『キングダム』で描かれる趙国の武神・龐煖(ほうけん)。
龐煖の最期はどんなものだったのか?信たちとは何回戦ったのか?
そして最後に明かされる出生の秘密とは?についてご紹介していきます。
これによって龐煖の思想や矛盾、抱えていた孤独への理解が深まると考えています。
では最後までお楽しみください!
『キングダム』龐煖(ほうけん)死亡は何話?
漫画『キングダム』での龐煖の死亡は、第627話『道の行方』(『キングダム』58巻)で描かれます。
アニメ『キングダム』は現在第4シリーズが終了した段階で、嬴政(えいせい)加冠の儀までですので、龐煖(ほうけん)死亡はまだまだこの先の話になります。
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龐煖の最期には人の苦しみと向き合う、哲学のような部分もあるよ。
じっくり味わって読み直したくなるよね!
『キングダム』最恐の武神・龐煖(ほうけん)の最期は?
紀元前236年、秦が趙に攻め入った鄴(ぎょう)攻略戦は、大詰めを迎えていました。
飛信隊は死力を尽くして李牧を倒そうと本陣を襲います!
しかしそこにいたのが…武神・龐煖でした。
その禍々しい咆哮に、秦軍の動きはフリーズしてしまいました。
「出た」って言われるほど恐ろしい存在だったんだな!
…幽霊か?
最初の一刀で去亥を真っ二つにした龐煖に、立ち向かったのが羌瘣です。
「信を戦わせない」羌瘣はそう決意して、全力で立ち向かい、龐煖の左手の薬指、小指を奪いました。しかし巨大な龐煖に足首を掴まれ地面にたたきつけられてしまいます。
そこへ駆けつけた信は「お前は何なんだ!」と龐煖の前で怒りをあらわにします。
信の持っている矛が王騎の物とわかった龐煖は、すさまじい勢いで信に打ち掛かり、吹き飛ばします!
ここで龐煖らしさを感じるのが、「飛信隊・信にとどめを」と信に駆け寄ってくる趙兵を薙ぎ払ってしまうところ!
…自分の兵だよね?
龐煖に何度打ち掛かられても、切りつけられても、何度でも立ち上がる信。
万極、輪虎、王騎、尾到、蒙驁、漂、麃公、成蟜。
信は朦朧としながら彼らと話し、彼らの匂いを感じています。
龐煖は、道を究めた求道者の自分になぜ信や羌瘣は抗うのか、疑問を感じ始めます。
そもそも道そのものが 無かったのでは
人に そんな道など信『キングダム』58巻p.56 原泰久
龐煖がその揺らぐ思いを打ち消して信へ向けた矛を、信が振るう王騎の矛が砕きます!
刃を砕かれた矛で信を襲う龐煖ですが、信は間一髪でそれを躱します。
信は龐煖の頭上から打ち込み、龐煖はその一撃を矛でがっちりと受け止めるのですが…
信の、そして心が背負う仲間たちの思いは、龐煖の矛を折り、ついに左肩口から深々と龐煖の巨体を断ち斬って行きます!!
『信はもう限界!』とみんなが思っている中で、ついに信は王騎の仇、麃公の仇の龐煖を倒すことができたんだ!
信のダメージも大きくて、大きな代償を払うことになるんだけど、それはまた別の話しだね
『キングダム』龐煖と信・羌瘣との因縁
主人公の信とは馬陽の戦い、合従軍、鄴(ぎょう)と因縁の戦いを繰り広げる龐煖。
龐煖と信・羌瘣:初めての戦いは馬陽
紀元前244年、馬陽の野営地。
趙軍総大将の龐煖は、羌瘣の気配を感じ取って秦軍の野営地に現れます。
巨大な矛で秦の兵士をなぎ倒す龐煖に、信は怒りの剣を向けますが、あっさりはね飛ばされます。
「我武神龐煖也」と名乗り、羌瘣との死闘が始まります。
羌瘣は呼吸を使い切ってしまい、次は信が飛信隊の三方同時攻撃とともに攻撃を仕掛けますが、力及ばず気絶させられてしまいます。
尾兄弟や渕さんが命がけで信を助け出してくれました。
龐煖と信:二度目の戦いは蕞(さい)
紀元前241年蕞(さい)。
合従軍の戦いの終盤、蕞で籠城する秦軍に、山の民の援軍が来てくれました。
そこで姿を現したのが龐煖なのです。
信は龐煖に向かおうとする楊端和に割って入り、「俺が戦う」と言います。
連戦ですでにボロボロの状態の信ですが「俺が天下の大将軍になる男だから」と一対一で向き合います!
信は龐煖の矛に弾き飛ばされながらも胸に一撃、顔面に一太刀の攻撃に成功します。
いら立つ龐煖ですが、趙軍・晋成常が『退却』命令を出したため、引いていきます。
この時龐煖が『三度も戦うとは』と言うんだけど、二回目じゃないの?
この後「何なのだ貴様らは」と言っているから、馬陽で羌瘣が一回目、信が二回目ってことだと思うよ
龐煖と信・羌瘣:三度目の戦いは鄴(ぎょう)
紀元前236年。
三度目、そして最後の戦いがここ鄴での戦いになります。
『キングダム』李牧の語る求道者・龐煖
李牧は19年前の龐煖との出会いを語ります。
紀元前255年、戦に敗れ親も兄弟も仲間も失った李牧は、負傷した体で深山をさまよっていました。
「『地の声』に導かれた”求道者”」と名乗る龐煖がそこへ現れ、「貴様は俺の道を答えに”導く者”だ、李牧」と告げたのです。
李牧は”道”とは人の救済であると考えました。
争いを繰り返す人の愚かさを憂う賢者たち=求道者は、『”情”がある限り苦しみの世は変わらぬ』と考えたのです。
ゆえに求道者は、『誰かが人の域を超える存在になれば、すべての人々は今とは違う上の存在に変化し、争いを止めて苦しみから解放される』と信じているのです。
李牧は「信はその答えを持つ者だ」と言います。
個で武の結晶となった龐煖とは逆に、仲間の思いを紡いで束にして戦うのが信です。
李牧は、人が人を超える存在には成り得ない、所詮人は人でしかない、それが”答え”だと。
龐煖に『道などなかったのでは』という迷いが生じた時、信の力が龐煖を上回ったよね!
信は『全員ブッ倒して天下の大将軍になる!』しか考えてないからな。
『龐煖には敵わない』なんて1mmも思ってないでしょ?
李牧はそういう人間だけが龐煖の”答え”になると考えたんだね。
『キングダム』左目の涙の理由
カイネは李牧から龐煖の”求道者”としての人生を聞いた時、左目だけから涙を流しています。
このとき李牧の側近全員が、左目だけからの涙を経験し、不思議に思っていますが、この現象の解説はありません。
一般的に言われているのは「右目はうれし涙、左目は悲しい涙」というものです。
また「右目の涙は抑制、偽りを現し、左目の涙は感情の解放、許しを現す」というとらえ方もあるようです。
この場面に合わせて解釈してみましょう。
これまで彼ら一同は「武神・龐煖」を秦への武器、あるいは李牧を守る最強の存在と考えて来たことでしょう。
しかし彼らは、心の底では●戮を繰り返す龐煖を理解できていなかったのでは。
それが李牧の言葉によって、龐煖は他人を救うために自らが武神となろうとしている、と知り、その孤独な長い人生に初めて思い至ったのでしょう。
悲しみ、感動、許しという感情が『左目だけの涙』で語られているのではないでしょうか。
『キングダム』龐煖の矛盾
17年前、龐煖は馬陽の地で摎 (きょう)を手にかけ、王騎と戦いました。
龐煖はまだ自分が未熟なために、王騎に顔面を斬られたと考えたでしょう。
しかし8年前、再び王騎に出会った龐煖は、まだ一人では王騎に勝てませんでした。
魏加が王騎に矢を射て、一瞬の隙を作ったんだったな!
これを見た李牧は「龐煖は、17年前もすでに人の武の極みに達していたのに、王騎に敗れたのではないか」と考えました。
麃公もまた、龐煖の抱える矛盾を見抜いた名将でした。
己の中の大いなる矛盾に気づかず
一人悶えておる ただの ど阿呆じゃ麃公『キングダム』30巻p.148 原泰久
龐煖は「人を人に縛り付ける鎖、その暗き鎖を打ち砕くのが我が刃」と言います。
しかし李牧は「人を上の存在に引き上げるべく超越者たらんとその力を天に示す龐煖が、まさに人の力を体現する者達に勝てぬという現実」それが「天からの残酷な答え]だと見抜いています。
人を苦しみから救うために道を究めようとしても、所詮人は人。
そんな道などないというのが矛盾なんだね。
『キングダム』龐煖の出生の秘密
龐煖の両親は不思議な力を持った人たちでした。
流行病に襲われた山間の小さな集落に現れ、不思議な力で人々の病気や怪我を治療していたのです。
イエス・キリストみたいな?
二人とその子どもが半年ほど集落にとどまるうちに、近くの集落からも患者が集まってくるようになり、今では活気に満ちた一帯になりました。
ある日そこへ、現在の龐煖にそっくりな武神が現れ、巨大な矛で集落を壊滅させ、赤子の龐煖をさらっていきました。
もちろんその時、龐煖の両親も●されてしまったことは言うまでもありません。
羌瘣や摎と不思議な力を感じ合う、みたいな場面があったから、武神は赤子の龐煖の力に気づいてさらっていったのかな?
物心つく前に武神によってさらわれ、両親の愛情も知らずに育った龐煖。
人並外れた境地に達するまで武を究める、という価値観を刷り込まれた環境の中で、他者との心の触れ合いに意味を見出すこともなかったでしょう。
過酷で孤独な生涯を思うと、左目だけ涙が滲みそうですね。
『キングダム』龐煖死亡は何話?明かされる出生の秘密と左目の涙!まとめ
龐煖の死亡、信や羌瘣との因縁、また龐煖が追い求めた『道』とは何か、龐煖が抱えた矛盾とはなにか、そして龐煖の出生の秘密をご紹介しました。
禍々しい存在感で「出た!」と言われた龐煖ですが、その出生の秘密を知り、人々の苦しみを除くつもりの求道者であったことを知ると、同じ登場シーンでも読み直すと見る目が変わります。
また李牧に「信は答えを持つ者だ」と言わせる信の活躍もすごいです。
羌瘣の献身のエピソードとともに、じっくり楽しみたいですね。
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