『ブルージャイアント』ひどいと言われるのには理由があった!伏線はこれだ!

映画『ブルージャイアント』パンフレット ブルージャイアント

石塚真一先生のジャズ漫画『ブルージャイアント』が映画化され、あらためて話題になっています。

ネット上ではブルージャイアントを評して「ひどい」というワードが見られますが、その理由は何でしょうか。

漫画版『ブルージャイアント』から「ひどい」と言われる理由を探し、漫画と違うストーリーとなる映画版での扱いを検証していきます。

映画視聴済みを想定した【ネタバレあり】の箇所は見出しに表示します。

スポンサーリンク

『ブルージャイアント』ひどいと言われる理由【漫画ネタバレ】

「ひどい」と言われる理由は10巻で描かれる突然の事故です。

大も、雪祈も、そして玉田も、できることはすべてやり切ってようやく道が開けてきます。

  • ライブを重ねてファンが増えたこと
  • あこがれのソーブルーの出演が目前に迫っていること
  • CDリリースに向けレコード会社も動いてくれていること
  • ソーブルーの支配人がプレス関係にも声をかけ、メディアへの露出が増えそうなこと

これらの全てを失ってしまうのが、雪祈を襲った自動車事故でした。
これにより

  • ソーブルーへの出演は大と玉田、二人だけ
  • CD録音はムリ
  • メディアの取材も予定変更

さらに、雪祈の提案によってJASSの解散が決定してしまいます。

1巻から9巻までの努力が、どうして一瞬で水の泡になってしまうのか…

これが「ブルージャイアントはひどい」と言われる理由です。

スポンサーリンク

『ブルージャイアント』ひどい展開には理由がある

しかし、この展開には理由があります。

宮本大が世界一のジャズプレーヤーになるためには、世界に出なければならないからです。

JASSのソーブルーでの成功により、JASSのファンも増え日本での人気バンドになれた場合、順調にCDを出し、有名店での演奏やホールコンサートを行えるようになるでしょう。

そこから世界一になって行けるでしょうか?

では宮本大を日本から外に出すにはどうしたらよいか。

これには、事故の直前、雪祈が自分の作曲の才能に気づくくだりが伏線になっているかもしれません。

雪祈もようやく自分の壁を破り、ピアニストとしてこれから、というときに事故は残酷な展開です。
しかし、本当に自分がやりたいことが作曲なのだとしたら?
事故は分岐点なのかもしれません。

玉田も大学を留年することを親に相談していますが、退学していないのが伏線です。

初心者からソーブルーのステージに最速で駆け上がった玉田はJASSのメンバーだったから。
他のバンドに入ることは考えられないでしょう。
結局玉田は親が望んだように大学に戻り、企業に就職する人生を進むかもしれません。

大は由井に相談したうえでドイツに、そしてアメリカに旅立つことになります。

スポンサーリンク

『ブルージャイアント』ひどいと言われる理由【映画ネタバレ】

この後は映画のネタバレになりますので、未視聴の方はご注意ください。

映画では事故に遭った雪祈が、アンコールでステージに上がります。

ソーブルーのステージを二人でこなした大と玉田の前に、右腕はギブス、目には眼帯の雪祈が現れます。
アンコールの呼び声に答えてステージに上がるのは三人。
雪祈は無傷の左手だけでピアノを演奏します。

演奏を終え、雪祈は「JASSを解散する」と宣言するのです。

これは嬉しい。
漫画ファンも納得の展開なのではないでしょうか。

漫画と違う展開にするのなら、事故自体を無くすこともできるのに、そうしないということは、やはりJASSの解散ありきと考えれば納得できるのではないでしょうか。

スポンサーリンク

漫画『ブルージャイアント』あらすじ

ブルージャイアント1巻

宮本大は仙台の高校生。
中・高とバスケットを続けてきた大ですが、引退の時には体格や筋力に限界を感じます。
そんな大が自分の可能性を信じて打ち込んでいるもの、それがジャズ。

大は中3の時、ジャズを聴き始めた友人に誘われて、初めてジャズの生演奏を聴きに行きました。
その時ジャズの魅力に取りつかれ、独学でテナー・サックスを練習しているのです。

大『ブルージャイアント』1巻p.36

大『ブルージャイアント』1巻p.36

大の練習場は広瀬川の土手や道路のアンダーパス。
「オレは絶対に世界一のジャズプレーヤーになる。」と自分に言い聞かせながら、ジャズの音源をお手本に吹きまくります。

ジャズがスゲエ熱くてハゲしいから、だからジャズが好きなんだ

宮本大『ブルージャイアント』1巻

リードを購入するひろせ楽器の小熊店長に、大は「ボクはどうしたらジャズプレーヤーになれますか」と質問します。
小熊は大の音を聞いて、初めてのライブの店を紹介してくれます。

初めてのライブは「バード」という店でしたが、お客さんに「バカでかい音で迷惑」と怒られてしまいます。

ショックを受けた大は店長・川北が引きとめるのも聞かず、店を出ます。
しかし公園で涙を拭うと、大は力強くつぶやきます。「へでもねえや!」

大『ブルージャイアント』1巻

大『ブルージャイアント』1巻

大は父に高校卒業後の進路を聞かれて、「ジャズプレーヤーになりたい」と答えます。
父は即座に「やれよ。とことん、思い切りやれよ。」と背中を押してくれるのでした。

ブルージャイアント2巻

大が中2の時に告白した水泳部の三輪さんは、祭りの夜に大の練習を見に来てくれました。

その夜、三輪さんと歩く大は、路上演奏者に文句を言う男に「ヘタクソでナニが悪いんすか」と言います。これがのちにサックスの師匠となる由井との出会いです。

バードの川北さんが「会わせたい人がいる」と、由井を紹介してくれます。
アメリカのバークリー音大でジャズを学び、一流を目指して来た由井ですが、今は自分の才能に限界を感じ、仙台で音楽教室を開いています。

由井は大の音を聞いて才能を感じ、楽譜も読めなかった大に、音の出し方、スケール理論などスパルタ教育を始めます。

三輪さんとのデートで定禅寺ジャズフェスティバルに出かけた大は、会場で自分の楽器を取り出し吹き始めます。
すぐさま警備員に止められますが、その音を聞きつけたのはレコード会社の五十貝でした。

回想で、兄が大にサックスをプレゼントするエピソードが語られます。
大が10歳、兄13の時、母が亡くなり、父と兄妹、4人の生活が始まりました。
高校を卒業し就職した兄が、2年半前に買ってくれたのが大のサックスなのです。

 ブルージャイアント3巻

由井がバークリー時代に目指していたのが『ブルージャイアント』。
仙台に演奏に来た学友とのエピソードが語られます。

兄からサックスをもらった後、運指表をくれた音楽の岡崎先生。
あれから2年半。
今年の文化祭は大と岡崎先生でジャズの演奏をします!

川原で出会った犬、バーナムに捧げる曲を書き、初めての作曲が完成しました。

大の父はレッスン代を払いに由井を訪ねますが、レッスン代は要らない、と断られます。
由井は大に期待していることを話し、また大には「10年後ポルシェ」と出世払いでよいことを伝えます。

大みそかの夜、雪の中サックスを吹く大の足元を一匹の猫がまっすぐに歩いていきます。

なお、『ブルージャイアント』3巻のおまけマンガは上原ひろみさんです。

 ブルージャイアント4巻

由井は大をほかの人間とプレイさせるために「バード」に連れていきます。

大は川西に『あのオジサン』を呼んでほしいと頼み、ついにお客さんに届く演奏ができる自分に成長できたことを証明しました。

家族に「東京に行きたい」と打ち明け、閉店後のスーパーで初めて家族に演奏を聴かせます。
妹の彩香は「兄ちゃんはもう戻ってこないんだ」と涙を流すのでした。

卒業式も近づき、半年続いた由井のレッスンも終わりです。
由井は「お前はずっと、ずっとずっと、ジャズを好きでいろよ」という言葉を贈ります。

由井『ブルージャイアント』4巻

由井『ブルージャイアント』4巻

大、東京へ。
「数日置いてくれ」と突然玉田の家に転がり込みます。

大は墨田川大橋の下に練習場所をみつけ、すしざんまいでバイトを始め、さらに工事現場でバイトを始めますが、サックスのメンテが必要なことに気づいてしまいました。

サックスがない大が初めて入ったジャズスポットは『TAKE TWO』。
TAKE TWOのアキコさんが生演奏をやっている店を教えてくれて、そこで大はピアニスト・沢辺雪祈に出会います。

ブルージャイアント5巻

ピアニスト・雪祈は大と同い年。「オレと組もうぜ」と声をかけてきました。
翌日雪祈は大を日本有数のジャズクラブ『So Blue』に連れていき、プロの演奏を聴かせます。
雪祈のバイトはデパートの売り場と工事現場。
サックスがメンテから戻ってきたと大から電話があり、雪祈と大はTAKE TWOで待ち合わせます。

そこで大のサックスを聞いた雪祈は、大のこれまでに思いを馳せ、感動の涙を見せました。

玉田の家でバンド結成の決起集会を開く二人を見て、玉田は全力投球できるものがない野が詰まらなくなり、大学のサークルを辞めます。
玉田は大の練習に付き合ったことがきっかけでドラムを始めます。
電子ドラムセットを買って家に置き、音楽教室に通う玉田。
雪祈もついに、正式メンバーじゃないけど練習には参加していいと言ってくれました。

ブルージャイアント6巻

雪祈にジャズギタリストの川喜田からバンドへのスカウトの声がかかりますが、雪祈は大の方に可能性を感じたため、断ります。
さらに川喜田とのライブのギャラを、大と玉田に焼き肉を奢って使い切ってしまうのでした。

雪祈が作曲してきた曲は『FIRST NOTE』。
まだ早いという雪祈の声も聞かずに、大はライブをやろうと主張します。

『セブン・スポット』でのライブは2,000枚のチラシを配ってもお客さんは3人。
大と雪祈の演奏はお客さんの度肝を抜いたようですが、玉田は何もできなかった自分に愕然としてしまいます。
それでも自分を鼓舞して立ち直る玉田です。

バンド名を『JASS』と決めた三人のライブには次第にお客さんが集まるようになりました。

ブルージャイアント7巻

JASSのライブに川喜田が飛び入りしてきました。

だんだんファンが増える大と雪祈。
必死で練習し上達している玉田にも、「成長する君のドラムを聴きに来ているんだ」と言ってくれるお客さんが現れます。

初めてのギャラをもらった3人はそれぞれにプレゼントを買いに行きます。
玉田はドラム教室の先生にビールを。
雪祈はアキコさんに花束を。
大は妹の彩香にフルートを贈ります。

雪祈はオリジナル曲の作曲に力を入れ始め、川喜田の家を訪ねてSo Blue の平さんに繋いでくれるよう頼みこみます。

次回のJASSのライブを見に来てくれたSo Blueの平ですが、雪祈はダメ出しをくらってしまいます。
サックスとドラムはいいが君は駄目だと。

平『ブルージャイアント』7巻

平『ブルージャイアント』7巻

ブルージャイアント8巻

雪祈は平に会いに行く前にサインを断ってしまった人を探し続けます。
バイト中に偶然見かけた豆腐屋の車にその人を見かけ、ついに店を訪ね当ててサインを渡します。

雪祈は大にソロで悩んでいることを言い当てられ、TAKE TWOでまる2日間の練習をしますが、壁を破ることはできませんでした。

そんな折、So Blueの平は他のバンドの演奏を聴きに来ていた大と偶然会い、雪祈の様子を訪ねます。
大は雪祈が壁にぶつかり苦しんでいること、でも雪祈はきっと壁を破ること、そして平が何者かを知らない大は、いつかSo Blueで演奏する、と目標を口にするのでした。

JASSのもとにレコード会社の五十貝が現れ、アルバム制作も視野に入ってきました。

ドラムに夢中になった玉田は大学に行かなくなり、留年の説明のために年末は帰省することになりました。

年明け、JASSにはカツシカジャズフェスの出演オファーが舞い込んできました。

ブルージャイアント9巻

カツシカジャズフェスで渾身の演奏を繰り広げたJASS。
雪祈はとうとう壁を破り、玉田はドラムソロを叩き切りました。

JASSを甘く見ていた大トリのバンド、アクトに勝負のつもりで挑んだステージ。
JASSのファンは確実に増え、雪祈は母のピアノ教室に来ていた少女、アオイと再会することができました。

大のもとに三輪さんが訪ねてきて、二人で一日だけの東京観光を楽しみます。
彼氏ができた三輪は、大に別れと激励を告げに来たのです。

そんな中、So Blueの平から雪祈に電話が。
海外からのバンドのピアニストが急病のため急遽出演して欲しいということです。
JASSのメンバーから一人だけ、雪祈が先に夢を叶えることになりました。

ブルージャイアント10巻

子どものころからあこがれてきたSo Blue のステージに立った雪祈。

ソロが回ってきたときには、ピアノを弾いて過ごした長い年月を思い出し、感慨にふけります。

So Blueで演る初めてのソロで、そして
ーーー最後かもしれない

沢辺雪祈『ブルージャイアント』10巻

平の見守る中で、雪祈は謙虚に今の自分と向き合い、持てる力をすべて出し切ることができました。

内臓をひっくり返してやる

沢辺雪祈『ブルージャイアント』10巻

雪祈の演奏を聴いた平は、JASSの出演をできるだけ早く企画することを約束してくれました。

レコード会社の五十貝もCDリリースの準備を着々と進めてくれています。

雪祈はTAKE TWOで、アキコさんが来るのを待って、メンバーに4か月後のSo Blue出演決定を知らせます。

お世話になったアキコさんに最初に知らせるのがスジだからと。
皆に背を向けて水仕事をするアキコさんの目には、大粒の涙が光っていました。

このころ雪祈は自分には作曲の才能があることに気づき始めます。

そしてあさってはSo Blueという夜のこと。
雪祈はバイト先の現場でトラックに轢かれ、右手を複雑に骨折してしまうのです。

病院に駆け付けた大と玉田はそのままTAKE TWOへ直行し、ドラムとサックスだけで演奏できるよう時間を惜しんで練習するのでした。

翌朝、平に連絡を入れ、夢の舞台、So Blueのステージには大と玉田の二人で立つことに。

大と玉田はステージの後、雪祈の病室に見舞いに行きます。
雪祈から「JASSは解散しよう」と提案があり、3人でのステージもCDリリースも叶わぬ夢となってしまいました。

玉田もそれに同意し、大は海外に行くことを決意します。

仙台に戻り由井を訪ねた大は、行先の国について相談します。
由井はヨーロッパのある国の名をあげ、「お前の音は青くなってきている」とブルージャイアント=ジャズの巨星に近づいているということをさりげなく伝えます。

玉田に見送られ、雪祈と電話で話した大は一人、ヨーロッパへと旅立ちます。

大『ブルージャイアント』10巻

大『ブルージャイアント』10巻

スポンサーリンク

『ブルージャイアント』ひどいと言われるのには理由があった!伏線はこれだ!まとめ

『ブルージャイアント』がひどいと言われる理由は、努力の末ようやくこれから、という場所にたどり着いた三人が、一瞬の自動車事故のせいで、バンドの解散という結果になってしまったからです。

これはあまりにもひどい、と感じてしまいますが、この結末には理由があります。

宮本大を世界一のジャズプレーヤーにしなければならないからです。

ここで小さな成功を掴んでも、世界を掴みに行けるのか?

若く、情熱にあふれ、体力に恵まれた今だからこそ、大は日本を出なければならないのではないでしょうか。

そのために、雪祈は作曲という自分の才能に目覚め、玉田は大学を退学しているわけではないので大学に戻るという選択ができます。

一番残念なのは玉田かもしれませんが、読者は言葉も通じない世界で、自分の音楽を追求していく大を温かい気持ちで応援していくことが大切なのかもしれません。

【関連記事】

『ブルージャイアント』雪祈のその後は?続編に再登場する?

『ブルージャイアント』映画館で見るべき8つの理由

『ブルージャイアント』ひどいと言われるのには理由があった!伏線はこれだ!

『ブルージャイアント』映画の高評価の理由は?原作との違いネタバレ!

小説『ピアノマン』著者南波永人さんはNUMBER8さんなのか?

『ブルージャイアント』あらすじネタバレ解説|映画と合わせて楽しめる

『ブルージャイアント・シュプリーム』あらすじネタバレ!ヨーロッパで大は

ブルージャイアント・エクスプローラーあらすじネタバレ!アメリカで大は?

映画『ブルージャイアント』キャスト!声優・演奏者一覧|世界的ジャズミュージシャンが集結!

『BLUE GIANT』映画化!ブルージャイアントの全曲紹介!

ブルー・ジャイアント×BLUE NOTE コラボアルバム全曲レビュー!

『ブルージャイアントエクスプローラー』ネタバレあり全曲紹介

 

 

スポンサーリンク

コメント

  1. Log より:

    不満なのは、演奏シーンが全部同じでしょう? 吹きまくり、叩きまくり、弾きまくり。スローなナンバーはない。
    第1回だったか、何人かの人物が宮本大を評する。回想するかのように。何回目か、Die?というセリフもあった。
    大成するのか、しないのか、夢が叶うのか、しないのか。突然の幕切れに襲われるような気がする。

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました