『ムーンライズ・キングダム』はウェス・アンダーソン監督2012年の作品です。
クリエイターと呼ばれる人たちの絶大な支持を受けているこの作品の魅力に迫っていきます。
『ムーンライズ・キングダム』の魅力を考察・ストーリー
アメリカ・ニューイングランド地方の架空の小島、ニューペンザンス島で繰り広げられる少年少女の駆け落ちの物語。
ボースカウトのキャンプからサムが逃走しました。
サムは、1年前に教会の劇で一目ぼれしたスージーと、文通して駆け落ちを計画していたのです。
二人は草原で落ち合うことに決めていました。
スージーが持ってきたものは大切な双眼鏡と左利き用のハサミ。数冊の本と弟から借りて来たレコードプレーヤーとレコード、そして猫。
サムはスカウトで鍛えたサバイバル技術で、釣った魚をバターソテーしてあげたり、綺麗な甲虫を釣り針でピアスにしてあげたりするのです。
彼らを連れ戻そうと、スカウト、両親、警察が必死になる中、二人は秘密の海岸でキャンプ生活をします。
「名前を変えよう」と話し合い…ラストシーンで並べた小石が映されます。
「MOONRISE KINGDOM」(月の昇る王国)。
大人たちとスカウトの仲間は二人を連れ戻しに来ますが、サムは孤児。
里親に見放されたサムは、このままでは電気ショック療法を受けさせられた後は孤児院送りになって、もう二度と島のみんなに会えなくなるかも……
友だちがいなかったサムですが、ボーイスカウトのメンバーは、
「この隊はサムにつらく当たった。このままでは僕らはクズだ!」とサムを助けようと団結します!
隊長も警部も嵐の中を大活躍!
スージーとサムは結婚式を挙げます。
『ムーンライズ・キングダム』の魅力を考察・色彩の魔法
この島の自然の中に置かれた少女のピンクのワンピース、ボーイスカウトの黄色いスカーフ、ナレーターの鮮やかな赤の上着など、その独特な色味が「ウェス・アンダーソンならではの世界」を作り上げます。
スージーの家のインテリアを1場面切り取ってみても、小物の一つ一つまで凝りまくっていることがわかりますね。
天井から吊り下げられた照明、手編みのラグマットには時代を感じますし、白い壁に描き加えられた絵は、たぶんウェス・アンダーソン監督の弟エリックによるものではないでしょうか?
ボーイスカウトのキャンプでは、手作りの仕掛け満載のトイレやツリーハウスなど、子ども時代の夢の数々が形になって楽しませてくれます!
スカウトのバッジやナイフも、本当に細かいところまで可愛いいんです!
フランソワーズ・アルディ『恋の季節』。
スージーが弟から借りて来たレコード・プレーヤーで、このレコードをかけてダンスする二人がきゅんとするほど愛しいです。
フレンチ・ポップな感覚がこの映画にピタリとハマっています。
ハンク・ウィリアムス『カウ・ライジャ』。
このウェスタン臭が小型カヌーで旅する少年にぴったりです。
オールマン・ブラザーズ・バンド『ランブリン・マン』。
古き良きアメリカの時間が流れ出します。
DVDをBGMに使いたくなります(笑)
スージーの家で弟たちと聞いているのはクラシックの入門レコード。
ラストシーンでも印象的に使われています。
『ムーンライズ・キングダム』の魅力を考察・読書好きな主人公
スージーの好きなことは読書。出窓に座って読書なんて、羨ましい!
大きいトランクを提げて駆け落ちに来るスージーだけど、中身は本がギッシリ(笑)
この本をサムに読んであげたり、ボーイスカウトの男の子たちに読んであげたりするのです。
気持ちよさそうに聞いてる男の子たちもいいけど、「読んであげよう」と思うスージーが最高です。
この本、調べてみましたが実在はしません。ウェス監督が撮影のために中身も表紙も用意したと思われます。
今ではタブレットに何百冊でも入るけど、選んだ本をトランクに詰めて、旅に出たら素敵でしょうね。
『ムーンライズ・キングダム』の魅力を考察・個性的な俳優陣
サム・シャカスキー | ジャレッド・ギルマン | |
スージー・ビショップ | カーラ・ヘイワード | |
シャープ警部 | ブルース・ウィリス | |
ウォード隊長 | エドワード・ノートン | |
ウォルト・ビショップ | ビル・マーレイ | |
ローラ・ビショップ | フランシス・マクドーマンド | |
福祉局員 | ティルダ・スウィントン | |
ピアース司令官 | ハーヴェイ・カイテル |
スージーはクールな態度ですが中身がしっかりイカレてそうなところがたまりません!
スージーは、「双眼鏡は『私の魔法』」と言います。
双眼鏡の中で鹿と目が合うシーンはマジで魔法のようです!
登場人物の一人一人が愛すべき人物に見えてきて、この映画の世界の完璧さにため息がでてしまいます。
『ムーンライズ・キングダム』の魅力・あらすじ【ネタバレあり】まとめ
映画『ムーンライズ・キングダム』の魅力をストーリー、映像美、音楽、本、キャストのそれぞれから考察してみました。
ウェス・アンダーソン監督作品の中でも、鑑賞後のほっこり心温まる感覚が抜群です。
愛蔵版として手元に置きたいDVDです。
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