Blue Giant Explorer(ブルージャイアント エクスプローラー)2巻のあらすじと出てくる曲についてご紹介します。
アメリカ編になってから、主人公宮本大は今まで以上に主体的に行動し、たくましくなっていきます。
大の人との触れ合いの優しさ、温かさに目頭が熱くなる2巻の読み応えでした!!
ワシントン州シアトル
大がアメリカで最初に到着したシアトル。車を買うためにアルバイトをしているカーショップの同僚、エディがライブのゲストに呼んでくれました。
ロックミュージシャンの中で堂々と演奏した大ですが、評価は賛否両論です。
これで閉店、というこの店のオーナーは大に言います。
「この店がアメリカ最初のステージだった、そういうことにしてくれないか?
そうすれば君がビッグになった時、この店の名が残るだろ?」
オーナーにはそうなるかもしれない、という予感があったのでしょうか。いずれにしても、心がキュンとするエピソードになりました。
演奏を聴いたカーショップのボスも思うところがあったようで、大のために似合う車を探してくれています。
エディも珍しく早く出勤して働いています。
「吹っ切れたんだ。」という言葉にぐっときますね。
エディは長年、もしかしたらもう一度、と思い続けて練習を続けてきて、本気で大と競ってみて歴然と差を自覚したこと。
辛いかもしれませんが、現実に向き合って生きていくことを決心した清々しさを感じます。
そしてボスとエディは大のために用意してくれた1984年型のホンダシビックを見せるのです。
「オマエは明日シアトルを発て」と大に言った後ボスは、朝までかかってカーオーディオを付けてやるのです。
試聴しようとiPhoneで検索すると、大がヨーロッパでレコーディングしたアルバムが見つかります。
カーオーディオを大音量で鳴らしながらボスがつぶやく「いい音だ。」はやはり大のサックスの音を褒めているのでしょう。
大はコインランドリーへ行き、ホステルを引き払い、朝練に行きます。
その後カーショップへ行くと、大の車が待っていました。
カーオーディオまで着いた車の値段を聞くと、ボスは「2000ドルだ」と言いますが、今まで最低賃金以下で仕事をしてくれたから、と「1000ドルでいいよ」と言ってくれます。
大を応援してやりたい気持ち、精一杯仕事をしてきた大へのねぎらいの気持ちがこもっているのでしょう。
「それと」「ジャズを1曲聴かせてくれ。Dとエディで」とボスは言います。
渋るエディに大は車の運転のこと、キャンプなどのお礼を言います。
連れて行ってくれたジャズバーのピアニスト、これはエディのお父さんでのことです。
オレ、プロの音楽家は大きなステージに立って、多くの客の前で演るのが「勝ち」だと思ってきました。
でも、どんな日でも毎日、毎晩、彼はあの場所でピアノを弾く。
ああ、こんな形が、こんな「勝ち」があるんだなって、シアトルで本物のプロのピアニストに出会えたなって凄く感動しました。
Blue Giant Explorer2巻より
車の下にもぐって作業しながらエディは涙を流しています。
そして2人はハンク・モブレーの「This I Dig Of You」を演奏することにします。近所の工場の職人さんたちも呼んで、皆で演奏を楽しみます。
ボスはiPhoneで録画しながら「今なら新しいカスタムカーが創れるかもな。」と考え、大を見送るのでした。
This I Dig Of You/ハンク・モブレー
どこまでものびのびと歌うような、話しかけるような、優しいサウンドは聞く人をハッピーにさせてくれますね!
タイトルは君のことが大好きだよ、くらいの意味でしょうか。
なんてピッタリの音なんだろう。好きだー!
ハンク・モブレー(テナーサックス)
ウィントン・ケリー(ピアノ)
ポール・チェンバース(ベース)
アート・ブレイキー(ドラム)
この曲が収められたSoul Stationは名盤です!タイトル曲もイイです。
オレゴン州ポートランドへ
いつものケバブ屋で最後の買い物をして一路南へ。
目的地はオレゴン州ポートランドです。
初めての1人のドライブ、広すぎるアメリカの道、初めての給油。
なぜかトラックに追い越されて怖い思いをするのは、ボスがジョークで付けたナンバーが「PASS ME」だから?
大は、ヨーロッパではいつもガブが運転してくれていたことに、改めて感謝するのでした。
オレは新しいジャズを探す。新しいジャズを創る。
トラベラーじゃない、エクスプローラーだ。
自分の力で手に入れた車を、自分で運転しながら、自然にそう思えたのでしょう。
たくましいですね!
ヒッチハイカーを見かけても余裕がないので何人か見送ってきました。
しかし自分がいつも助けられてきた、と気づくと、もう大は見過ごすことができません。
次のヒッチハイカーを乗せてやることにします。
彼はスケボーを楽しむジェイソン。
世界一を目指す、と大が話すと、
「今が楽しいのにビッグになりたいの?それは古い考えだ」
ポートランドは”勝ち負け”や”名声”とか古い価値観から脱した街だと言います。
大は自分と全く違う考え方に接して、少し考え込んでしまいます。
ジャズバーに入り、演奏させて欲しいと頼むと優しくキッパリと断られてしまいます。
翌日、コーヒースタンドで、カフェで、「どんな音楽が好きですか?」と聞いて回ります。
ジャズは思っていたよりずっと聴かれていなかったけれど、ポートランドはいい街だからここで何かやりたいと考えます。
そして、街のラジオ局を飛び込みで訪問するのです。
ポートランド ラジオ出演
ラジオ局ののDJ はドイツのレーベルからアルバムを出している大のことを知っていました。
そして番組で生演奏をさせてくれたのです。
放送後、リスナーからさっそく反響があり、なんと昨日断られた店から出演オファーが来たのです!
ポートランド 初のステージ
渡米初の自身のステージ。
集まったメンバーとリハーサルをして料金を決めます。
チャージは8ドル。
30分ほどの短い時間ですが、大は渾身のプレイを繰り広げます。
あ!セットリストが読めますね!どれどれ・・・
Dear Old Stockholm/スウェーデン民謡
“Dear New Portland”となっていますが元ネタはこれではないでしょうか。
スタン・ゲッツの演奏で有名になり、その後マイルス・デイヴィスはじめ多くのミュージシャンに取り上げられるようになりました。
Cheese Cake(チーズケーキ)/デクスター・ゴードン
デクスター・ゴードン(テナーサックス)大のテナーがどんなふうか、といえばたぶんこんな感じだと思っています。
骨太で、自由で、情熱的。
ソニー・クラーク(ピアノ)
ブッチ・ウォーレン(ベース)
ビリー・ヒギンス(ドラム)
I’m glad there is you/ポール・マデイラ他
大のイメージならこんな感じ?
「君がいてくれて私は嬉しい」、素敵な歌詞が付いているので歌ものも聴いてみてください。
Eclypso/トミー・フラナガン&ジョン・コルトレーン
「エクリプソ」はトミー・フラナガンの代表曲。日食・月食を表すEclipseと、カリブ海の音楽Calypsoとの造語です。
トミー・フラナガン(ピアノ)
ジョン・コルトレーン(テナーサックス)
アイドリース・シュリーマン(トランペット)
ケニー・バレル(ギター)
ダグ・ワトキンス(ベース)
ルイ・ヘイズ(ドラム)
アメリカで初めてのデート
大は次の町に行くことを考えながら馴染みになったコーヒースタンドに寄ります。
すると、コーヒースタンドの女性、シェリルから「食事でもどう?」と誘われるのです!!
今まで女っ気のなかった大なので、練習した後はスニーカーを買い替え、髪も整え、白いシャツを着てレストランに行きます!
「自分はNo.1ジャズプレーヤーを目指している」と大が話すと
「なぜ?」と聞くシェリル。
「分からない。まったく分からないんだ」
「理由がないってことはあなたは本当に音楽が好きってこと」
最後にバーでビールを飲みながら、いつかまた会おう、という二人なのでした。
Blue Giantの主人公はホントに色気のないミュージシャンなので、心配していました。
たまにはこんなことがあってもいいですね!
まとめ
ブルージャイアントエクスプローラー2巻のあらすじと、作中に出てくる曲5曲
1.This I Dig Of You
2.Dear Old Stockholm
3.Cheese Cake
4.I’m glad there is you
5.Eclypso
以上をご紹介させていただきました!
大はアメリカに来て、自分の力で1歩ずつ行動して、たくましさを増しています。
いつも自分は人に助けられていることを意識して、感謝の気持ちを忘れません。
時に自分と違う生き方の人に会っても、相手を否定することなく「オレはオレだ」と思うことができます。
そんな大の1歩1歩を、読者である私たちは応援したくなってしまいます。
がんばれ大!