映画『グランド・ブダペスト・ホテル』考察と感想

グランド・ブダペスト・ホテル ウェス・アンダーソン監督

『グランド・ブダペスト・ホテル』は2014年の作品。ウェス・アンダーソン監督の8作目です。

可愛いい色彩の絵本の中にいるようなこの作品、どこが素晴らしいと評価されているのでしょうか?

簡単にあらすじを追いながら、「素敵!」を見つけていきましょう。

なお、この映画は2014年ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)、アカデミー賞美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞を受賞しています。

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映画『グランド・ブダペスト・ホテル』時をさかのぼるごとに色鮮やかに広がっていく世界という仕掛けでどんどん引き込まれる

『グランド・ブダペスト・ホテル』のポスターでピンク色のホテルを見た人は、冒頭の寒々しい光景に戸惑うかもしれません。

現代から過去へ、時代をさかのぼるごとに画面の色調が変わっていくのにつれ、見ている私たちも過去の世界へと引き込まれていきます。

現代:オールド・ルッツ墓地

ズブロフカ共和国という架空の国のオールド・ルッツ墓地。

一人の女学生が「作家」の銅像の台座に持参した鍵を供え、本を読み始めます。

ピンクの表紙のこの本が『グランド・ブダペスト・ホテル』

墓地で三人の黒衣・黒い帽子の老人がベンチに座っているというのも、「こういうのって、あるよねー、このおじいちゃんたち実は幽霊だとか、そういう設定」なんて、考えてしまいます。

とにかく細部まで作りこまれた作品なのです。

オールド・ルッツ墓地

オールド・ルッツ墓地『グランド・ブダペスト・ホテル』

1985年:作家は語る

銅像の作家、『グランド・ブダペスト・ホテル』の作者が語ります。

作家は無から物語を作り出すのではなく、作家と知ると人々がネタを持ち込むのだと言います。

そしてこの物語も予期せぬ人から聞いたものであると語り始めます。

1985年作家『グランド・ブダペスト・ホテル』

1985年作家『グランド・ブダペスト・ホテル』

1968年:『グランド・ブダペスト・ホテル』で

作家は1968年、アルプスの麓の温泉ネベルスバートで8月を過ごそうと『グランド・ブダペスト・ホテル』を訪れます。

1968年『グランド・ブダペスト・ホテル』

1968年『グランド・ブダペスト・ホテル』

そこで出会った孤独な紳士、ミスター・ムスタファはこのホテルのオーナー。
彼が食事をしながら語ってくれたのが、この『グランド・ブダペスト・ホテル』の物語です。

1932年:『グランド・ブダペスト・ホテル』

語り手のゼロ・ムスタファは、戦乱に故国を失い、各地のホテルの下働きをしながらグランド・ブダペスト・ホテルにたどりつき、ロビー・ボーイとして採用されます。

グランド・ブダペスト・ホテルのグスタヴ・Hは有能なコンシェルジュであると同時に「裕福だが年老いており、不安げで虚栄心が強く軽薄で(性的に)飢えている金髪の」女性客を満足させることで、顧客から熱烈に支持されていました。

19年来の顧客マダム・Dは「グスタヴ、もうあなたに会えない気がする」と言いましたが、その不安は的中します。

エレベーター

エレベーター『グランド・ブダペスト・ホテル』

最初の登場とは打って変わって、カラフルな色彩に満ちた、装いもゴージャスなグランド・ブダペスト・ホテルの登場です!

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映画『グランド・ブダペスト・ホテル』ミステリー・人種問題などを含んでいても洒落っ気ととことん可愛い映像で酔わせてくれる

おもちゃ箱をひっくり返したようなカラフルな映像ですが、シリアスな社会的テーマも内包しています。

あらすじの続きをたどりながら考えていきましょう。

紛争と人権:「彼は何も悪くない!」

1か月後、マダム・Dが亡くなったのです。

グスタヴは、ゼロを荷物持ちに、すぐにルッツにあるマダムの城へと向かいます。

グスタヴは”高級ワインとグラスを2つ”持っていけってゼロに言うよね

これはゼロに飲ませるためじゃなくて、常にマダムのためにグラスを満たしているんだよなあ

すると、列車内に検問にきた兵士が、ゼロが移民であるという理由で拘束しようとするのです。

手荒く扱われても「私のロビーボーイに触るな!」と体を張ってくれたグスタヴはいい人です。

両親がグランド・ブダペスト・ホテルの顧客であった士官・ヘンケルスが彼らを解放してくれました。

ミステリー:殺人犯は誰?遺産の行方は?

マダム・Dはルッツ城の城主でした。

遺言執行人はコヴァックス。グランド・ブダペスト・ホテルへ謎のオーナーの代理人として来ていた男です。

グスタヴには長年の友情への謝礼として『少年と林檎』の絵が贈られました。

すかさずグスタヴを侮辱する長男のドミトリーと、自称私立探偵のジョプリング
グスタヴは気分を害して、『少年と林檎』の絵を無断で持ち出し、帰路につきます。

ホテルで絵を隠し終わるとすぐ警官が来て、グスタヴはマダムの殺人容疑で逮捕されてしまったのです。

どうやら、ルッツ城の執事セルジュ・Xグスタヴに不利な偽証をしたようです。

コミュニケーション力の高さでたちまち囚人たちのリーダー格となったグスタヴは脱獄を計画します!

仲間と共に脱獄したグスタヴを、ゼロが迎えに来ました。

ゼロが香水を忘れたことで激昂したグスタヴは、ゼロを罵ります。
しかし、ゼロが戦争で両親を亡くし、命からがら逃げのびたことを知り、心から謝罪したことで、絆が強まった二人です。

この後、グスタヴの「鍵の秘密結社」の力で、セルジュ・Xに会う手はずを整えます。

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映画『グランド・ブダペスト・ホテル』はひっくり返ったおもちゃ箱!とことん楽しむネタが満載!

まだまだ出てくる新要素!ストーリーの行方は全く見えません!

鍵の秘密結社!ほんとにこんなのあったら楽しい!

世界中の高級ホテルのコンシェルジュには、連絡を取り合って協力し合う組織があったのです。

高級レストランのテーブルやオペラの最前列、ギャラリーの貸し切り…お客様のためにそういうものを用意している秘密の組織!わくわくしますね!

タクシーで、ケーブルカーで、秘密結社のメンバーが現れて、グスタヴを修道院へ導きます。

鍵の秘密結社の連絡員が、なぜかスター・ウォーズのジェダイの騎士みたいなんだよな

それで修道院のガウンがなぜかピンクだっていう(笑)

雪山の中の修道院でようやくセルジュ・Xに会うことができ、マダムDの遺言状についての情報を得ますが、セルジュはジョプリングに殺害されてしまいます。

スキーで逃げるジョプリングをグスタヴ&ゼロは橇で追いかけます。

迫力満点の雪上チェイスも模型感満載で可愛いのなんのって

迫力満載のはずの雪山でのチェイスも、可愛らしいという感想の勝ち!
ゼロがジョプリングを崖下へ突き落とし、グスタヴとゼロはジョプリングのバイクを奪ってグランド・ブダペスト・ホテルの近くへ戻ります。

ガンファイトもあるよ!

大胆にもホテルに絵を取りに行ったのは、ケーキの納品を装ったアガサです。

ホテルはZZのマークを付けた軍隊に接収されています。

ZZって…ナチスのSSだよな…

しかしそこへ現れたのはドミトリー

 

絵を取り返そうとするドミトリーと、アガサを助けようとするゼロ、ヘンケルスの部隊も加わり激しい撃ち合いになります。

撃ち合いのシーンに一瞬ジョージ・クルーニーが出てない?

でも名前が出てないよね

この騒動のさなか、マダム・Dの遺言状が『林檎と少年』の絵画の裏から見つかります。

 

「全財産をグスタヴ・Hに贈る」と。

すべての疑いが晴れ、グスタフはマダムの城、企業などの全財産、そしてマダムがオーナーだった、グランド・ブダペスト・ホテルを相続します。

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映画『グランド・ブダペスト・ホテル』エンディングは少し悲しい

しかし、戦争の魔の手が忍び寄る時節、再び列車の検問で拘束されそうになったゼロをかばって、グスタヴは撃たれてしまいます。

グスタヴの遺産を相続したゼロはこのグランド・ブダペスト・ホテルも手に入れたのです。

しかしグスタフのみならず最愛の妻・アガサと小さな息子もスペイン風邪で亡くしたゼロは、深い孤独に包まれるのでした……

これらのストーリを語る1985年の作家、オールド・ルッツ墓地で本を閉じる女学生でThe Endになります。

「これは1冊の本でした」って、ザ・ロイヤル・テネンバウムズもそうだったな!

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映画『グランド・ブダペスト・ホテル』はもちろんキャストが贅沢!

忘れちゃいけないのがキャストの贅沢さ!
ウェス・アンダーソン監督のいつものメンバーに加えた名優たちも豪華です!

登場人物 画像 俳優 役柄
作家

(1985年)

トム・ウィルキンソン トム・ウィルキンソン この物語をムスタファから聞いた作家。
ミスター・ムスタファ

(1968年)

F・マーレイ・エイブラハム グランド・ブダペスト・ホテルのオーナー。

もとはロビーボーイ

若き日の作家

(1968年)

若き日の作家 ジュード・ロウ ムスタファから話を聞く作家。

 

ムッシュ・ジャン

(1968年)

ジャン ジェイソン・シュワルツマン グランド・ブダペストホテルのコンシェルジュ
ムッシュ・グスタヴ・H

(1932年)

レイフ・ファインズ レイフ・ファインズ グランド・ブダペストホテルの伝説のコンシェルジュ。
マダム・D

(1932年)

ティルダ・スウィントン 富裕な常連客。

彼女の遺産をめぐってドタバタ劇が繰り広げられる。

ゼロ

(1932年)

ゼロ トニー・レヴォロリ グランド・ブダペストホテルの ロビーボーイとしてグスタヴの薫陶を受ける。
コヴァックス

(1932年)

ジェフ・ゴールドブラム マダム・Dの弁護士
アガサ

(1932年)

シアーシャ・ローナン 「メンドル」のケーキ職人。頬にメキシコ形のあざがある。
ヘンケルス

(1932年)

エドワード・ノートン 両親がグランド・ブダペスト・ホテルの顧客。

将校。グスタヴを助ける。

ドミトリー

(1932年)

ドミトリー エイドリアン・ブロディ マダム・Dの長男。遺産の分配を拒否する。
ジョプリング

(1932年)

ジョプリング ウィレム・デフォー 私立探偵?
セルジュ・X

(1932年)

マチュー・アマルリック ルッツ城の執事
クロチルド

(1932年)

レア・セドゥ マダム・Dの小間使い。グスタヴが絵を持ち去ったとバラす
ルートヴィヒ

(1932年)

ハーヴェイ・カイテル 一緒に脱獄する囚人
ムッシュ・アイヴァン

(1932年)

ビル・マーレイ 「鍵の秘密結社」メンバー

 

ムッシュ・チャック

(1932年)

オーウェン・ウィルソン グランド・ブダペスト・ホテルのコンシェルジュ

トニー・レヴォロリが演じたゼロと、そしてレイフ・ファインズが演じたグスタヴがもう素敵すぎて愛しさを感じてしまいます。

「私のロビーボーイに触るな!」って抵抗するところは素敵ですが、2回目にはそれで命を落としてしまうっていうのが悲しすぎます。

戦争の悲惨さを訴えているのでしょうか。

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映画『グランド・ブダペスト・ホテル』考察と感想まとめ

映画『グランド・ブダペスト・ホテル』の魅力について、3つの時代をさかのぼりながらストーリーが進む点、社会問題を含みながらも洒落っ気のある演出でコメディとして楽しめる点、娯楽映画の様々な要素が盛りだくさんな点、そして豪華なキャストをご紹介させていただきました。

今後新作の公開を控えているウェス・アンダーソン監督の作品を今後もご紹介していきます。

 

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