2004年10月23日に公開されたウォン・カーウァイ監督の映画『2046』は木村拓哉さんの出演でも大きな話題になりました。
この作品は『欲望の翼(1990年)』『花様年華(2000年)』と3部作になっており、いずれも主人公はトニー・レオン演じるチャウ・モウワンです。
映画『2046』での木村拓哉さんの役どころと、主人公チャウをめぐる女たちの悲しくも美しい物語をご紹介します。
- 映画『2046』の予告編
- 映画『2046』の構造/リアルと虚構の境は
- 映画『2046』チャウをめぐる女たち/ルル
- 映画『2046』チャウをめぐる女たち/支配人の娘ワン・ジンウェン
- 映画『2046』チャウの小説『2046』
- 映画『2046』チャウをめぐる女たち/隣の部屋の女バイ・リン
- 映画『2046』チャウをめぐる女たち/支配人の娘ワン・ジンウェン
- 映画『2046』チャウの小説『2047』
- 映画『2046』チャウをめぐる女たち/思い出のチャン夫人
- 映画『2046』チャウをめぐる女たち/再会したバイ・リン
- 映画『2046』チャウをめぐる女たち/スー・リーチェン
- 映画『2046』の感想
- 映画『2046』の登場人物・キャスト
- 映画『2046』のスタッフ
- イベント『WKW4K』について
- 『WKW4K』作品一覧
映画『2046』の予告編
映画『2046』の構造/リアルと虚構の境は
1966年、作家のチャウ・モウワン(トニー・レオン)は香港のホテルに滞在しています。
ホテルのオーナーの娘ワン・ジンウェン(フェイ・ウォン)は、日本から来たビジネスマンのタク(木村拓哉)と恋に落ちますが、父親であるホテルオーナーに交際を反対されます。
やがて帰国するタク。文通もままならない2人に、チャウはタクの手紙を代わりに受け取ろうと申し出ます。
ワン・ジンウェンは自分でも小説を書き始めていて、チャウの助手を務めてくれるようになりました。
チャウは、言葉も通じず遠く国を隔てられた恋人同士にインスパイアされて、小説『2046』『2047』を書き始めます。
この小説の登場人物をタクが演じますが、チャウはいつしか主人公の姿に自分自身を重ねていました。
じゃあ、木村拓哉がアンドロイドと電車に乗っているのは小説の中の世界なんだな。
そうなんだ。でも2046は『花様年華』でマギー・チャンと小説を書いていた部屋の番号なんだぜ?
映画『2046』チャウをめぐる女たち/ルル
1962年、香港でチャン夫人とのプラトニックラブを描いたのが『花様年華』、その後チャウはシンガポールで新聞社の記者として働いていました。
1966年、香港に戻って来たチャウは、クリスマスイブにシンガポールで親しくしていた女性ルル(カリーナ・ラウ)に偶然出会います。
これが『欲望の翼』に登場していた女性なんだね。
チャウを覚えていないというルルに、チャウは2年前のシンガポールの話をします。
それはルルが愛した男に捨てられた悲しい物語。
酔いつぶれたルルをチャウはホテルに送ります。
その部屋番号は2046。
チャウはチャン夫人と二人で過ごした部屋が2046号室であったことをふと思い出します。
酔いつぶれていたと思われたルルは、一人の部屋で涙を流し続けていました。
数日後、ルルに会いに来たチャウは、ルルが2046号室で恋人に●されたことを知ります。
チャウは2047号室で暮らし始めます。
ルルが美しいんだよねえ。
ワインレッドのドレスから覗く脚が綺麗で見とれちゃったよ!
映画『2046』チャウをめぐる女たち/支配人の娘ワン・ジンウェン
支配人の娘は日本人のビジネスマン、タク(木村拓哉)に恋をしています。
2046号室から聞こえてく日本語は「はい、行きます」「わかりました」「いいですよ」「連れてってください」こんなに一生懸命日本語の練習をしたのに、父の反対によりいざタクの前に出ると、何も言えないジンウェンなのでした。
別れのシーンが美しいんだ!
キムタクも綺麗だし、赤いドレスのフェイ・ウォンも美しい。無言の時間がひたすら悲しいんだよ…
支配人のもう一人の娘、おませな次女もチャウの部屋に忍び込んだりしましたが、ドラマーと駆け落ちしてしまいました。
映画『2046』チャウの小説『2046』
チャウは小説を書いています。タイトルは「2046」。登場するのはタクと、ジンウェンにそっくりのアンドロイド、他チャウの身近な人達です。
彼らは電車に乗って『亡くした記憶を見つけるために』「2046」へ行こうとしているのです。
映画『2046』チャウをめぐる女たち/隣の部屋の女バイ・リン
2046号室に引っ越して来た女バイ・リン(チャン・ツィイー)はいい女。夜の仕事をしているようです。今回はチャン・ツィイーが様々なチャイナドレスを着こなし魅せてくれます!
ここでも女好きのピンさんがでてくるのがほっこり。
お詫びに、とチャウが買ってくるプレゼントが粋なんです!高級そうなストッキングですよ!
センスがいいわ…
1967年のクリスマスイブ、彼氏にシンガポールに連れていってもらえなかったリンをチャウは食事に誘い、慰めます。
バイ・リンとチャウはだんだんと魅かれ合いますが、「飲み友達になろう」と言い商売女のリンとお金のやり取りをしながら付き合うチャウに、リンは傷ついていきます。
そして、隣の部屋から引っ越して出て行ってしまいます。
それにしてもチャン・ツィイーが美しい!
前作『花様年華』のマギー・チャンも吉永小百合のような美しさでしたが、『2046』の女性たちは現代的な美女です。
映画『2046』チャウをめぐる女たち/支配人の娘ワン・ジンウェン
ジンウェンは戻ってきますが、タクとの手紙のやり取りを父親に叱られます。
チャウは手紙の受け取りを手伝ってやることにします。6年前の出会いを「虹」のように大切に思ってくれるタクの手紙に心が揺れるジンウェンです。
ジンウェンは親しくなると、小説を書くのを手伝ってくれるようになります。
さらに、働きたいという彼女にホテルのクロークの仕事を紹介しますが、そこはチャン夫人と過ごしたあのホテルなのでした。
1968年のクリスマス、チャウはジンウェンを食事に誘います。
そして、新聞社から彼に国際電話をかけさせるのでした。
ジンウェンはその後日本に旅立っていきます。チャウは小説『2047』をプレゼントします。
タクとの結婚を父親も認めてくれたようです。
ジンウェンは『2047』は最後が悲しいので書き換えてくれと頼みますが、ハッピーエンドにはできませんでした。
映画『2046』チャウの小説『2047』
この小説の主人公もタクですが、書いているチャウは自分の物語を書いているように感じています。2046を出た列車の中で、ジンウェンそっくりのアンドロイドと恋をする話です。
なぜか怪我をしているタクは孤独を感じます。
支配人そっくりの乗組員が「アンドロイドを愛してはいけない」と言い、タクは「誰がアンドロイドなんかに」と言いますが、やはりタクはアンドロイドに恋をしてしまうのです。
「なぜ2046を離れたの?」と聞くアンドロイドにタクは関係のない話をします。
「昔の人が秘密を知られたくない時、山奥へ行って、木を見つけて、穴を開ける。その穴に秘密を全部詰め込んで、最後にその穴を泥で埋める。そうすればその秘密はずっと守られる」
タクはジンウェンが自分を愛していたか、知りたいと思いますが、本当はチャウが、チャン夫人は自分を愛していたか知りたいのでしょう。
「俺と一緒に行かないか」と語りかけても返事をしないアンドロイド。
支配人は「それは天人五衰。長い旅で機能が衰えているからです」と説明します。
タクはやがて、あきらめるしかないことを悟ります。
アンドロイドは他の誰かを愛しているのだと。
映画『2046』チャウをめぐる女たち/思い出のチャン夫人
『2047』をハッピーエンドにしようと考えながらチャウはチャン夫人(マギー・チャン)のことを思い出しています。
あの時チャンスがあったかも…と。
遊び人を装いながら、無茶苦茶引きずってるな!!
映画『2046』チャウをめぐる女たち/再会したバイ・リン
18か月後、バイ・リンがシンガポールに行くために保証人になって欲しいと言いに来ます。
元気のない様子のリンに、見ている方が悲しくなります。
リンはチャウを愛しているのに、「俺達は飲み友達だ」という言葉をかけるチャウ。
彼女とはシンガポールに立つ前夜も飲み友達として会いますが、チャウに「以前にくれた航空券代」を返そうとします。年配の男性から大枚を貰ったようです。
チャウはリンに「金は自分のために使え」と言って受け取りません。
リンの思いが届くことはなかったのです。
地味な部屋、地味なドレスで不幸を表現するリンが、悲しくてたまりません。
映画『2046』チャウをめぐる女たち/スー・リーチェン
シンガポールへ旅立ったチャウは「黒蜘蛛」と呼ばれる賭博師の女(コン・リー)と出会います。
これがまた美しい…
賭場でスッたお金を取り戻しチャウが香港に帰る旅費を稼ぐのを手伝ってくれると言います。
山口百恵タイプの美人です!
名前を聞くと、スー・リーチェンと名乗ります。
チャン夫人もスー・リーチェンという名前だったことを思い出します。
チャン夫人の話をスーに話すと「まだ愛してるのね」と言い当てられます。
スーの過去を聞きたい、と言ってみても「カードで勝ったら話す」と。
しかしスーに勝てるときはありません。
でも、シンガポールを出るときは「別れるのがつらい」と言ってくれました。
映画『2046』の感想
難解な構造ですが、画面の美しさと無言の間を楽しめば良いのだと思います(笑)
結局『花様年華』の鮮やかなひとときが、凝縮した過去・『2046』なのでしょう。
チャン夫人が自分を愛していたかどうかは知ることは出来ないし、あきらめるしかないことを悟っていく物語です。
でもあの時の思い出は色あせることなく、木の穴に閉じ込められたまま…そんなふうにも思えますね。
美しい思い出と、胸に残る後悔を昇華して見せてくれている作品でした。
映画『2046』の登場人物・キャスト
チャウ・モウワン:トニー・レオン
バイ・リン:チャン・ツィイー
ワン・ジンウェン/WJW1967:フェイ・ウォン
タク:木村拓哉
スー・リーチェン:コン・リー
ルル/ミミ:カリーナ・ラウ
cc1966:チャン・チェン
バード:トンチャイ・マッキンタイア
ワン・ジェウェン:ドン・ジェ
ミスター・ワン/車掌:ワン・シェン
ピン:スー・ピンラン
slz1960:マギー・チャン(特別出演)
映画『2046』のスタッフ
監督:ウォン・カーウァイ
脚本:ウォン・カーウァイ
製作:ウォン・カーウァイ
音楽:ペール・ラーベン、梅林茂
撮影:クリストファー・ドイル、クワン・プンリョン、ライ・イウファイ
編集:ウィリアム・チョン
アクション指導:トン・ワイ
美術:ウィリアム・チョン
イベント『WKW4K』について
『花様年華』製作20周年を記念して、ウォン・カーウァイ監督自身が代表作品5作を4Kレストア(修復)。
2022年8月19日より順次上映されます。
映像美にこだわり続けたウォン・カーウァイ監督は「単なる焼き直しではなく、新たに生まれ変わった作品と位置付けている」と語っています。
これは観たい!
『WKW4K』作品一覧
画面サイズ、色味など、かなり多くの箇所が修正されているという情報あり。
過去作を見てから見に行きたいですね。
製作年 | タイトル | 出演 |
1994年 | 恋する惑星 4K | トニー・レオン フェイ・ウォン ブリジット・リン 金城武 |
1995年 | 天使の涙 4K | レオン・ライ ミシェール・リー 金城武 チャーリー・ヤン カレン・モク |
1997年 | ブエノスアイレス 4K | トニー・レオン レスリー・チャン チャン・チェン |
2000年 | 花様年華 4K | トニー・レオン マギー・チャン |
2004年 | 2046 4K | トニー・レオン コン・リー フェイ・ウォン 木村拓哉 チャン・ツィイー マギー・チャン |
上映スケジュール:https://unpfilm.com/wkw4k/
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