アニメ『葬送のフリーレン』12話は原作『葬送のフリーレン』3巻25話『剣の里』から。
あらすじと見どころ・感想をご紹介していきます。
『葬送のフリーレン』12話『本物の勇者』|ヒンメルの旅立ち
過去の回想。勇者ヒンメル一行の旅立ちの日、聖都シュトラール。
王様から銅貨10枚を受け取り、あとは討伐依頼で路銀を稼ぎながら旅をしようと語るヒンメルは、大剣をかざしてやる気満々です。
フリーレンはそれを見て「勇者の剣だ」と言いますが、ハイターはすぐに「レプリカ(偽物)ですよ」とネタバレします。
ヒンメルがまだ子どもの頃、村に来た行商人を魔物から救い、お礼にと貰った剣です。
孤児院で育ったヒンメルに、同じ孤児仲間のハイターは「偽物の剣しか持っていないから偽物の勇者にしかなれない」と言い、「じゃあ本物になってやろうじゃないか」とヒンメルは思ったのです。
僕はいつか本物の”勇者の剣”を手に入れて、魔王を打ち倒す。
ヒンメル『葬送のフリーレン』3巻25話『剣の里』 p.142
『葬送のフリーレン』12話『本物の勇者』|剣の里
勇者ヒンメルの死から29年後、北側諸国シュヴェア山脈。
シュヴェア山脈に入る前、デッケ地方でフリーレンたちはクラフトと冬を越したんだったね。
山ではまた吹雪に遭い、フリーレンはフェルンにおんぶされて進みます。
シュタルクが、フェルンが疲れただろうと「代わるぜ」と申し出ますが、フェルンにあっさり「えっち」と断られます。
あっさり頼めばいいのに。フェルンは意外とシュタルクを「男性」として意識しているのかも?
たどり着いた山里は『剣の里』。
言い伝えでは『勇者の剣を引き抜けるのは、この世界を滅ぼす大いなる災いを撃ち払う勇者のみ』とされ、勇者ヒンメルが80年前に勇者の剣を手に入れた場所と言われています。
フリーレンは80年ぶりに再訪したわけですが、この山里が魔物に襲われた形跡が。
今では『山の主』と呼ばれる大物が居座り、シュタルク、フェルン、フリーレンの3人がかりでようやく倒します。
こんな大物が集まっている理由は、洞窟の中にいまだに本物の勇者の剣があるからなのです。
世間ではヒンメルが勇者の剣を手に入れたと言われていますが、ヒンメルはこの剣を引き抜けなかったのでした。
いいじゃないか偽物の勇者で。
僕は魔王を倒して世界の平和を取り戻す。
そうすれば偽物だろうが本物だろうが関係ない。ヒンメル『葬送のフリーレン』3巻『剣の里』より
そう言いきるヒンメルの潔さとハートの強さがいいですね~!
【関連記事】ヒンメルの強さとは
フリーレンは半世紀後の来訪を約束して里長に別れを告げます。
フリーレンにとっては『ほんの50年』。
里長の孫が待っていることになるのかな?
『葬送のフリーレン』12話『本物の勇者』|シュタルクの誕生日
勇者ヒンメルの死から29年後。北側諸国アペティート地方。
地図で探してみて!
宿をとったところで、フリーレンはフェルンに「今日はシュタルクの誕生日」と教えます。
フリーレンがシュタルクへのプレゼントとして用意した『服だけ溶かす薬』はフェルンに捨てられてしまいます(笑)
フェルンはシュタルクに直接聞こうとして、居所を探します。
すると
「荷車を押すのを手伝ってくれた」
「木から降りられなくなっていたのを助けてくれた」
「子どもたちと遊んでくれた」
「暴れ牛を止めてくれた」
と、わずかな時間に人助けをして回っているようです。
わあ!シュタルクいい奴!
フェルンは広場でくつろいでいるシュタルクを発見します。
シュタルクは「あの雲おっぱいみたいだ」と呟いて、シュタルクを尊敬しかけていたフェルンは(えっちだった)とぼうぜんとします。
次には「あっち(の雲)はうんこだ」。
フェルンは(こいつガキなんだ)と元のモードに戻ってしまいます。
『こいつ』呼ばわり(笑)
ようやくシュタルクに話しかけたフェルンは考えたあげく、欲しいものはあるかと直球で聞くことに。
シュタルクは今まで誕生日プレゼントを貰ったことはないと言うのです。
【シュタルクの回想】
シュタルクの兄のシュトルツは非常に優秀な戦士でした。
シュタルクの父はシュタルクを失敗作と言い、相手にしていません。
ヒドい父親だな!
しかしシュトルツはシュタルクを可愛がり、剣の稽古をつけてくれてくれました。
不器用なシュタルクは、兄の真っ白いマントに泥跳ねをつけてしまったこと、故郷が魔族に襲われた時には逃げ出してしまったことを忘れられず、自分を「失敗作」と感じたままです。
『葬送のフリーレン』12話『本物の勇者』|シュタルクへのプレゼント
シュタルクの話を聞いたフェルンは、市場へ一緒にプレゼントを探しに行きます。
シュタルクが選んだブレスレットを、即座に「高いからダメ」と却下していますが…(笑)
宿へ帰ってきたフェルンとシュタルクを待っていたのは、フリーレン特製特大ハンバーグです!
シュタルクは、師匠アイゼンの『誕生日のハンバーグ』を覚えていますが、その由来はきいたことがなかったようです。
フリーレンはアイゼンたちとの旅を思い出し、シュタルクに話します。
アイゼンが誰かの誕生日のたびに、馬鹿でかいハンバーグを作ってくれたこと。
これはアイゼンの地方の風習で、精一杯頑張った戦士を労うための贈り物であるということ。
ヒンメル「でもアイゼン、ぼくたちは戦士じゃないぞ。」
アイゼン「頑張った者は皆戦士だ。」
『葬送のフリーレン』3巻26話『戦士への贈り物』
シュタルクは、とある誕生日のことを思い出していました。
シュタルクの誕生日に、兄は「親父達には内緒だぜ」といいながら特大ハンバーグを作ってくれたことを
戦士の村の英雄シュトルツは、魔族と戦いながら、幼いシュタルクの前にかがみこみ「逃げろ。シュタルク。お前は生きるんだ。」
そう言って微笑んでくれたのでした…
フリーレンが作ってくれたハンバーグはアイゼンからもらったレシピのもの。
生まれて初めて特大ハンバーグの意味を知ったシュタルクです。
ハンバーグに込められたアイゼンの思い、兄シュトルツの思い。
そして兄の記憶が、今まで自分を責め続けてきた村を離れて一人生き延びたことへの引け目から、シュタルクを解放してくれたのです。
いい話だな…
兄が、師匠が、心を込めて作ってくれたハンバーグの味には、シュタルクへの思いがつまっていたんだね。
シュタルクも、これからは誰かのためにハンバーグを作るかもしれないね!
フリーレンに「どう、美味しい?」と聞かれたシュタルクは短く「ああ。」と答えますが、心の中は自分を「戦士」として祝福してくれた人たちへの感謝、そして自分を苦しめてきた「故郷を捨てて逃げたこと」からの解放でいっぱいになったことでしょう。
そんなシュタルクを見守るフリーレンの微笑みも、「人間を知る」という長い旅の意味を感じさせる一コマです。
『葬送のフリーレン』12話『本物の勇者』あらすじと感想まとめ
アニメ『葬送のフリーレン』12話は、ヒンメルの『勇者の剣』は本物ではなかったけれどもヒンメルは本物の勇者になったエピソードと、シュタルクの誕生日をフェルンとフリーレンが祝うエピソードでしょう。
この二つは別の物語のようですが、
- ヒンメルは、自分の覚悟で本物の勇者になったこと、
- シュタルクは失敗作と呼ばれながらも、自分の覚悟で本物の戦士になったこと
という共通点がありますね。
フリーレンも、フェルンも、もちろん同じ思いを持っています。
そんな彼らを、私たちは応援せずにはいられません!
派手な戦いのないこんな回こそ、『葬送のフリーレン』の感動回なのかもしれませんね。
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