2003年に製作されたジム・ジャームッシュ監督の映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』。
俳優の名前がそのまま登場人物の名になっているのも、この11篇のショート・フィルムにはスッゲェー人ばっかり出てるから!
11編の登場人物とあらすじをご紹介していきます。
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』の予告編
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/オープニングテーマ
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「変な出会い」(STRANGE TO MEET YOU)
- 「双子」(TWINS)
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「カリフォルニアのどこかで」(SOMEWHERE IN CALIFORNIA)
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「それは命取り」(THOSE THINGS’LL KILL YA)
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「ルネ」(RENEE)
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「問題なし」(NO PROBLEM)
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「いとこ同士」(COUSINS)
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「ジャック、メグにテスラコイルを見せる」(JACK SHOWS MEG HIS TESLA COIL)
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「いとこ同士?」(COUSINS ?)
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「幻覚」(DELIRIUM)
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「シャンパン」(CHAMPAGNE)
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/エンディングテーマ
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』のみどころ
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』の感想
- 映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』のスタッフ
- 自宅で淹れる珈琲ならこれがおススメ
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』の予告編
全編モノクロなのですが、テーブルの天板やテーブルクロスに市松模様が使われているので、妙な一貫性を感じます。
ヘンな会話の絶妙な『間』を楽しみましょう!コーヒーでも飲みながら。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/オープニングテーマ
オープニングの曲はリチャード・ベリーの『ルイ・ルイ』。
好きだなあ、このセンス。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「変な出会い」(STRANGE TO MEET YOU)
【出演】ロベルト・ベニーニ、スティーヴン・ライト
1発目はお笑い。ドリフ系、カトちゃんケンちゃんです。
スティーヴンの名前を何度訂正しても「スティーヴ」になってしまうロベルト。
コーヒー好きの二人は「こどもには棒付きアイスにすればいい」などと話すのですが、コーヒーのアイスを『caffeine popsicle』と表現しているのが面白い。
大人用の眠気覚ましに、今度作ってみようかなと考えてしまいました。
寝る前にコーヒーを飲むと猛スピードで夢が見られる。
インディ500のレースを車から撮ったみたいに夢が猛烈にビュンビュン移り変わっちゃって、人に聞かれてもとても全部は話せない。スティーヴン・ライト『コーヒー・アンド・シガレッツ』
何のために待ち合わせしたんだろ、この二人。
「双子」(TWINS)
【出演】ジョイ・リー、サンキ・リー、スティーヴ・ブシェミ
メンフィスのダイナーで男女の双子がコーヒーを飲んでいます。
ソーサーにこぼれた薄いコーヒーがいかにも不味そう(笑)
この二人、スパイク・リーの妹と弟なんです!
店の店員がコーヒーのお代わりを注ぎに来て、そのまま話し込むというユルい展開。
ジョイ・リーが、煙草を紙で巻いて喫うしぐさがカッコよく、今はもう見られない光景に時代が変わったな…という感慨を抱きます。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「カリフォルニアのどこかで」(SOMEWHERE IN CALIFORNIA)
【出演】イギー・ポップ、 トム・ウェイツ
再びお笑いモード!この顔合わせが贅沢すぎでしょう。
「イギーと呼んで」と言っても、トムはジムと呼ぶのをやめないし。
禁煙したはずの二人が、前の客の忘れ物の煙草を楽しむ様子が実に面白いんです。
煙草を辞めて良かったよ。
辞めただろ?だから堂々と喫える。
辞めたんだからトム・ウェイツ『コーヒー・アンド・シガレッツ』
イギー・ポップが「ジュークボックスに君の曲がなかった」と話してから、トム・ウェイツとの会話がすれ違っていく様子、というよりイギー・ポップの困り顔が面白くて、食い入るように見てしまいます。
最後にイギー・ポップが退散してからジュークボックスを見に行き「奴のもないや」というトム・ウェイツ。辞めたはずの煙草の2本目、おいしそうですよ!
音楽がまたヨシ。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「それは命取り」(THOSE THINGS’LL KILL YA)
【出演】ジョー・リガーノ、ヴィニー・ヴェラ、ヴィニー・ヴェラ・Jr
60年代調のレストラン。
ギンガムチェックのテーブルクロスがかかったテーブルについた二人の初老の男。
ジョーはヴィニーに「タバコは体に悪い」と言いますが、ヴィニーは「俺は中毒なんだ、やめられない」。
ヴィニーはジョーに「お前はカフェイン中毒だ。やめた方がいい」。
相手のためを思ってアドバイスしてるのでしょうが、仲が良すぎて止めどがなくなるところが面白い。あげくに「もう楽しめない」というオチも笑えます。
BGMはMJQです。オシャレすぎでしょ。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「ルネ」(RENEE)
【出演】ルネ・フレンチ、E・J・ロドリゲス
ルネが素敵すぎて、カフェの店員が頼みもしないのみコーヒーのお代わりを持って来る話。
しかしルネが熱心に見ている雑誌の記事は拳●のカタログ…?という穏やかでなさ!
単純にルネの綺麗さを楽しみたい1編です。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「問題なし」(NO PROBLEM)
【出演】アレックス・デスカス、イザック・ド・バンコレ
アレックスはギャンブラーなんでしょうね。会いに来たイザックは善人風。
イザックが「困りごとはないか」と聞くほどに頑なに「問題はない」と繰り返すアレックス。
イザックがしつこく聞き出そうとするので「オレが順調じゃ不満か?」とまで言い出す始末。
最後にはイザックの方が親切の押し売りのように見えますが…問題あるから呼び出したんだよね、と思えてしまう幕切れです。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「いとこ同士」(COUSINS)
【出演】ケイト・ブランシェット
このショートフィルムの面白さは、ケイト・ブランシェットがセレブな世界的女優といとこの売れないロック歌手を二役で演じていること!
美しく上品で洗練されたケイトと、庶民的ないとこは髪型・メイク・服装だけでなく表情や声まで別人のようです。
ケイト・ブランシェットのコーヒーの注文がオシャレで、一度真似してみたくなります。
二人が会っているホテルのラウンジで、ケイトがいる間は許されたタバコを、ケイトが去った瞬間「禁煙です」と禁止されるところが笑えます。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「ジャック、メグにテスラコイルを見せる」(JACK SHOWS MEG HIS TESLA COIL)
【出演】メグ・ホワイト、ジャック・ホワイト
これ、ロックバンド『ホワイト・ストライプス』の二人なんですね!
ジャックが作ったと思われるワケわからん機械「テスラ・コイル」を作動させて、故障原因をメグが冷静に指摘するところがツボ。こういう姉弟いいわー。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「いとこ同士?」(COUSINS ?)
【出演】アルフレッド・モリーナ、スティーヴ・クーガン
これはコーヒーでなく紅茶が出て来るエピソード。
ショートブレッドが添えられて、英国風を醸し出しています。
こーいうのをうまい具合に「鼻持ちならない」感じに見せて楽しませてくれるのがいいですねえ。
スティーヴ・クーガンはスター、アルフレッド・モリーナは売れないタレント。
スティーヴはアルフレッドが調べあげた「自分たち二人はいとこ同士」という事実にも興味がありません。
去り際にアルフレッドに入ってきた電話で、スティーヴは突然、アルフレッド・モリーナはスパイク・ジョーンズ監督(『マルコヴィッチの穴』の監督)と人脈があることを知ります。
今までの無礼な態度を取り消すことは出来ず…後悔するスティーヴ・クーガンの小物感がヨイです。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「幻覚」(DELIRIUM)
【出演】GZA、RZA、ビル・マーレイ
GZA(ジザ)との待ち合わせに遅れて来たRZA(レイザー)は往診があって遅れたと…これはトム・ウェイツが「医療行為と音楽を両方やっている」というくだりの再出です。
そして二人が飲むのはカフェイン抜きの紅茶。
「カフェインは毒だ」「幻覚が見える」と言い合っていると…
席にコーヒーのお代わりを勧めに来たのがビル・マーレイ。
コーピーサーバーに口をつけ、豪快に飲み続けます。
GZAはビル・マーレイを「カフェイン中毒」ときめつけたあとで、寝る直前にコーヒーを飲むと、夢は猛スピード…と語り始めます。まるで第1話のスティーヴン・ライトのように。
ここでビル・マーレイがタバコに火をつけるために取り出したのが、やたらと大きな火の出るチャッカマン(笑)座っているだけで面白すぎるのだから、もう勘弁して欲しい。
コーヒーをがぶ飲みするビル・マーレイは「これは幻覚かも…」と口走ります。
煙草による咳が止まらないビルに、エセ代替医療師のRZAは「レンジ用洗剤でうがいしろ」と言います。
ビル・マーレイのうがいの音が響く中、店を出る二人です。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/「シャンパン」(CHAMPAGNE)
【出演】ビル・ライス、テイラー・ミード
小さなテーブルで向かい合ってコーヒーを飲む二人の老人。
「こうしているとマーラーが聞こえてくるようだ」と、想像のマーラーを楽しんでいるようです。
ビルがこうつぶやいたのは、想像を伝導することができると思ったからでしょう。
ニコラ・テスラは地球を一つの共鳴伝導体だと考えた
ビル・ライス『コーヒー・アンド・シガレッツ』
この言葉も2回目の登場。1回目はもちろん、テスラ・コイルの場面です。
次にテイラーは「このコーヒーをシャンペンだと想像してみよう。リッチでエレガントな人たちのように優雅に行こう」と提案します。
1920年代のパリ、1970年代のニューヨーク。
優雅な時代に思いを馳せでいますが、二人は労働者、今はつかの間の休憩時間のようです。
「休憩時間が終わったら教えてくれ」と言って目を閉じたテイラー。
まさか、永遠の眠りについてないですよね…?
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』/エンディングテーマ
作品に登場していたイギー・ポップの『ルイ・ルイ』を聴いて、お開きになります。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』のみどころ
違う場所、違う人、バラバラに撮られたショート・フィルムをひとまとめにして楽しめるのは、そこに『コーヒー』と『シガレット』があるから。
魅力的な俳優陣がこの小道具をどう使って見せてくれるのか?ワクワクしながら見守りましょう。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』の感想
最後の『シャンペン』は胸を打つものがありました。
年老い、疲れ切っても、生活のために働き、わずかな休憩時間に不味いコーヒーを飲む二人の男がいます。
でも、想像の翼があれば、耳にはマーラーの音楽が響き、紙コップのコーヒーは『神々のネクター』シャンペンに変えられるのです。
優雅な古き良き時代を思い、心を遊ばせることができる。コーヒーとタバコがあれば。
気軽に「チョイ見」ができるのもこの手の映画の良い所。お気に入りにして何度か見直したい映画です。
映画『コーヒー・アンド・シガレッツ』のスタッフ
監督 :ジム・ジャームッシュ
脚本: ジム・ジャームッシュ
プロダクションデザイン:マーク・フリードバーグ
製作: ジェイソン・クリオット、ジョアナ・ヴィセンテ
撮影: トム・ディチロ、フレデリック・エルムズ他
編集: ジェイ・ラビノウィッツ
自宅で淹れる珈琲ならこれがおススメ
楽天市場の珈琲豆です。
豆で買って、淹れる前にミルで挽きます。
フワっと膨らむ豆、立ちこめる薫り、たぶんジャームッシュ映画の珈琲より美味しいです(笑)
他の種類も試しましたが、格段の味わいです。
ぜひご自宅でコーヒー アンド…お好きなものをどうぞ。
コメント
楽しく読ませていただきました。
「いとこ同士?」のエピソードですが、アルレードとスティーヴが多分逆だと思います(映画を観て確認しました)。
(参考)
https://en.wikipedia.org/wiki/Coffee_and_Cigarettes
ご指摘ありがとうございます!
アマゾンプライムの無料期間が終わってしまったので、見直してないですが(笑)、逆だったかも!
記事修正させていただきました。
もう一度見たくなりました。いい映画ですよねー
さっそくご対応有難うございます!