Night And Dayはコール・ポーターの代表作の一つです。
たくさんの演奏家に選ばれ、いつまでも愛され続けるこの曲の魅力は、美しいメロディはもちろんのこと、ロマンティックで、上品で、でも独特の表現で書かれた歌詞にもありそうです。
この曲にはいったいどんな思いが込められているのでしょうか?
作詞・作曲したコール・ポーターについても調べてみました。
Night And Day 歌詞和訳
Night And Day Cole Porter (1932年)
<Chorus(主題)>
Night and day, you are the one…
<和訳・ヴァース(前歌)>
ジャングルの夕暮れ時にどこからか聞こえてくる太鼓の音みたいに
居間の大時計のチクタクいう音みたいに
夕立の後の雨だれの音みたいに
いつまでも続く僕の心の中の声は
you、you、you・・・
<和訳・コーラス(主題)>
夜も昼も あなたのことばかり想っている
月の下でも 太陽の下でも
近くにいても 遠くにいても
あなたがどこにいてもね。
昼も夜も どうしてかな
どこへ行っても あなたのことばかり
都会の雑踏の中でも 一人の部屋の静寂の中でも
あなたのことを想ってしまう。
夜も昼も 隠そうとしても
どうしようもなくつのる想い
この苦しいほどの想いに終わりはない
あなたが
僕の人生をかけてあなたを愛することを
受け入れてくれるまでは。
昼も夜も。 夜も昼も。
Night And Day を書いたコール・ポーターってどんな人?
この曲を書いたCole Porterはこんな人!
1.アメリカ人の御曹司
1891年インディアナ州ペルーに生まれる。
6歳からバイオリンと8歳からピアノを習う。
お父さんは州で1番の高額納税者というリッチな家庭のようです。
1912年イェール大学グリークラブで活動し、曲を提供していました。大学時代に300曲もの曲を書いたと言われています。
しかし、イェール大学卒業後、ハーヴァード大学へ進学します。
農場を経営する大富豪だった祖父が、コールを弁護士にさせたいと考えていたからです。
コールはハーヴァード大学で法律を学びましたが、結局音楽への思いを断ち切れず、退学して音楽家への道を進みます。
ニューヨークで作詞作曲の仕事をはじめ、1915年にはショーに採用された歌もありましたが、成功はしませんでした。
やがて第一次世界大戦が始まり、アメリカが参戦すると、コール・ポーターは義勇兵に志願してヨーロッパへ渡ります。
2.パリで生活していた
パリへ渡ったコール・ポーターは、社交界に出入りしパーティーで音楽を披露しつつ華やかに暮らしていました。
このころは、たまに曲を書くくらいで仕事らしい仕事はしていなかったのに、そんな生活ができたのは、祖父の遺産、推定100万ドルを受け取っていたからです。
1918年リンダ・リー・トーマス(1883年生まれ)と知り合います。離婚して傷ついた心を癒しにパリに来ていたリンダと意気投合し、やがて愛し合うようになります。
3.ゲイなのに年上女性と結婚した
しかし、実はコール・ポーターは同性愛者だったのです。当時はタブーだったそのことを知っても、リンダはコールを受け入れ、二人は1919年に結婚します。
コール・ポーターの書いたラブソングの数々はリンダに捧げられたものです。
4.コール・ポーターの才能に惚れこんだ妻のやることがスゴイ
自らも富豪の娘であったリンダは、コールに、なんと巨匠イゴール・ストラヴィンスキーのレッスンを受けさせようとします。
また、1923年には二人はベネチアで暮らしています。
ヨーロッパの貴族文化を肌で感じさせようと考えたリンダは、宮殿を借りてそこで生活を始めました。家賃は推定月に600万円以上だったそうです。
パリに戻ると、当時アメリカでもっとも人気があった作曲家アーヴィング・バーリンを招待し、二人を引き合わせたのです。
バーリンもまたコールの才能に惚れ込み、さっそくブロードウェイ・ミュージカルの仕事を紹介してくれたのです。こうして、彼は再び、アメリカに戻りショービジネス界に復帰することになったのです。
5.アメリカに帰ってきたコール・ポーター
1928年以降、「Let’s Do It」「5千万人のフランス人」「The New Yorkers」と、立て続けにヒットを飛ばし、一躍彼の名はアメリカ中に知られることになりました。
1932年「陽気な離婚」のために書かれたのが、今日取り上げた「Night And Day」です。
1935年に彼はハリウッドに移住し、1936年には映画「踊るアメリカ艦隊」に「イージー・トゥ・ラヴ」等を提供し、映画音楽の分野にも進出しました。
6.乗馬で足にけがをする
1937年10月に落馬事故で両足骨折。20ヶ月も入院し、その後30回も手術を繰り返す大怪我でした。後遺症に苦しみながら、ミュージカルや映画の歌曲を書き続けます。
その間ずっと彼を支え続けたのもケイトでした。
7.名曲を山ほど書いた
曲名 | 発表年 | ミュージカル、映画 |
Love For Sale | 1930 | The New Yorkers |
Night And Day | 1932 | Gay Divorce |
Anything Goes
You’re The Top I Get A Kick Out Of You |
1934 | Anything Goes |
Begin The Beguine | 1935 | Jubilee |
Easy To Love
I’ve Got You Under My Skin |
1936 | Born To Dance |
In The Still Of The Night | 1937 | Rosalie |
Get Out Of Town
My Heart Belongs To Daddy |
1938 | Leave It To Me |
You’d Be So Nice To Come Home To | 1942 | Something To Shout About |
I Love You | 1943 | Mexican Hayride |
So In Love | 1948 | Kiss Me Kate |
I Love Paris | 1953 | Can-Can |
All Of You | 1954 | Silk Stockings |
True Love | 1955 | High Society |
題名を見るだけでメロディが浮かんでくる歌がたくさんありますね!
まとめ
貴族のような華やかな生活にスポットライトが当たっていた彼の人生でしたが、怪我に苦しみながらも名曲を書き続けていたことがわかります。
コール・ポーターの人生をさらに輝かせてくれた女性との出会いがあり、彼女への愛と感謝が1曲1曲に込められていると思うと、改めてこれらの曲をじっくり聴いてみたくなります。