑はごまかして乗り切ろうとしますが、檸檬が息子の死体に手を振らせたため、怪しまれる羽目に。

蜜柑は七尾をトランクを盗んだ犯人に仕立てようと思いつき、トイレにに立ったその隙に、檸檬と七尾との『座ったままファイト』が始まります。
檸檬の隙をついて七尾は①アラームを仕掛け②ペットボトルに睡眠薬を仕込みます。

七尾は時間稼ぎのために傘やビニールロープの罠を仕掛けたり、①仕掛けたアラームを利用して監視を振り切ったり。その上で携帯電話を渡し、休戦して峰岸に対して手を組もうと相談します。
さらに、狼の目的がスズメバチ(女)を●すことだったことに気付きます。

七尾はスズメバチが車内販売の女であることに気付き、始末します。
とはいっても運の悪い七尾のこと、毒針を刺されてしまい、スズメバチの持っている解毒剤で何とか助かるのです。

木村は王子のもう一つの目的が自分に峰岸を●させることだと知ります。
木村はその後自分の銃で檸檬に撃たれ、トイレに放置されてしまいます。
檸檬は王子が悪であることを知り始末しようとしますが、この時②七尾が仕込んだ睡眠薬のため眠りに落ちてしまい、王子に●されてしまいます。

王子は木村の父に嫌がらせのつもりで電話をかけますが、木村の父は息子がトラブルに巻き込まれたのに気づき、妻とともに新幹線に乗り込みます。
木村の両親は『伝説の業者』と呼ばれた大物の●し屋だったのです!

仙台駅に峰岸の部下が確認のためにやって来ます。
蜜柑は七尾に息子の役をさせ、もう少しで成功するところだったのに、七尾の悪運のせいで偽のトランクの鍵が開いてしまい、ウソがばれてしまいます

蜜柑は王子が怪しいと気づきますが、幸運な王子が「助けて」と言ったまさにその瞬間七尾が現れ、反射的に蜜柑を●してしまいます

一関から乗ってきた木村の父は、渉に迫る悪を昔の仲間、繁に頼んで排除します。
繁が依頼したのが槿(あさがお)です。
さらに繁は、昏睡状態だった渉を「起こしてしまった」と謝るのでした。

盛岡駅のホームでは峰岸と部下たちが待ち構えています。

盛岡駅に着いた七尾は新幹線『こまち』に乗っていた真莉亜と会い、話しているうちにホームの峰岸が倒れるのが見えます。
車掌がもう一人のスズメバチだったようです。

真莉亜は、七尾を雇ったのはスズメバチで、スズメバチの標的が峰岸であったのではないかと推理を話します。

運の悪い七尾は、電車で手に入れた抽選券を持って、わざわざそのスーパーにやって来ました。
三等が当たり、段ボールにギッシリ入っていたのはミカンとレモンが半分ずつ!
やっぱり、蜜柑と檸檬は復活したのです。

 

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伊坂幸太郎「マリアビートル」王子はどうなる?

小説では延々と王子の悪が語られていきます。

真莉亜の情報によると『伝説の業者』と呼ばれていた木村の両親だったら、標的は生きたまま細かく切り刻んで仙台湾の魚のエサに…という可能性が高いようです。

自分の強運をあてにして大人を甘く見た中学生にはふさわしい最期かもしれません。

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伊坂幸太郎「マリアビートル」の感想

10人もの●し屋が仕事を繰り広げる『マリアビートル』はまさに新幹線に乗り込んだかのようなスピード感とスリルが味わえます。
ハリウッドがこの作品を映画化したいと考えるのも当然でしょう。

しかし物語の根底に流れつづける王子の悪意には悩まされますので、最後の最後でホッとして読み終えることができました。

登場人物の一人一人が魅力的で、読み終わったら前作『グラスホッパー』やこの後の作品『AX』でまた彼らに会いたくなること、間違いなしです。

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伊坂幸太郎『マリアビートル』伏線回収

序盤の蜜柑と檸檬の会話の中に伏線が仕込まれています。

1.蜜柑は自分が殺されそうになったら「檸檬に伝えてくれ。お前の探していた鍵は東京駅の荷物預り所にある、と」というようなことを犯人に伝言として残すと言っています。

→ しかし悪賢い王子はこの巧みな誘導になることはありませんでした。

2.また蜜柑は峰岸の息子を救出する際に敵から手に入れた『暴発拳銃』を持っています。
檸檬は「よく(暴発拳銃だということに)気付いたな」と感心しています。
 → 七尾が手に取ろうとした瞬間、七尾の腕に蛇が巻き付き、撃つことは出来ませんでした
もしかしたら七尾は今までの悪運と同じだけ、幸運もつかんでいるのかもしれません。
3.檸檬のポケットにはスーパーマーケットの抽選券。
これは蜜柑を介して七尾の手に渡ります。

→ 檸檬は七尾に「俺達は不死身だ。死んでも復活する」と話しています。

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伊坂幸太郎『マリアビートル』鈴木の正体は?

『マリアビートル』に登場する乗客・鈴木は『グラスホッパー』の主人公です。

前作では妻を●され、復讐のため闇の組織『令嬢』に潜入します。

そこで知り合った槿(あさがお)を組織に引き渡すことができませんでしたが、結果的には『令嬢』を壊滅させることに成功します。

鈴木は何者?と思われたら、ぜひ『グラスホッパー』を手に取ってみてください。

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伊坂幸太郎『マリアビートル』は3部作

『マリアビートル』は3作連作の中の2作目です。

1作目の『グラスホッパー』から読むことで、世界観のつながりと伏線をすべて楽しむことができるようになっていますよ!

『グラスホッパー』も日本で映画化されている人気作。意味は『バッタ』。

ハリウッド映画『ブレット・トレイン』原作『マリアビートル』。意味は『テントウムシ』

 三作目の『アックス(斧)』はカマキリの比喩。なつかしい仲間たちも顔を見せます。

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まとめ

伊坂幸太郎さんの『マリアビートル』のあらすじと感想をご紹介しました。

小説はぜひ3部作で楽しんでいただきたいです。

また、映画『ブレット・トレイン』も、『ブレット・トレイン・ユニヴァース』と呼びたくなるほどの全く異なる世界観を創り出すことに成功しています。

こちらもぜひ、映画館で楽しまれることをお勧めいたします。

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