桐朋学園大学の『桐朋祭2020』において行われた『超絶技巧選手権』。
同大2年生(当時)のヴァイオリン専攻、飯塚歩夢さんの『チャルダッシュ』の演奏が話題を集めています。
確かな技術があるからこそ称賛される、プロ顔負けの上質のエンターテインメントです。まずは動画を見ていただくことをおすすめします!
この演奏をされている飯塚歩夢さんとはどんな方なのでしょう?
『チャルダッシュ』とは?
『チャルダッシュ』はヴィットーリオ・モンティ(イタリア)作曲の作品。
マンドリンのために書かれたこの曲は、ヴァイオリンやピアノで演奏されることが多いですが、管楽器で演奏される場合は「超絶技巧」とされています。
今回ご紹介するヴァイオリンの演奏はまさに「超絶技巧」、管楽器の演奏者も吹き出さないためには超絶な訓練が必要だったでしょう!
小梅太夫の扮装で『チャルダッシュ』を演奏する飯塚歩夢さん
東京・調布市の桐朋学園大学の『桐朋祭2020』において行われた『超絶技巧選手権』(2021年3月9日)からの映像です。
ヴァイオリンのソリストは飯塚歩夢(いいづか あゆむ)さん。
歩夢さんが金の扇で顔を隠しながら赤い着物にたすきをかけてステージに登場するだけで、オーケストラのメンバーが笑ってしまっています。
扇を下ろせば白塗りの顔、日本髪のカツラ!
笑顔であいさつすると、おもむろにヴァイオリンを手に取ります。
出囃子を少々奏でてみせた後は、豊かな音色、卓越した技術を駆使した素晴らしい演奏が始まります。
「小梅太夫の扮装で演奏するの?」と思いましたが、これは序の口。
『チャルダッシュ』を演奏する飯塚歩夢さんの多彩な芸
まずは、ステージ上に用意された「足つぼマット」を踏みながら、苦悶の表情で演奏を続けます。
次に取り出したのは子ども用?おもちゃのような20cmほどのヴァイオリンです。
しかし、歩夢さんの手にかかると良い音で歌っています。
ステージ上を右に左に歩きながら、魅せてくれます。
これは、本物のエンターテイナーです!
フルートがソロを吹く間に用意したのはフラフープ。
まさかのアレグロ部分の16分音符をフラフープを回しながら見事に弾き切ります!!
まさに超絶技巧です。
会場からは拍手が沸き上がります。
歩夢さんがおもむろに指揮者のもとに歩み寄ったかと思えば、ヴァイオリンを弾きながらピアニカをくわえ、指揮者に鍵盤を弾かせながら一人で合奏です!!
ピアニストがピアニカを目の前に置いて同時に演奏するのは見たことあるけど、ヴァイオリンと同時にピアニカ吹こうと思います?
オケは足を踏み鳴らして拍手します。
お次はギター!ヴァイオリンのように顎の下に無理やり挟んで。
弓は構えてるけど…左手の指で弦をはじいて音を出しているようです。
ピアノの椅子が用意され、小梅太夫は帯を確認しています。
前結びになっていて、後ろは平らですね。
ステージ上の何気ない動きもサイレント映画のコメディアンのようで、目が離せません。
椅子に腰を下ろした歩夢さんは、ここまでの演奏で疲れたのか、手で顔をあおいで、ペットボトルの水を飲んでいます…あ!
一気に頭が床につくまでのけぞって、ピアノの椅子を使ってブリッジの体勢になってしまいました!
ここからの堂々たる演奏が凄い。
こんな体勢でも一寸の狂いもない演奏です。
でもここから起き上がれない。どうするの、と思っていると、椅子の上から後ろ回りで床に降りる、アクロバットまで見せてくれます。
指揮者やオケに足を踏み鳴らすストンプを要求、気持ちよく弾きまくってくれます客席に背を向けて、お尻を振ってサービスサービス!
フィナーレでは黒子が隣から金の紙吹雪をかけて盛り上げます。
桐朋祭って、学園祭ですよね?
プロのエンターテイナーでも、ここまでやれる人っているのでしょうか??
桐朋学園大学のエンタの達人、飯塚歩夢さんって何者?
2001年横浜生まれ。7歳よりヴァイオリンを始める。
第6回横浜国際音楽コンクール小学Bの部第2位。第2回デザインKジュニア&学生国際音楽コンクール中学生の部及びグランプリ第1位。イタリア世界遺産オリンピコ劇場及びヴェローナ・ヴェネツィア各国立音楽院にて演奏。京都高台寺特別演奏会に出演。第10回セシリア音楽コンクール中学生の部第1位。第69回全日本学生音楽コンクール東京大会中学生の部第2位。第70回同コンクール東京大会高校の部第3位。第10回ベーテン音楽コンクール高校の部第1位。第8回コンコルソ・ムジカアルテではグランプレミオスペチャーレ(特別優秀大賞)。東京音楽大学付属高等学校「交歓演奏会」に出演。第6回Kアンリミテッド音楽コンクール第1位。第35回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール大学生の部(飛び級)第1位。第11回国際ジュニア音楽コンクールヴァイオリンF部門第1位。第2回Kグランプリコンクール第2位(最高位)。第5回日本ヴァイオリンコンクール入選。
(2020年2月現在)Copyright © 2021 横浜フィルハーモニー管弦楽団
横浜フィルのサイトに掲載された数々の賞に彩られたプロフィールがこちらです。
飯塚歩夢さんは桐朋学園大学3年生、ヴァイオリン専攻。
特待生として在学されているようです。
横浜市の「Hope Hills 音楽教室」で指導もされているようです。
2021年4月にはコロナ禍の合間にリサイタルでの演奏もされています。
飯塚歩夢さん2018年(高校1年生)のコメント
弦楽器部門 高校生の部 第1位 飯塚歩夢さん
ヴァイオリンを始めたきっかけは何ですか?
――僕がヴァイオリンを始めたきっかけは、小学校一年生の時あるテレビ番組で、ヴァイオリンを弾いている人の姿がとても格好良く見えたからです。その日から家族にヴァイオリンを習わせてほしいと言い続けました。クラシック音楽とは縁のなかった家では、そのうち諦めるだろうとずっと取り合わなかったそうですが、まったく諦めなかったため、小学校二年生の時、ようやく子供用のヴァイオリンセットを買ってもらい、習い始めることができました。初めて楽器を持った時のニスの匂いやヴァイオリンの美しさが嬉しくて、よくヴァイオリンの絵を描いていました。今でもヴァイオリンはとても綺麗で製作者の想いが詰まった大変魅力的な楽器だと思っています。これまでのレッスンの思い出をお聞かせ下さい。
――これまでにご指導して頂いたレッスンを振り返ると、出来ないことが多く落ち込んで帰る日々を思い出します。復習してみると先生方のおっしゃることは大変的確で、教えて下さったことに感謝しました。また技術だけでなく作曲家やヴァイオリニストなどのお話は大変楽しく、勉強になります。ご指導して頂いた様々な事を忘れずに今後も練習に励んでいきたいと思います。今後の目標はなんですか?
――目の前にある課題を一つ一つクリアし、誠実に音楽に向き合っていきたいです。
ヴァイオリニストというと、”名門の音楽一家のお生まれで幼少のみぎりから親御さんの意向で…” というイメージを抱きがちですが、自分自身の情熱から音楽の世界へ飛び込んでいったという飯塚さんには、やはり特別な何かを感じます。
応援していきたいですね!
チャルダッシュを弾く小梅太夫:桐朋学園大の飯塚歩夢さんって何者?まとめ
飯塚歩夢さんは2001年生まれ、東邦学園大学の特待生、現在3年生です。
7歳でヴァイオリンを始めてから、多くの賞に輝いてきました。
その確かな技術をお笑いと融合したエンターテインメントを学園祭で披露した動画が、今も話題を集めています。
これからも注目していきたいですね。