『ダージリン急行』あらすじと考察!ウェス・アンダーソン描く兄弟の絆

ウェス・アンダーソン監督

『ダージリン急行』+ショートフィルム『ホテル・シュヴァリエ』あらすじと考察を綴ります。

『ホテル・シュヴァリエ』は『ダージリン急行』のプロローグと言えるたった13分のストーリーなのですが、な、な、なんとナタリー・ポートマンの出演にビックリ仰天です!

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ショートフィルム『ホテル・シュヴァリエ』(2007年)あらすじと考察

『ダージリン急行』のDVDに収められているので、DVD派の方は本編の前に見ることをお勧めします。

・本編で三男ジャックが着ている黄色いバスローブの由縁
ジャックが書いている小説のプロット
・ジャックが留守電をチェックしたり、イタリアに会いに行こうとしている『元カノ』
香水瓶のエピソードなどなど、納得しながら鑑賞できますよ!

『ホテル・シュヴァリエ』あらすじ

『ダージリン急行』の三兄弟の三男・ジャックがパリのホテルにいます。

そこへ元カノから電話が。パリに来ているという彼女がジャックの部屋に訪ねてきます。

彼女はジャックを愛しているといい、二人でホテルの窓からパリの街を眺めます。

『ホテル・シュヴァリエ』見どころと考察

ホテル・シュヴァリエの黄色いバス・ローブべッドカバーも素敵!

ホテル・シュヴァリエ インテリア

また、元カノを迎えるためにiPodの音楽をかけながら部屋を片付けるのですが、このiPodやこの時の曲が本編でも印象的に登場します。

また、室内にはNo.3と表示されたトランクが見えますが、これは父親の遺品、3兄弟の旅の道連れです。

本編ではこのトランクを手に入れる場面を探してみましょう。

やがて部屋に入ってくる、その「彼女」がナタリー・ポートマンなんです!本当に美しい!
野の花のような白い花束を持って来るところが粋です。

そして、ナタリー・ポートマンの上品なノー・スリーブのブラウスにグレーのパンツ、ブーツという装いが実にシックなんですね!
コートはグレーのウール。

男はスーツに裸足、というのが冒頭から気になるところではあるのですが、ストーリーが進むにつれて、彼女は全裸に靴下だけ、というシーンが出てくると、あえてのヌケ感なのね…と納得。
この遊び心がたまりません。

なぜ男が彼女から離れてパリに来ているのか?に明快な答えはありませんが、ラストの「僕のパリを見るかい?」がとてもいいです。

僕のパリを見たい

彼女は「友達としてのあなたを失いたくない」「愛してる」と関係修復を迫っているようだけど、男の方は?

「君の友達には死んでもなりたくないね」という言葉は、本当に「ごめんだね」と言っているようにも、「友達じゃなくて恋人だ!」と言っているようにも聞こえます。

美しいパリの風景に魅せられた後は、いよいよインドの旅が始まります!

『ホテル・シュヴァリエ』の撮影が行われた場所は、エンドロールによればパリのホテル・ラファエルのようです。
インテリアや床は映画の通りですが、印象的な黄色いファブリックは映画用に用意されたようですね!
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『ダージリン急行』(2007年)あらすじと考察

『ダージリン急行』あらすじ

1年前父を突然交通事故で喪った三兄弟。

絶交状態だった三人ですが、長兄のフランシスは自分が命にかかわるバイク事故に遭い、弟二人をダージリン急行に呼び寄せます

インドで「心の旅(スピリチュアル・ジャーニー)」をして兄弟の絆を取り戻すことと、最初は隠しているのですが、自分たちを置いて出ていった母親の居る修道院に彼女を連れ戻しに行くことが目的です。

ばらばらだった三人が引き起こすドタバタ劇から、徐々にお互いを理解しあった三人の心が一つになっていく様子と、父の遺品のトランクの山も捨て去り体一つで旅をするラストシーンが爽快で、人間にとっての大切な物とは何かを考えさせてくれます。

どこを切り取っても絵本の中のようなカラフルな色彩と、どこか飄々とした魅力的な登場人物が、重いテーマも明るくお洒落に語り掛けてきます。

『ダージリン急行』見どころと考察

『ダージリン急行』の印象的なシーンをストーリーに沿って紹介していきます。

混沌としたインドの街と『ダージリン急行』

映画の始まりは、牛や人でごった返すインドの街を暴走するタクシー。
タクシーの乗客(ビル・マーレイ)は、走り始めたダージリン急行に飛び乗ろうとしますが失敗(笑)

『ダージリン急行』は架空の列車で、この撮影のために制作し、線路を走らせています。
象のモチーフの飾りや車内の内装、ちょっとオンボロなところも可愛らしい列車です。

個性的な三兄弟

この列車に、大きなトランクと特大ボストンバッグを抱えて飛び乗るのが次男のピーター(エイドリアン・ブロディ)です。

長身、甘いマスク、グレーのスーツ白いシャツでバリっと着こなし、大きなサングラスがポイントです。

さて、列車の客室で再会を果たす三兄弟。

フランシス(長男) オーウェン・ウィルソン
ピーター(次男) エイドリアン・ブロディ
ジャック(三男) ジェイソン・シュワルツマン

長男のフランシス(オーウェン・ウィルソン)は包帯で頭部をぐるぐる巻きにしています。
バイク事故で負傷し、「兄弟が恋しいと思った」と語ります。
今回の旅の発起人です。
アシスタントのブレンダン(ウォレス・ウォロダースキ)が旅の手はずを整えてくれます。

三男のジャックは、元カノのことを気にしつつも、美人の客室乗務員のリタ(アマラ・カラン)とよろしくやっています。

どうしても気になる11個の旅行鞄!

マーク・ジェイコブスのデザインでルイ・ヴィトンに特注したこの豪華旅行鞄セットは全部で11個

ウェス・アンダーソンの弟が描いたというオアシスとラクダの絵がキュートです。

JEWとイニシャルが入っているのは父ジェームス・ホイットマンの遺品だから、のようです。

これだけ集まると壮観で、セレブリティの一家であることを鞄が語っています

他にも長男フランシスは3,000ドルのローファーだの、6,000ドルのベルトだのと事あるごとに言い立てますので、身に付ける物に対するこだわりの強さを表しています。

ですので、「父のサングラスを勝手に使っている」「それは父の髭剃りだろう」と弟の行動に目を光らせることもうなずけるし、やがては小さな笑いに変わっていってしまいます。

小さな衝突を繰り返してしまう三人

しかし、1年前の父の死以来絶交していた3人は、当初はやはり些細なことでぶつかります。
長兄フランシスは仕切り屋で弟たちのメニューまで勝手に決める。
次男ピーターは父の遺品のサングラスや髭剃りを勝手に我が物にする
三男ジャックは勝手にパリに行って小説を書いている(ホテル・シュヴァリエですね!)などなど。

旅に誘われたピーターとジャックにも、それぞれの事情があります。

ピーターは “育ちが違いすぎる” アリスとは離婚も考えているのですが、アリスの妊娠で心が揺らいでいます。

ジャックもまた、ホテル・シュヴァリエのバスローブを着ていることからもわかるように、美しい元カノに未練たらたらです。
この後は彼女とイタリアで合流するつもりで、航空券を用意しています。

ジャックが航空券を持っていることをピーターがフランシスに言ってしまったことから、さらに仲はこじれ、ついにフランシスは3人分のパスポートを管理すると言い出すのです

停車時間に街に出る三人。
フランシスは靴磨きの少年に3,000ドルのローファーを片方だけ盗まれてしまいます。
ピーターは毒ヘビとスリッパを買い、ジャックはペッパースプレーを買います。

フランシスは、ピーターが買ったモロッコ風のスリッパの片方を奪い、履物にするのですが、気づけばジャックは裸足だったりします。
何でしょう、この兄弟は……

さてダージリン急行に戻ると、ピーターの毒ヘビが箱から逃げ出し大さわぎに!!
蛇を見つけたターバン姿の客室乗務員に「客室から出るな!」と注意されてしまいます。

気付くと列車は停車しています。
「列車が迷子になった」ということなので、3人は丘の上へ。

フランシスはここでいきなり、ヒマラヤの修道院にいる母親に会い、彼女をアメリカに連れ戻したい、と告げたものですから、兄弟の摩擦もこれで頂点に!

列車に戻るとつかみ合いの喧嘩をはじめ、ついに車内でペッパースプレーを使用してしまったため、列車から降ろされることになってしまいました

少年の葬式~変わり始める3人

11個の旅行鞄と共に列車から降ろされ、夜は盛大に焚火をして野宿をする兄弟です。

翌朝、川で荷運びの子どもたちが流されたのを発見し、スーツで川に飛び込み、必死で人命救助をしますが、1人の子どもは助からず亡くなってしまいます。

子どもたちの村へ行き、亡くなった子どもの葬儀に立ち会い、命のはかなさ新しい命の誕生家族の絆に触れた三人は、ここから気の合うところを見せ始めます!

ここで赤ん坊に触れたピーターも徐々に考えが変わっていくようです。

彼らの思いは、1年前のお父さんのお葬式へとさかのぼります。
ピーターがお父さんの赤いポルシェを修理工場から出そうと言い出し、3人で手を尽くしても修理が済んでおらず、あきらめてリムジンで葬儀に行ったこと。
父のポルシェのトランクにスーツケースが入っていて(これがNo.3)、中にはジャックの小説が未読のまましまわれていたこと。
母が来なかったこと…

インドの子どもの素朴なお葬式には、家族の悲しみ村人たちが寄り添う思いが溢れていました。

ところが、富豪のホイットマン家のお葬式では、家族の思いはすれ違ったままだったのです。

母親を訪ねる

葬儀の後はアメリカへ帰国するため車で空港へ。
離陸までの短い時間にそれぞれの用事を済ませます。

フランシスは、喧嘩別れしたアシスタントのブレンダンを再雇用。

ジャックは元カノの留守番電話をチェックし、イタリアで会う決心をします。

ピーターは、子どもの性別が男と分かります。すでに赤ちゃんのベストを買ってあり、着々と準備を進めています。

いざ飛行機に搭乗、というその時に、3人はカバンをつかんで歩き去ります!
飛行機には乗らないのです!

スクーターでママの元へ

修道院でママ(アンジェリカ・ヒューストン)と再会。
この時初めて、フランシスの仕切り癖はママの遺伝だったことがわかります。

4人で心を通わせるひと時を持ちますが、翌朝ママはどこかに消えてしまっていました。

クジャクの羽をもって裏山に昇る三人。
このころには以心伝心、言葉はいらない三人になっています。

列車の旅は人生そのもの

11個のトランクを車に乗せて駅へ。

三男のジャックは「イタリアに行かないだろう」とつぶやきます。

映画の冒頭と同じように、ゆっくりと走り始める列車に飛び乗るために三人は走ります!
トランクを、ひとつひとつ投げ捨てながら!
荷物持ちのポーターたちは呆然としていますが、手ぶらで乗車した三人は爽快な顔をしています。

列車のコンパートメントに落ち着き、フランシスは弟たちにパスポートを返します。
でもピーターもジャックも受け取ろうとしません。

列車の響きに重なるのは『オー・シャンゼリゼ』の歌声です。

自分の意志で一緒に旅をしているんだ。

そのことが胸落ちした彼らが手に入れた家族の絆。

それは、愛情をもってお互いを尊重する、軽やかな自由にあふれた温かいものになりました。

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『ダージリン急行』あらすじと考察!ウェス・アンダーソン描く兄弟の絆・まとめ

ウェス・アンダーソン監督2007年の作品『ダージリン急行』と、同時上映のショートフィルム『ホテル・シュヴァリエ』をご紹介しました。

どこを切り取ってもポップな絵本のようなお洒落な映像と魅力的なキャラクターで、家族の再生を描きます。

生命の危機に遭った長男の仕切りで始まる強引な旅も、お互いを認め合い、愛情を言葉にすることで、何年もの溝を埋めていくことができます。

大切な人と、列車の旅に出たくなる心温まる映画でした!

 

 

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