『キングダム』67巻で桓騎の「根っこに流れる怒り」について語られました。
それは世界の大多数を占める『無関係を決め込んでいる ” 中間の奴ら ” 』に対する怒りです。
彼らが何もしないから、高いところにいる人間が底辺の人間を虐げる、歪んだ世の中の ” 構造 ” が変わらないと言います。
この時思い出されるのが、桓騎の有名なセリフ「何人だ?」ではないでしょうか。
最新刊67巻の内容を踏まえて、『首斬り桓騎』のエピソードを考察します。
『キングダム』桓騎「何人だ?」は何巻何話で読める?
桓騎が「何人だ?」のセリフを言うのは『キングダム』64巻、第695話『箱』p.104です。
『キングダム』桓騎「何人だ?」はどんな状況で発せられたセリフ?
紀元前234年、桓騎は趙の大将軍扈輒(こちょう)と戦っていました。
扈輒軍24万に対し桓騎軍8万。
野盗の群れの集まりである桓騎軍は、激闘の末散り散りに敗走していきますが、それこそが桓騎の策でした。
敗走する桓騎軍を追撃した扈輒軍は、大将軍扈輒の本陣から外側へと出て行ってしまい、その内側にひそかに忍ばせた桓騎軍の精鋭200はついに扈輒本陣100を押し包むのです。
そして桓騎はついに扈輒を倒すのですが、その前に扈輒は気になることを言います。
「先に逝って雷土と酒でも飲んで待つ」と。
扈輒を失った趙軍に、桓騎軍の参謀・摩論は投降を呼びかけます。
投降した趙兵はなんと10万人にも上りました。
一方、桓騎の側近、雷土は扈輒につかまり、拷問の末すでに●されていました。
変わり果てた雷土の姿を見て、桓騎は冷たい怒りに満たされていきます。
不細工ヅラがさらに酷くなったな雷土
無茶せず適当に逃げろっつったろーが
俺の言うことを聞かねーからだぞ
この…大馬鹿野郎が桓騎・箱の中の雷土へ語り掛ける言葉『キングダム』64巻p.102
桓騎の雷土への愛着がうかがわれるセリフだね
そして
「何人だ?摩論」
摩論に聞いているのですから、捕虜の数ですね。
歴史書には次のように書かれています。
十三年、桓騎攻趙平陽。殺趙将扈輒、斬首十萬。
(始皇13年、桓騎が平陽を攻めた。趙将・扈輒を討ち取り、首十万を斬った)
「史記 秦始皇本紀」より
史実では雷土は存在しないので、復讐の線はないだろうな。
当時の風習によって10万人…やらかしちまったんだね
『キングダム』雷土(らいど)はバラバラに?箱詰めの最期に桓騎の怒り
『キングダム』桓騎「何人だ?」までの桓騎の心を想像する。
桓騎の心を想像するヒントは、扈輒の捕虜となった雷土の言葉の中にあります。
扈輒は桓騎軍の作戦を教えれば雷土の命は助けてやろうと持ち掛けます。
俺達は元野盗の集まりだ。誇りなんてねェし、まして忠誠なんてのもねェ。
裏切りなんてしょっちゅうだ。それが桓騎軍だ。
もし桓騎がここにいたら「さっさと言えよバカっ」つって大笑いする。
あいつはそんな奴だからよ…だから絶対に、お前には何も教えてやらねェよ、扈輒。雷土『キングダム』63巻P.136
桓騎は何を失ってきたのか?
13歳の子どもだった桓騎は、子どもばかりの野盗団の偲央(しお)に拾われました。
そこには、幼い子どもが権力者の虐待を受け、大人の野盗に搾取され、生きるために我慢に我慢を重ねる実態がありました。
まずは、自分の本当の家族を失ってきたでしょう。
「美しい子」「艶めく男ぶり」と称えらえれる恵まれた容姿から、豊かな家庭、由緒正しい家を何者か、あるいは戦によって奪われた可能性があります。
さらに、恩人の偲央(しお)も失い、砂鬼一家から出ていくことになる桓騎です。
このいきさつはまだ語られませんが、手に入れたかと思う小さな安らぎさえも、奪われ、失っていることになります。
桓騎の考えだした生きる術とは
13歳までの桓騎の生い立ちは謎のままですが、幼い子どもの時から生きるために苦労をしなければならなかったこと、桓騎にとって偉い奴らは残虐で、大多数の普通の人間は何を見ても知らんふりを決めこむズルい奴であったことがわかります。
桓騎は、子どもの野党団が生き抜くために『砂鬼一家』を作り上げます。
砂鬼一家に手を出す者は、捕らえて臓物を引きずり出して木の枝に絡ませて見せてみたり。
「あいつらに近づかない方がいい」と周りに思わせるほどの、残虐な報復を繰り返します。
仲間と自分が生き抜くための知恵ではありますが、桓騎の中には、怒りが蓄積していったことでしょう。
弱い立場の自分たちは、誰にも助けてもらえず、上の立場の者の略奪や暴力から身を守るために、ここまでおぞましい所業を繰り返さなければならないことに。
桓騎の渇き、怒りはいつまでも収まることがない
やがて近辺の野党団を次々と吸収し、大きくなっていった桓騎の一団。
その幹部さえも、「桓騎の怒り」「桓騎の渇き」の根源は見えないのです。
趙・扈輒の拷問を受けながら雷土はつぶやきます。
「俺らはクソヤロォ共で、その頭(かしら)の桓騎は一番のクソヤロォで最高の男だ!
掃き溜めから俺達を引き上げたあいつは今もまだ渇き続けてお前らを…」雷土『キングダム』63巻P.139
桓騎の渇きは、復讐をしても失ったものを取り戻せないから?
桓騎の怒りの矛先は「世の中の大多数すべて」に向いているから?
雷土は亡くなる寸前に桓騎を理解したのかもしれません。
『キングダム』桓騎「何人だ?」で10万人の捕虜を虐●した理由は
全てを奪われ死線をさまよい、そんな境遇からようやく助け出してくれた偲央もまた失った桓騎。
その後の桓騎は多くの野党団を吸収し大きくなっていく中で、特に側近として身近に集めた仲間には気を許すことも、親愛な感情を抱くこともあったでしょう。
大切な側近の雷土の無残な死体を見た桓騎は、雷土一人の命を償わせるのに10万でも足りないと考えたかもしれません。
また、現実的な理由として、戦を終結させるために投降を勧めたものの、数が増えすぎて秦軍よりも多くなり、反乱の可能性も出てきたこと、収容する場所も与える食料もないことなど、「捕虜として扱えない」という問題もありました。
『キングダム』桓騎「何人だ?」秦王・嬴政(えいせい)が言い当てた一言
桓騎の10万人虐●の話を聞きつけ、嬴政自ら趙の戦場へ足を運んできました。
政は桓騎に「一番人を●しているのはお前だ」と言われ、さらに侵略した地域での人の融和を語ると黒桜にも桓騎にも否定され「お前は人に期待しすぎだ」と言われてしまいます。
ちょちょ!これ王様に言ってるんだよね…?
政は「お前みたいに何もせず絶望など…」と言いかけ、言葉を飲み込んでしまいます。
絶望。
桓騎の『怒り』も『渇き』も癒されることがない理由は、桓騎の中にある絶望に行きつくのです。
不思議なことではないでしょうか。
「俺にまかせれば、みんなうまくいく」そう自信たっぷりに言い切って、手下を導いてきた桓騎なのに。
六代将軍に任命され、名誉も手にした桓騎なのに。
一方秦王・嬴政もその数奇な生涯の中、多くの出会いや別れを経験してきました。
それでも政は希望を持ち続けています。
桓騎はなぜ絶望に満たされてしまったのか。
怒りを向ける相手があまりに多すぎるためなのでしょうか?
これはその後の物語で語られていくのかもしれません。
『キングダム』桓騎の「何人だ?」に戦慄!桓騎の怒りの根っこを探る・まとめ
桓騎のセリフ「何人だ?」は趙・扈輒との戦で、趙の投降兵10万を虐●した場面で、その人数を桓騎軍の参謀・摩論に尋ねたものです。
桓騎が側近・雷土が拷問の末●されたことを知った直後の会話なので、復讐の意味があったとも考えられますが、史実では秦軍よりも捕虜の人数が多くなってしまったことから、反乱防止のため大量虐●したものと思われます。
この時の桓騎の心情を①雷土②嬴政との場面を交えて考察してみました。
緊迫した状況の宜安城の中で語られる桓騎の過去、早く続きが知りたいですね!
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