2020年NHKで放送されたドラマが、2021年8月6日映画『太陽の子』として生まれ変わって公開されます。
三浦春馬さん出演の『太陽の子』映画とドラマの違い、試写会での感想をご紹介します。
『太陽の子』映画とドラマの違いは?
キャストとストーリーから、違いの有無を確認します。
『太陽の子』主なキャストの違いは?
石村浩之 戦地から生還し、再び戦地へと向かう弟…三浦春馬
朝倉世津 将来は教師になると決めている女学生…有村架純
石村兄弟の母、フミ…田中裕子 他
ドラマ版と映画版のキャストに変更はありません。
今は亡き三浦春馬さん演じる「戦地に向かう兵士」、そして田中裕子さん演じる「息子を戦場に送り出す母」が凛々しく、哀しく、心に刺さります。
有村架純さんの健気さ、ピュアな存在感は暗い画面の中でもひときわ輝いています。
兄弟は二人とも世津に惹かれているのですが、それもうなずける力強さにあふれた女性として描かれています。
『太陽の子』ストーリーの違いは?
第二次世界大戦の終盤、海軍からひそかに新型兵器「原子爆弾」の開発が京都帝国大学の物理学研究所に命じられます。
研究、実験が何より好きな石倉修は、原料のウランの調達から積極的に行い、研究に没頭していきます。
幼なじみの世津の家は「類焼防止、万歳!」という掛け声とともに取り壊され、行き場を失った世津と世津の父は石倉家に身を寄せます。
戦地から弟浩之も帰還し、それなりに楽しい家庭生活が始まるか、と思われるのですが、浩之の口から戦地の話が出ることは一度もありません。
三浦春馬さんの透明な存在感が、内に秘めた戦争の恐ろしさを感じさせるんだ。
笑顔をみていると逆に悲しくなってくるんだよ…
「エネルギー問題の解決」に取り組んでいるつもりの研究者たちは、兵器の開発をしているという事実に思い至ると、強い葛藤に襲われます。
そんな中で、修は「実験バカ」と呼ばれながら研究に打ち込むのでした。
戦況はさらに悪化し、弟浩之は覚悟を胸に再び戦地へ赴きます。
このとき母フミが作るのが、貴重な白米の大きなおむすびなんだ。
どんな気持ちで息子にこのおむすびを持たせるのか。
このシーンは涙が止まらなかったよ。
8月15日。アメリカの作った原子爆弾が広島を襲い、研究者たちは広島でその威力を目の当たりにするのです。
そのあと修は母に「京都に原子爆弾が落とされるかもしれないから、世津と二人で京都を離れて欲しい。自分は比叡山に登って爆撃の瞬間を見たい」と言います。
マッド・サイエンティストもここまで来るか?
母フミは「疎開はしない。それが科学者の息子を持った母親の責任だから」ときっぱりと言いきります。
翌日、修もまた研究機材とともに母のおむすびを持ち、比叡山に登ります。
しかし、山頂近くで突然機材を置き去り、走って山を降りていくのです。
ラストシーンで映るのは眩しい太陽の映像です。
修は「エネルギー開発」のために電子力の研究をしていた。
山を登るうちに『人を傷つける兵器を作っていた』という実感がこみ上げて来て、研究を放棄した、ということなんじゃないだろうか。
ラストシーンの太陽は、「エネルギー」の多様性を示しているのでは?
ドラマと映画に大筋の違いはありません。
しかし映画版では、ラストの展開に観客の想像の余地が残されているようです。
三浦春馬さん出演映画『太陽の子』の感想
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◤#映画太陽の子◢
📸場面写真📸
笑顔の裏にあふれる
修と世津への優しい想い
#太陽の子#8月6日公開🎬#柳楽優弥 #有村架純 #三浦春馬#黒崎博 監督・脚本 pic.twitter.com/XDy3BFXMXM— 『映画 太陽の子』2021年8月6日(金)公開 (@TaiyounokoMovie) July 18, 2021
池上彰の 映画で世界がわかる!
『映画 太陽の子』―“日本の原発開発”の裏にある若者たちの葛藤@TaiyounokoMovie#池上彰#映画太陽の子#ぴあエッセイ#ぴあ映画#ぴあアプリhttps://t.co/JL27t5UiZI— ぴあ 映画編集部 (@eiga_pia) July 19, 2021
自ら特攻に志願して散って行く浩之の姿は、三浦春馬さんがこの後亡くなってしまったという事実もあり、胸に迫るものがありました。
戦場での事を「語らない」のに、どんな修羅場を潜り抜けて来たのだろう?戦友との別れはどんなにつらく苦しいものだったのだろう?と観客の想像を誘う演技でした。
個人的には英語のタイトル「GIFT OF FIRE」には違和感を覚えてしまいました。
「火」の贈り物=原子力、と解釈し、原子力発電がエネルギー問題の解決になる、という含みなのでしょうか。
しかし、この映画では原子力がエネルギー問題を解決するなどという流れは描かれません。
あくまで、兵器としての原子爆弾の開発の物語なのです。
それならば、科学者として真理を追究した結果のGIFTは、取り返しのつかない悲劇だったのではないでしょうか。
結果に対する責任を感じさせることもないまま、突然のエンディングを迎える視点には残念な思いがしました。
映画『太陽の子』主題歌は福山雅治さんの「彼方で」
重い映画の最後に流れる福山雅治さんの歌声は、心に沁みました。
『太陽の子』映画とドラマの違いは?三浦春馬さん出演の映画の感想は?まとめ
『太陽の子』映画とドラマで、キャスト・ストーリーともに大筋に違いはありません。
しかし映画版の方では、修の行動の意味、ラストシーンの映像から、観客の想像の余地を残していると言えるでしょう。
ぜひ映画館で体験してみてください。