『キングダム』で飛信隊の副長を務める渕(えん)さん。
渕さんの初めての試練が、いきなり信の王騎将軍の修行につき合わされたことだとすれば、二度目の試練が黒羊の渡河と言えるでしょう。
渕さんの渡河には、いくつものドラマがあります。
そもそも河了貂の考えた策とは?
最大のカギを握る人選になぜ渕さんが?
渕さんが抱えていた悩みとは?
渕さんの覚悟とは?
やりぬいた渕さんへの評価は?
これらの疑問を一つずつ解いていきましょう。
『キングダム』渕さんの渡河/河了貂の考えた策とは?
紀元前237年、桓騎軍と飛信隊に趙・黒羊丘への攻撃命令が下ります(『キングダム』41巻)。
趙の総大将は慶舎。紀彗軍とともに守りを固めます。
黒羊は密林の中の丘取り合戦。
飛信隊は劉冬・馬呈を擁する紀彗軍に苦戦を強いられます。
黒羊二日目。
飛信隊を待ち受けるのは、大きな川の向こう岸に布陣する大軍でした。
橋も、船もない状態で、軍師の河了貂は「飛信隊流の橋をかける」と決断します。
そして「この戦いで鍵を握るのは…渕さんだ!」と言うのです。
河了貂の作戦・第一の橋
川の底が浅い場所は2カ所。
まずは浅瀬の幅が広い中央に隊長・信が飛麃隊、郭備隊という屈強な大隊を率いて向かいますが、凹地(おうち)という地形のため、対岸近くで集中砲火を浴びてしまいます。
この大軍をおとりに使って、第二の橋を架けます。
河了貂の作戦・第二の橋
第一の橋が敵の集中砲火を浴びている間に、河了貂と楚水は、浅瀬の幅の狭い凸地(とつち)を渡ります。
しかしここは幅が狭いため、一度に少数しか渡れません。
第一の橋を『助攻』、第二の橋を『主攻』と見た馬呈は、第二の橋に向かいます。
河了貂の作戦・第三の橋・渕さん!
第三の橋は底が見えないほど水深が深く、対岸は切り立った崖。
悪条件のため敵の見張りはいませんが、とても危険な場所です!
泳ぎの達者な兵卒、岐鮑(きほう)が縄を腰に巻いて命がけで泳いで渡りました。
この縄を掴みながら川を渡る計画です。
しかし、部下の土南が「まずは私が」と川に入りますが、10歩も進まずに流されてしまい、渕さんを始めとした一隊は、足がすくんでしまいます。
しかしその時川の水が赤く染まり始めます。
上流で戦っている仲間たちの血です。
これを見た渕さんは、「私に続け!ここに飛信隊の橋を架けるぞ!」と叫び、川に入っていきます。
『キングダム』渕さんの渡河/最大のカギを握る人選になぜ渕さんが?
この計画を聞いて、我呂は「人選は間違ってないか?そんな大役を渕副長に任せて大丈夫なのかよ?」と皆の前で言いました。
しかし、信は「新参が知ったような口を利くんじゃねぇ」と一喝。
河了貂は我呂に、いや、その場のみんなに聞かせるように説明します。
この渡河には”武力”も”知略”も必要ない。必要なのは別のものだ。
そしてそれは誰よりも渕さんが強く持ち合わせているものだ。河了貂『キングダム』42巻p.144
それは何だ、と聞く我呂に、信と河了貂は口をそろえて言います。
”責任感”だ
信・河了貂『キングダム』42巻p.145
そして
たった百人から始まったこの隊の…
結成当初から副長を7年務めてんだ。(中略)やってくれ渕さん。
この場を一番に任せられんのは―――渕さんだ信『キングダム』42巻p.145
『キングダム』渕さんの渡河/渕さんが抱えていた悩みとは?
渕副長は「そもそも一般人の連絡係だった自分が副長でよいのか」という悩みがありました。
他の副長は郭備隊から来た楚水とあの羌瘣。
彼らに武力も知力も劣ると引け目を感じていたのです。
そろそろ身の程をわきまえて副長の座を辞そうかと考えていた渕さんだったのです。
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『キングダム』渕さんの渡河/渕さんの覚悟とは?
激流の中流されそうになりながら、必死で縄を掴んで対岸へと一歩一歩近づく渕副長。
後ろに続く隊員に「頑張れ、私に続け」と声を掛けます。
自分もいっぱいいっぱいなのに部下を気遣うとは、さすが副長だよね!
そして渕さんは信の言葉を思い出しながら、自らを鼓舞します。
フフ信殿
あなたはアホそうに見えて…意外と策士だそんな目で そんな風に言われたら
成し遂げぬわけにはいかぬじゃないですか!!渕『キングダム』42巻p.145
対岸にたどり着いた渕副長に部下もしっかりとくらいついてきます。
前を行くのが信や羌瘣だったら「俺にはムリ」って思うかもなー
これが渕さんの背中だから、「俺だって」と思えるのかも!
対岸にたどり着いた渕隊は凹地の信たちの援護に行き、縄を投げて仲間の上陸を助けます。
しかし、それに気づいた趙軍は渕隊に向かってきます。
渡河でフラフラの身体でも、仲間のために戦う渕副長。
まだ役割は完遂していない―――!
独りも通さぬぞ渕『キングダム』42巻p.159
趙軍の歩兵が槍を構え、渕副長もこれまでかと思った瞬間…
信の矛が趙軍をなぎ倒すのでした!
『キングダム』渕さんの渡河/やりぬいた渕さんへの評価は?
飛麃隊を率いて来た我呂は、信に救われた渕さんに声を掛けます。
見直した。この隊の副長はってるだけのことはある。
あんな口を叩いといてなんだが
好きだぜあんたみたいな男我呂『キングダム』42巻p.163
素直に相手を認め称える言葉を言える我呂も、隊長信を始め、こんな空気を作り上げている飛信隊も素敵ですね!
「渕さんでいいのか?」と言った我呂ですが、「あんな口を叩いといてなんだが」ときちんと自分の過ちを認めることで、理解し合い、伝え合えるのですね。
「余計なことは言わないでおこう」という処世術では深まらない人間関係。
命を預け合う仲間だからこそ、大切なのかもしれません。
『キングダム』渕(えん)さんが川を渡り飛信隊を勝利に導く!なぜ渕さんが選ばれた?まとめ
渕さんの責任感の強さ、尊敬しますね。
さすが、王騎将軍の修行を4か月も信と一緒にやりぬいただけのことはありますね!
渕さんの凄さとともに、信の人間力、河了貂の諦めない力、我呂たち隊員の人間関係など、さまざまな見どころがあるエピソードだったことがわかりました。
飛信隊、どこまでも飛んでいけ!!
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