『マルホランド・ドライブ』ネタバレ考察10のヒントを読み解くには?

映画

映画『マルホランド・ドライブ』はデヴィッド・リンチ監督の2001年の作品。

難解なこの映画に函しては様々な考察がされていますが、この映画を楽しむためにデヴィッド・リンチ監督自らが提示した10のヒントからシンプルにこの映画を読み解いていきます。

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映画『マルホランド・ドライブ』デヴィッド・リンチ監督の10のヒント

映画『マルホランド・ドライブ』公開時に公式サイトに記載されたという10のヒントは下記のとおりです。

  1. 映画の冒頭に、特に注意を払うように。少なくとも2つの手がかりが、クレジットの前に現れている。
  2. 赤いランプに注目せよ。
  3. アダム・ケシャーがオーディションを行っている映画のタイトルは? そのタイトルは再度誰かが言及するか?
  4. 事故はひどいものだった。その事故が起きた場所に注目せよ。
  5. 誰が鍵をくれたのか? なぜ?
  6. バスローブ、灰皿、コーヒーカップに注目せよ。
  7. クラブ・シレンシオで、彼女たちが感じたこと、気づいたこと、下した結論は?
  8. カミーラは才能のみで成功を勝ち取ったのか?
  9. Winkiesの裏にいる男の周囲で起きていることに注目せよ。
  10. ルース叔母さんはどこにいる?
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映画『マルホランド・ドライブ』登場人物(以後ネタバレあり)

『マルホランド・ドライブ』は、前半が主人公ベティ/実はダイアン・セルウィンの見る夢であり、後半がダイアンの現実で、恋人リタ/実はカミーラ・ローズを殺し屋に襲わせた物語というのが一般的な解釈とされています。

もちろん、映画の解釈は観た人それぞれに異なるでしょうけれども、この記事では上記の設定を前提に進めていきます。

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映画『マルホランド・ドライブ』第1のヒント

1.映画の冒頭に、特に注意を払うように。少なくとも2つの手がかりが、クレジットの前に現れている。

クレジットの前に現れるのはダンスをしている男女のシーン。
さほど洗練されているわけでもなく、微妙に野暮ったい服装は、ベティ/実はダイアン・セルウィンがハリウッドに出てくる前にカナダ・オンタリオの近くの田舎町で優勝したというダンス・パーティ(ジルバ・コンテスト)のシーンでしょう。
そこに重なってくるのが晴れやかな笑顔のベティと両親(と思われる)の笑顔です。

もう一つは赤いシーツ、赤い枕カバー、赤いベッドカバーとベージュのブランケットと寝息です。
これが、これから始まるストーリーがこのベッドの主の夢であることを示しているのでしょう。

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映画『マルホランド・ドライブ』第2のヒント

2.赤いランプに注目せよ。
最初は車のブレーキランプまで食い入るように見てしまいましたが(笑)、これはベッドサイドの赤いスタンドのライトを探しましょう。
赤いランプが出てくる場面は、
1.謎の大物・ミスターロークが「女はまだ行方不明だ」と電話をかける。
2.これを受けたシャンデリアのある場所に居る太った男が「状況は進展なし」と電話をかける。
3.これを受けた黄色い電話の男が、電話を二回切ってからダイヤルする。
4.鳴っているのは黒い電話・吸い殻のたまった四角い灰皿・赤いランプの場所
いったいどこの誰に電話をかけたのでしょう?

 

もう1回は、ダイアンがシエラ・ボニータ通りの自宅のキッチンで惨めな気分になった後、カミーラからパーティーへの誘いの電話をとるシーンです。

これが不思議なのは、17号室の電話はこの電話とは別のもので、スタンドも別のものだったことです。それは、部屋を交換した女が食器を取りに来るシーンでわかります。

では、この部屋は12号室なのでしょうか?

赤いシーツとベージュの毛布は17号室にあったので、不思議なことです。

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映画『マルホランド・ドライブ』第3のヒント

3.アダム・ケシャーがオーディションを行っている映画のタイトルは?
そのタイトルは再度誰かが言及するか?
これは『シルビア物語』ですね。
アダムとカミーラの婚約パーティーで話題になります。
『シルビア物語』のオーディションでダイアンは落ちカミーラは主役を勝ち取りスターダムにのし上がりました
そこでダイアンはカミーラと知り合い、恋人関係になりますが、パーティーの席ではカミーラの新しい恋人も見せつけられます。
さらにカミーラはアダムをも手に入れたのです。
カミーラの新しい恋人が、前半では『カミーラ・ローズ』と名乗りオーディションで主役を射止めていたことも、ダイアンの夢の中の出来事であり、ダイアンの願望『カミーラでなきゃ良かったのに』が反映されていると思いました。

映画『マルホランド・ドライブ』第4のヒント

4.事故はひどいものだった。その事故が起きた場所に注目せよ。
これがマルホランド・ドライブであることは映像でわかりますね。
さらに、アダムとカミーラの婚約パーティの場面、カミーラがダイアンを迎えに来た時に、アダム・ケシャーの家のすぐ下であることに気づきます。
これは、ダイアンにとって婚約パーティーの夜が最低最悪の夜であり、アダムの家の近くが忌まわしい場所であったため、想像上の事故現場をアダムの家の近く、車を降りた場所にしたと考えられます。

映画『マルホランド・ドライブ』第5のヒント

5.誰が鍵をくれたのか? なぜ?
最初に鍵を受け取るのは、伯母の家の鍵をココから受け取るシーン。
ココがアダムの母だったことを思えば、デヴィッド・リンチ監督は「ココも重要人物である」アピールをしたかったのかも。
一番怪しい青い三角の鍵は、リタ/カミーラのバッグに入っていましたが、誰から受け取ったものかはわかりません。
そして青い三角の鍵が合う青い箱は、クラブシレンシオでベティ/ダイアンのバッグに入っていたものです。
リタ/カミーラがこの箱を三角の鍵で開けた時、夢が終わり後半パートが始まります。
もう一つの青い鍵はシエラ・ボニータ通りのダイアンの家にありました。
これは『有名なブラックリスト』(世界中の電話番号が載っている)を持った殺し屋(前半で間抜けな段取りで奪ったもの)が、「済んだら例の場所に戻す」と言いダイアンに渡すものです。うーん時系列がわからない…

映画『マルホランド・ドライブ』第6のヒント

6.バスローブ、灰皿、コーヒーカップに注目せよ。
ルース伯母さんの家で、オーディション前の練習をするベティとリタ。
ベティ/ダイアンが着ていたのはピンクのパイル地のバスローブ
しかし、シエラ・ボニータ通りの家では、ダイアンはみすぼらしいバスローブを着ていました
境遇の違いが表れていますね。
灰皿は、赤いランプと共に現れる四角いものと、シエラ・ボニータ通りの部屋を交換した女のピアノ型のものが印象的です。
コーヒーカップはウィンキーズの茶色いものに着目しがちですが、
・映画製作の打ち合わせでカスティリアーニ兄弟が出されたコーヒーを「不味い」と吐き出すシーン
・アダムとカミーラの婚約パーティでダイアンが飲むコーヒーは不味く感じたであろうこと
を指していると考えます。
なぜなら、この翌朝には殺し屋に依頼しているのですから…敗北感と自暴自棄が入り混じった不味いコーヒーを、ダイアンはできるなら吐き出したいと考えていたことでしょう。

映画『マルホランド・ドライブ』第7のヒント

7.クラブ・シレンシオで、彼女たちが感じたこと、気づいたこと、下した結論は?
夜中にリタ/カミーラが呟いた「シレンシオ」の一言で夜の2時にクラブシレンシオにで掛けた二人。
この時のドレスアップも素敵でした…あ、脱線しましたね(笑)
この時クラブでは司会者が「すべては録音、楽団はいない」と繰り返します。
また、歌手が登場して歌い始めますが、これも録音
ステージ上で倒れて運び出されますが、この時二人は『これが現実ではなく夢であること』を感じ取り、気づき、涙を流したのでしょう
下した結論は、ベティ/ダイアンの持っていた青い箱を、リタ/カミーラが持っていた青い鍵で開けること=現実世界に戻ることだったのでしょう。

映画『マルホランド・ドライブ』第8のヒント

8.カミーラは才能のみで成功を勝ち取ったのか?
これは、この質問自体が謎を含んでいます。
なぜなら、前半に登場する『カミーラ・ローズ』はマフィアや映画会社の思惑で役を射止めているからです。
このことは、ダイアンはそう解釈したかったから、と受け取ることができます。
自分が主役の座を掴めなかったのは、実力でなく、裏の力が働いたからだ、と。
前半、オーディションに挑むベティ/ダイアンは、お色気を使って大胆な演技を見せ、高評価を得ています
このことは『こうすれば良かった』というダイアンの願望なのでしょうが、翻って考えてみると、リタ/カミーラは色仕掛けで役を獲得したかもしれないという疑惑を感じさせます。
パーティーでのダイアンの表情には、嫉妬、憎しみ、疑惑があふれています。
恋人だと思っていたのに、汚い手口で人を蹴落としたのね!と思ったかもしれません。

映画『マルホランド・ドライブ』第9のヒント

9.Winkiesの裏にいる男の周囲で起きていることに注目せよ。
ある日ウィンキーズにやって来た2人連れ、ダンとハーブ。
ダンは「夢を2度見た。夢の中で恐怖を感じた。壁越しに男がいるのを感じたから、実在するか確かめに来た」と言い、二人は恐る恐る店の裏に探りに行きます。
すると、突然真っ黒な顔の男が現れます!
人かどうかもわからないほど、炭を塗ったかのように黒く汚れた顔、もつれて汚れた長い髪。
ダンは一目見ただけで、ショックで死んでしまいます。
これは、夢の中の恐怖で現実に死が訪れることを示唆しているかもしれません。
あるいは男か女かもわからないほどに真っ黒な人物は、恨みに駆られどん底まで落ちていったダイアンを暗示しているのかもしれません。

映画『マルホランド・ドライブ』第10のヒント

10.ルース叔母さんはどこにいる?
前半の設定では、女優のルース伯母さんがカナダに行く間、姪のベティが家を使わせてもらう、ということでした。
行き先がカナダ、というのはベティ/ダイアンの出身地でもありますね。
改めて考えてみれば、ダイアンはカナダに帰るという選択肢もあったのではないか、と思わされますね。
ダンスコンテストのシーンでは、両親と思われる老夫婦がベティ/ダイアンの優勝を喜んでくれていましたので、カナダ=故郷と考えるとより悲しみを増すストーリーになります
一方、後半では伯母さんはもう亡くなっていて、ダイアンは受け取った遺産でハリウッドを夢見てやって来ました。
すると、伯母さんはもういない
なにやら絶望的な感覚に襲われます。
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『マルホランド・ドライブ』ネタバレ考察10のヒントを読み解くには?まとめ

以上、デヴィッド・リンチ監督の10のヒントを自分なりに解釈してみました。
今後見直すたびに、何か違うものを感じるかもしれませんし、見る人によって「全然違うよ!」と思われるかもしれません(笑)
それだけ『マルホランド・ドライブ』は魅力的な作品です。
実は『ツインピークス』のDVDセットを買ったので、それを見るのも楽しみにしています。
『ツインピークス』とは出演者、舞台背景、設定など多くの共通点を感じていますので、見終わったらまたこの記事も書き換えるかも…
何度も楽しめる『マルホランド・ドライブ』、ぜひ楽しんで見てください。
【監督・キャスト】

監督・脚本:デイヴィッド・リンチ
ベティ・エルムス/ダイアン・セルウィン:ナオミ・ワッツ
リタ/カミーラ・ローズ:ローラ・ハリング
ココ(ミセス・ルノワ)/ココ(アダムの母親):アン・ミラー
アダム・ケシャー:ジャスティン・セロー

 

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