2021年6月11日(金)アニメ映画『漁港の肉子ちゃん』が公開されます。
明石家さんまプロデュース、吉本興業製作。
声優陣は大竹しのぶ、Cocomi、花江夏樹など豪華キャストです!
原作『漁港の肉子ちゃん』は西加奈子さんの小説。
あらすじと感想をご紹介しますが、ネタバレになりますのでご了承の上おつきあいください。
『漁港の肉子ちゃん』あらすじ「肉子ちゃんって誰?」
「肉子ちゃん」は主人公のお母さん。38歳。
本名は菊子ですが、身長151cm体重67kgの体形のため「肉子ちゃん」と呼ばれています。
大きい声の大阪弁でよくしゃべり、よく食べ、よく笑う、人を疑うことを知らない肉子ちゃん。
肉子ちゃんは男運が悪い。
16歳で大阪に出てきて、カジノのディーラーに借金を押し付けられて逃げられました。
27歳、借金を返して名古屋へ行きます。ここでは自称学生に騙されます。
30歳、横浜で妻子持ちのサラリーマンに騙されてお金を騙し取られます。
33歳、東京で好きになった自称小説家はまだましでした。本をたくさん買うくらいでずっと家にいたので。でもある日「故郷で死ぬ」と書置きを残していなくなってしまいました。
35歳、肉子ちゃんはスカーフをかぶり、幼い娘の手を引いて北国へ、小説家を追っていきます。
でも、残念ながら、肉子ちゃんは、ほっぺたがぷんぷんで真っ赤、福々しい顔をしているので、全然悲壮感が伝わってこなかった。一番大きなマトリョーシカみたいだった。
主人公の喜久子はこの時8歳。
肉子ちゃん母娘はこの北陸の小さな漁村に落ち着くのです。
喜久子は11歳なのに、肉子ちゃんの分まで冷静で、賢いのね
お母さんより大人っぽいね!
『漁港の肉子ちゃん』あらすじ「焼き肉屋うをがし」
それから3年、肉子ちゃんは、漁港の焼き肉屋「うをがし」で働いています。
お店のご主人・サッサンの奥さんが亡くなり、店を畳もうかと考えていた矢先、サッサンの前に現れたのが肉子ちゃん!
サッサンは、肉の神様が現れた、と思ったらしい。
「うをがし」では肉子ちゃんの恋人も2人できました。
一人は借金を背負い、遠洋漁業で遠くへ行ってしまい、もう一人は結婚していました。
その男の奥さんは「うをがし」にやってきて、肉子ちゃんを「男を寝取った泥棒豚」と呼びぼこぼこにして…後日、肉子ちゃんが男から独身と言われ騙されていたことを知ると、肉子ちゃんと仲良しになりました。
菊子と喜久子の二人にとって、閉鎖的だけれど、なんだかんだ人を包んでしまうおおらかさのあるこの港はなかなか居心地の良いところのようです。
『漁港の肉子ちゃん』あらすじ「主人公喜久子」
肉子が「キクりんはほんまに可愛い」というとおり、主人公喜久子は大きな瞳、ちいさく尖った鼻、薄い桃色の唇、自然のままでカールした茶色の髪、白い肌。男の子のようにやせている。
お母さんの肉子ちゃんとは全然似ていません。
シンプルでシックな洋服を好む可愛い「キクりん」は、男の子たちの注目を集めています。
二人が住んでいるのは、店のご主人「サッサン」所有の小さな平屋。
小さな庭がついているところが喜久子のお気に入り。
四六時中焦っているトカゲ。「遅れる遅れる遅れる約束ないけれどもー」
ヤモリは貫禄がある。「湯気は邪魔にならない。邪魔だとも思わない」
「不思議の国のアリス」みたいだね?
肉子が仕事に出て行ったあと、一人の時間にはヤモリも湯気も家具も、いろいろなものが喜久子とおしゃべりしてくれるのです。
『漁港の肉子ちゃん』あらすじ「漁港の人々」
鍵屋のマキさんは東京から故郷に帰って来た素敵な女性。
ペットショップの主人は動物が大事すぎてなかなか売らない。
まーさかこのポメちゃまに癒してもらおうら思ってるんらねか!動物が簡単に人間を癒すと思うら大間違いらて!ポメちゃまだって、生きてるんだっけ、寂しかったら泣くぞ。腹減ったら泣くぞ、ちっちぇすけきゃんきゃん甲高ぇし、癒されるどころか、眠られねんだぞ!
ペットショップかねこ 店主 金子
港にはいつも三人の老人がいます。
いつも海を向いて座って煙草を吸いながら話しているのです。
それは幽霊。他の人には見えない幽霊なのです。
…三つ子は、夜に泣く。
『漁港の肉子ちゃん』あらすじ「学校で」
網本の家のマリアちゃんと仲良くしたり離れたり、変な顔する男の子、二宮が気になったり。
バスケットボールに夢中になったり、クラスメイトとお祭りに行ったり。
学校の創立記念日には、肉子ちゃんと喜久子は隣町の水族館にペンギンやイワシを見に行きます。
このペンギンにまつわるストーリーも物語に深みをそえているのよね
クラスメイトと東京からモデルの撮影に来ているのを見に行き、カメラマンに淡い恋心を抱いてしまうことも。
運動会に肉子ちゃんが登場すると、注目の的となり笑いの渦を巻き起こしてしまうのです。
港町の穏やかな暮らしの中で、「早く大人になりたい」と願ったり、「大人になりたくない」と思ったりする喜久子です。
『漁港の肉子ちゃん』あらすじ「喜久子の出生の秘密」
肉子ちゃんと全然似ていない喜久子は幼いころから自分のお母さんは肉子ちゃんではないと思ってきました。
喜久子の盲腸騒動から、出生の秘密が明かされます。
本当のお母さんがいること。
最近は、本当のお母さんと肉子とは連絡を取っていること。
それらのことを知っても、やはり喜久子は肉子ちゃんが大好き。
肉子ちゃんは喜久子が大好きなのでした。
『漁港の肉子ちゃん』あらすじまとめ
強烈なキャラクター肉子がボケ役、11歳の喜久子がツッコミ役という大阪らしいノリで進められる喜劇ですが、少女の繊細な心の動きが小さな漁港の自然と共に描かれます。
友人たちとともにゆるやかに大人になって行く主人公も、彼女たちをとりまく地域の人たちも魅力的です。
西加奈子さんの小説を、ぜひ手に取ってみてください。
作中で喜久子が読んでいる名作小説も、懐かしく、また読みたくなってしまうかもしれません。