『文豪ストレイドッグス』江戸川乱歩の『超推理』が異能でないことは、作中でも明らかになっています。
では、なぜ本人は「異能である」と言い張るのか?
『超推理』で必ず掛ける眼鏡はどういう代物なのか?
この2点をご紹介します。
『文豪ストレイドッグス』39話 江戸川乱歩の過去
江戸川乱歩の父は『千里眼』として名前を知られた名刑事でした。
乱歩は、父の遺言で、横浜の寮付きの警察学校に入学しましたが、規則にうるさい、授業が退屈な学校で、人間関係が破綻して追い出されてしまいました。
その後、軍の屯所で住み込みをすれば所長の横領を暴き、建設現場の使い走りでは上下関係が面倒になり、郵便配達の仕事に就いたときは手紙の中身を見る前に不要なものを捨てていたらクビになってしまいました。
乱歩は自分の特別さに全く気付いていない、14歳の少年だったのです。
『文豪ストレイドッグス』39話 江戸川乱歩の福沢諭吉との出会い
福沢諭吉と乱歩は、偶然に出会いました。
福沢は『五剣』と呼ばれる剣客でしたが、剣をふるう意義に疑問を覚え、政府の仕事を辞め、警備員の職に就いていたのです。
警備の仕事の依頼主が殺され、現場へ行くと、その会社に就職希望の少年がやってきたのです。
一風変わったその少年に、その場で鮮やかに殺人事件の犯人を言い当てられ、福沢はねだられるまま9杯の善哉を奢ります。
その少年こそ、江戸川乱歩だったのです。
『文豪ストレイドッグス』39話 江戸川乱歩の推理力に気づく福沢諭吉
次の現場である劇場では、殺人予告がされていました。
現場に向かいながら、乱歩はしゃべりっぱなしです。
福沢は乱歩に福沢自身の前歴ー好戦派の官僚やそれに癒着していた海外の軍閥の粛清-を言い当てられ動揺してしまいます。
乱歩に両親から何か聞かされていないか確認すると、乱歩の父の遺言は
「将来お前は父さんや母さんを超えた人に称賛される人間になるだろう、でも今はその時ではない。謙虚に沈黙しなさい。図に乗らず、ただ見て、知ってしまったことでだれかを傷つけないようにしなさい」というものだったそう。
福沢は、乱歩の才能を確信し、同時に他人と違う才能に恵まれてしまった少年、他人が自分と違うことがわからない少年の生きづらさを理解してやるのでした。
『文豪ストレイドッグス』江戸川乱歩の異能:「お前は異能者だ」
福沢諭吉は、乱歩の才能を制御するための方法を思いつきました。
「お前は異能者だ。お前の能力は『一瞥しただけで真実を見抜く能力』。」
「お前が苦しいのは、他人が怪物のように映るのは、お前の異能の所為だ」
福沢にそう言われたことで、初めて乱歩は「自分がわかることをみんながわかるわけではない」ことを知るのです。
小さいうちに両親を亡くして、そのあとどこへ行っても受け入れられることがない……」乱歩は苦労してたんだな!
周りに親しい人もいなくて、自分の特別さにも気づけなかったってことか!
『文豪ストレイドッグス』39話 江戸川乱歩の眼鏡
そして、「その異能を制御する方法を教えてやる。」とたまたま懐にあった眼鏡を与えます。
「京の都にて、さる高貴な血筋の方から下賜された装飾品だ」
本当は、近所の雑貨屋の売れ残りです。
「これを身につけるとお前の異能が発動し、たちどころに真実を見抜くことができる。
逆に掛けていないときは他人の愚かさも気にならなくなる。」
そして、乱歩が眼鏡をかけようとするその瞬間、『喝!』と『遠当て(剣客の強烈な気合)』を当てます。
たまらず気絶した乱歩に、福沢はこう言います。
「眼鏡がお前を受け入れた。これで異能の力を制御せよ。今日この時よりお前は異能探偵・江戸川乱歩だ。異能で真実を切り裂け。闇に隠れた悪を薙ぎ払え。お前にはそれができる。お前は世界一の名探偵なのだから」
「他人は怪物ではない。お前より莫迦なだけだ」
「世間はただ愚かなのだ。ものの見方を知らない幼児なのだ。」
乱歩は今までの苦しみは、周りが何も判っていなかっただけと理解し、明るい表情になります。
「愚かな幼児ならばーーー守ってやらなくては!」
『文豪ストレイドッグス』39話 武装探偵社異能開業許可証
劇場での事件を見事解決して見せた乱歩は、敵に捕らわれますが、そこへ福沢が助けに行き、危機一髪で救い出します。
その後、すっかり有名になった乱歩には事件の依頼が舞い込みますが、福沢のほうには閑古鳥が鳴くようになってしまったのです。
事件の手がかりから、乱歩の父の友人・夏目漱石にたどり着き、福沢は「異能開業許可証」を願い出ます。
横浜の武装探偵社の、それが第一歩でした。
『文豪ストレイドッグス』江戸川乱歩の異能と眼鏡!誰から貰ったもの?まとめ
乱歩の生まれ持った推理力は、幼い乱歩を社会からはみ出させる苦しい能力でもありました。
偶然出会った福沢諭吉が、乱歩を理解し、乱歩の力をコントロールできるよう眼鏡を与えました。
その後、乱歩の能力を社会を守るために活用できる器として、武装探偵社を作ったのです。
出典:『文豪ストレイドッグス 探偵社設立秘話』朝霧カフカ著 角川ビーンズ文庫
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