浅田次郎『大名倒産』あらすじネタバレと感想|映画の世界観をご紹介

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映画『大名倒産』の原作、浅田次郎氏の小説『大名倒産』のあらすじをネタバレでご紹介します。

ストーリーだけでなく、会話やキャラクターの面白さも魅力ですので、ぜひ原作も手に取っていただきたいと思います。

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小説『大名倒産』あらすじ|小四郎お目見えのあと居残り?

神木隆之介

小四郎(神木隆之介)

小四郎21歳。
足軽の子として育った小四郎は、越後丹生山(にぶやま)三万石・松平和泉守の四男だったのです。

お家の事情を知った嫡男は胃潰瘍で急死、頭の弱い次男と体の弱い三男を飛び越して家督を継ぐことに。

八月一日のお目見えののち、居残りを命じられると、年始、家督相続と八月の『銀馬代』について目録だけが提出されお金が納められていないとのこと!

さらに「御尊家には金がない」とまで言い切られ、ショックを受けます。

幼馴染の磯貝平八郎矢部貞吉に悩みを打ち明ける小四郎です。

殿になったとたん、お家が火の車だと知らされるわけね

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小説『大名倒産』あらすじ|小四郎育ての親との別れ

足軽・間垣作兵衛の子として長屋で育った小四郎は、9歳の時自分は藩主の子と知りました。
育ての父、作兵衛は越後へ去り、小四郎は母とともに下屋敷に住まうことになったのでした。

梶原善

天野大膳(梶原善)

21歳で家督を継いで小石川の上屋敷へ移った小四郎は、お城から戻るとすぐに家臣を呼び集めました。

家老の平塚吉左衛門天野大膳は、不払い金を認めたばかりか、卑しき金の話に口をはさむなと言う始末。

小四郎は平八郎と貞吉を供に、今はご隠居の住む下屋敷まで馬を駆ります。

怪しい企みの匂いがするぜ!

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小説『大名倒産』あらすじ|ご隠居様の悪だくみ

この日のご隠居は百姓与作

おととし当主であった時に、壬生山松平家には何代にもわたって積み上げられた二十五万両もの借財があり、金利だけで毎年三万両、しかし年貢はせいぜい一万両と知りました。

挽回不可能なほどの借金。
これを嫡男に聞かせたところ、賢い嫡男は胃潰瘍で悶死。

当主は借金を抱えたお家をつぶすことを決めます。
次男三男を飛び越え庶子・小四郎に家督を譲り、縁の薄い小四郎に腹を切らせようとの考えなのです。

佐藤浩市

ご隠居・先代藩主(佐藤浩市)

夜分に馬で乗り付け「当家には金がないのですかと聞く小四郎に、ご隠居はこう答えます。

「金はない。だからどうだと言うのだ」

開き直り?ご隠居、それはないよー

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小説『大名倒産』あらすじ|水売り伝蔵

毎朝6時、門長屋に冷や水を売りに来る伝蔵から水を買うのは平八郎貞吉の習慣です。

その伝蔵が二人に「町のうわさ」として、和泉守が「お断り」(商人に対して借金を棒引きにさせること)もできぬほどに困窮しているのではないか、という話を聞かせます。

水売りの正体は、もとさる藩の勘定方・比留間伝蔵

伝蔵は「お断り」を経験し、そのせいで一家で首をくくる羽目になる商人を目の当たりにしたと言います。

伝蔵は利を求める大商人が台頭し、百姓ばかりが飢え、武士は形ばかりの儀礼にがんじがらめになるような世がイヤになって、妻子を捨て、刀を捨て、町人となっていたのです。

そして、ご隠居のたくらみを『大名倒産』ではないかと考えていたのです。

伝蔵は映画に出ないのかな?キャストの発表がないねえ

小四郎自ら動くストーリーなのかもしれないね。

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小説『大名倒産』あらすじ|庭造りの天才・信次郎

小四郎は、壬生山松平家の江戸中屋敷に住む次兄・信次郎を訪ねます。

松山ケンイチ

松平新次郎(松山ケンイチ)

小四郎9歳のとき14歳だったこの異母兄は、無邪気なるおバカさんではありますが、庭づくりにかけてはまことの名人でした。

この兄が「嫁御を貰おうと思う」と言い出したその相手は、旗本大御番頭(おおごばんんがしら)の娘・お初
お初は新次郎の庭造りの天才に心酔し、ともに土にまみれ庭を作る、これまた頭の弱い可愛い娘なのでした。

藤間爽子

お初(藤間爽子)

中屋敷の蔵から家宝の太刀と具足が消えているのを見て、これを取り戻したいと心に決める小四郎です。

新次郎さんのキャラ大好き!本当かわいい!!

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小説『大名倒産』あらすじ|家宝の隠し場所

今日のご隠居様は茶人・一狐斎

江戸留守居役の楠五郎次郎と勘定方の橋爪佐平次と茶室にて密談です。

小手伸也

橋爪左平次(小手伸也)

結婚をご先祖様に報告したい新次郎のために、一日だけでも家宝を取り戻してくれ、と小四郎が頼んだのが留守居役の楠五郎次郎。

ご隠居は家宝を角筈村の熊野十二社権現に預け、安全を図っていたのです。

中屋敷に家宝を運び、信次郎はめでたくご先祖と東照大権現に結婚の報告をすることができました。

信心深い新次郎がいじらしいね!

日本には古くからご先祖を敬う風習が根強く残っているけど、さすが松平家、家康が先祖とは!

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小説『大名倒産』あらすじ|嫁取り手形五百両

さて小四郎は最近父が「倒産」を企んでいることを確信しつつあります。
13代260年続いた壬生山松平家を解散する…

勝村政信

板倉周防守(勝村政信)

次の登城日、小四郎は隣席の大隅守と言葉を交わし、また、老中・板倉周防守からは領地経営のコツ「説倹、収税、殖産興業」という知恵を賜ります。

それと同時に、兄の嫁取りには「お頼み金五百両」が必要、と教えられ途方に暮れる小四郎です。

二人を結婚させてあげたい気持ちは強いけど、どうする小四郎?

お初の父である大番頭・小池越中守は、三人娘の長女・お初が大名家に嫁ぐことが嬉しくてたまりません。

真面目そうな当主の兄という嫁ぎ先も、「お頼み金」五百両も。

高田延彦

小池越中守(高田延彦)

ついに婚約の日、信次郎の「父上様、母上様、お初どのを嫁にちょうだいな」という真心あふれる言葉に心動かされた越中守です。
当主・小次郎が現金の代わりに振り出したのは「嫁取手形五百両」。
武家の体面のために祝言を伸ばしては、という越中守に「二人の幸せを一日も早く」と頭を下げる小四郎にもまた、心動かされるのでした。

小池越中守もいいキャラなんだよね!

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小説『大名倒産』あらすじ|小四郎初の国入り

参勤交代で初めて領地へ向かう小四郎ですが、予算はたったの四十両。

これまでは200人の大名行列をしていたと言いますが、兄の結婚もあり、これ以上の借金もしたくない小四郎はたった54名での決行を計画します。

しかも通常9泊10日を5泊7日で歩きとおす。貧乏神も驚くほどの強行軍、貧乏道中です。

大名行列は江戸の華、しかしあまりにみすぼらしい行列に小四郎以下しょんぼりしていると、千住大橋のたもとに七十名もの立派な武士の一群が!
大番頭・小池越中守が自腹で大名行列に加わってくれるのです。

さらに小池越中守は懐から先日の『嫁取手形』を取り出すと、小四郎の目の前でちぎり捨てます。

実は越中守は大の鮭好き。婚儀の際の塩鮭が忘れられず、鮭を求めての随行でもあったのです!

『超高速!参勤交代』って映画もあったよね!

小説『大名倒産』あらすじ|貧乏神もびっくりの珍道中

比留間伝蔵が見事に仕切る貧乏道中に引き寄せられてきたのは二柱の貧乏神!

宿の主人も仰天するこの行列に、橋爪左平次の顔もありました。

小四郎は宿の主人に腹を割って「金がない」と説明し、その正直さに、当てが外れた主人も怒りを忘れていきます。

最後の一日は夜も徹して歩き続けるこの道中。
小四郎初のお国入り、領内に入ると蘆川(あしかわ)の流れにぶつかると、そこには遡上する鮭の大群がありました。

そして、駕籠から降りた小四郎は物も言わずに川役人のもとに駆け寄り、二人はしっかと抱き合います!
鮭を管理する川役人こそ、間垣作兵衛だったのです。

鮭役人…鮭の好きな小池越守…

つながってきたな?

小説『大名倒産』あらすじ|丹生山・浄観院

丹生山城下には浄観院という古刹があり、ここで修業する正心は盲目ながら琵琶の名手。
この正心は間垣作兵衛となつの実子、小四郎の弟です。

なつと小四郎を下げ渡された作兵衛は、小四郎の後に生まれた盲目の弟がゆくゆく厄介者になっては、と考え、赤子を故郷の寺に預けたのです。

この寺に今たどり着いたのが貧乏神です。
大名行列についてここまで来て、殿のお国入りの際に、うっかりわき腹を槍で刺されてしまったのです。

正心の心の目には貧乏神の姿が見えるようで、傷ついた貧乏神を背負って薬師堂へと運び込んでくれました。
薬師如来に改心を誓わされた貧乏神は、この丹生山に七福神を呼ぶという約束をしてしまいます。

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小説『大名倒産』あらすじ|丹生山・城入り

小四郎一行の行列は城下に入り、丹生山の頂に建てられた丹生山城に到着しました。

国家老は鈴木右近と佐藤惣右衛門という、どっちがどっちかわからぬ存在感のない二人です。

ここで小四郎は兄・喜三郎と対面します。

離れで養生している「きさぶ様」は体は弱くても賢い方でありました。

色白の美形は城下の女子のあこがれの的でもあります。

小説『大名倒産』あらすじ|丹生山豪農・仙藤利右衛門

勘定方・橋爪左平次はご隠居の密命で国元の様子を報告することになっています。

今日は矢部貞吉を連れて仙藤本家の広大な田畑を見て回りますが、矢部は仙藤家の帳簿を点検するつもりのよう。

大阪の米相場を動かす、仙藤利右衛門の帳簿は夜通しの突合せにも不備はありません。

お国の立て直しのため尽力する小四郎や貞吉と過ごすうち、左平次の心はご隠居から離れていきます。

そのころ、貧乏神は七福神の一人・寿老人とともに仙藤本家に訪れました。

寿老人

この家の従業員にはたっぷりのご馳走がふるまわれ、景気のいいこととの上なし。しかし仙藤の家族は吝嗇家。

その仙藤の家に現れたのは恵比寿さんです。

恵比寿

小説『大名倒産』あらすじ|国家老・佐藤と鈴木の献金

国家老の佐藤は四年前の流行病で息子と妻とを失っていました。
殿の一大事に、佐藤は土地の返却を考えていると鈴木に打ち明けます。
鈴木は家族三人、年に二十俵もあれば食べていける、と考えます。

この二人の家は、長年倹約して蓄えた二千五百両ずつの金を、翌朝城の小四郎に献上するのでした。

その笑い声に引き寄せられ、姿を現したのが弁天様です。

弁財天

小説『大名倒産』あらすじ|大黒屋の正直さ

江戸のご隠居様は浚渫工事を申し付けられることを避けようと、楠五郎次郎に献金百両の付け届けを命じます。

老中周防守は、丹生山松平和泉守からの献金は受け取らず、返して寄越しました。

五郎次郎は国元・丹生山のお城へと両替商大黒屋から百両を送ります。

江戸の大黒屋本店から新潟の支店を経て丹生山の出先店に届いたこの百両。

丹生山出先店の番頭・伊兵衛は悩みます。

これを借金返済に充てたら大手柄ではないかと…

子どものころから大黒屋に奉公し、仕事一筋。
心を寄せる女子がいても、番頭として故郷に戻るときには言葉も交わさず別れてきました。

一心に拝む伊兵衛のもとに降りてきたのはもちろん大黒天です。

大黒天

小説『大名倒産』あらすじ|続々と集まる七福神

今日のご隠居様は板前・長七。
暮れの支払いを江戸の大黒屋本店、越後屋との談合で乗り切り、天野大膳ともども玄人レベルの包丁さばきでもてなしています。

小商いの簪職人・白銀家小兵衛からの懇願も退けたという話を聞き出すと、浪人を雇って斬ろうとしています。

その現場を通りかかったのが毘沙門天。白銀屋を今しも連れ去ろうとする死神を、遠ざけるのに成功します。

毘沙門天

小説『大名倒産』あらすじ|丹生川の鮭を江戸へ

大黒屋伊兵衛が比留間伝蔵に呼ばれ向かった先はきさぶ様の所。
小池越中守も同席し、きさぶ様の口から「この鮭を北前船で江戸へ運んでもらえないか」と。

これを聞いていたのが大黒天と布袋。

布袋

伊兵衛が店に戻ると、大黒屋本店の主人から「何事も当代和泉守のお力になるように」との手紙が届いていました。

小説『大名倒産』あらすじ|鮭奉行間垣作兵衛

鮭奉行の間垣作兵衛は蘆川の鮭を慈しみ、自ら産卵のための支流を開削し、蘆川をここまでたくさんの鮭が上る川へと作り上げてきた人物です。

江戸で高値で売りさばく、という案も「鮭の味が落ちる」という理由でいい顔をしてくれません。

福禄寿

佐渡島の千石船の持ち主、房五郎に声をかけたのが福禄寿です。

「越後丹生山のお殿様が大変なご苦労をなさっておる。行って力を貸してやれ」と。

ついに丹生山の鮭が江戸で大評判をとる日がきました。

さらにお城に届けらえたのが、上杉謙信公の隠し金山!

小四郎は二十五万両もの借金を全て確認し、長期間の利息の半金のみを切り捨て、残りは支払いができることに!!

できることをすべてやり尽くした人間たちと神様のご加護が成し遂げた奇跡でした。

浅田次郎『大名倒産』あらすじネタバレと感想|映画の世界観をご紹介・まとめ

江戸時代の越後地方の架空の藩を舞台に繰り広げられる、倒産を目論む父とお家再建を目指す子の物語。

魅力的な脇役に加え、貧乏神が連れてくる七福神に死神!

思わず笑ってしまいながらも人情の機微にホロリとさせられる名作です。

読み始めたら止まらなくなって、睡眠不足になりそうですが、ぜひ手に取ってみてください。

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