『鋼の錬金術師』に登場するスカーは一連の国家錬金術師殺篠容疑者としてエルリック兄弟の前に現れます。
名前は明かされず、顔に大きなバッテンの傷があるためスカー(scar=傷跡)と呼ばれています。
これからスカーの傷がついた理由を詳しく解説していきます。
『鋼の錬金術師』スカー初登場シーン!
国家錬金術師である “鋼の錬金術師” エドワード・エルリックは鎧の弟、アルフォンス・エルリックと旅をしています。
幼いエドとアルは、亡くなった母を生き返らせようと禁断の錬金術を発動し、そのためエドは右腕と左足、アルは全身を「持っていかれ」てしまいます。
失われた二人の身体を取り戻すため、兄弟はその方法と『賢者の石』を探しているのです。
生体錬成に詳しい錬金術師ショウ・タッカーを訪ねた兄弟は、タッカーの生体錬成の忌まわしい秘密に気付きます。タッカーは自分の妻や娘を動物と合成しキメラを作っていたのです。
そのことに気づいたエドがショックを受けている間に、タッカーは傷の男=スカーによって殺害されていました。
スカーはタッカーの娘とペットの犬で造られたキメラを見て憐れみを覚え、元に戻す方法がないことを悟るとせめて安らかに、とキメラを安楽に葬ります。
その後神に祈りを捧げ雨に打たれ続ける姿は悪人には見えないものでした。
しかし鋼鉄の義手と分かると、次の瞬間にはバラバラに分解してしまうのです!
国家錬金術師を狙って襲ってくるスカーは不気味な存在だったよね!
そうそう!目的がわからないから余計怖いよね
『鋼の錬金術師』スカーは何者?
スカーは褐色の肌に赤目の『イシュヴァールの民』です。
13年前、アメストリス軍による『イシュヴァール殲滅戦』で多くの罪のないイシュヴァール人が犠牲になりました。
スカーは屈強な武僧でしたが、市街地に一般市民を囲い込み、一方的に猛攻撃を仕掛けるアメストリス軍には太刀打ちできません。
この時アメストリス軍には、軍所属の国家錬金術師が多数協力していました。
スカーの兄は人々の平和のために錬金術とシンの錬丹術を学んでいたため、錬金術の理不尽な使い方はスカーにとって許しがたいことでした。
この時からスカーは、錬金術を人を傷つけるために使った国家錬金術師に恨みを持つようになります。
理由がわかると悲しいよね……
キンブリー嫌な奴すぎる!
『鋼の錬金術師』スカーの傷はなぜついた?
『イシュヴァール殲滅戦』で、 “紅蓮の錬金術師”キンブリーはスカーと兄、仲間たちを攻撃します。
スカーの額の傷はこの時ついたものです。
スカーの兄は、激しい爆発により右手を失った弟・スカーが気絶している間に、自らの右腕を与え息絶えます。
意識を取り戻し兄の死を知ったスカーは、アメストリス人に対する恨みから、その場で人命救助を行っていたアメストリス人の医師夫妻を殺害してしまいます。
兄者が立派な人だけに、怒りも大きいんだね
『鋼の錬金術師』スカーの右腕の秘密?
スカーの兄はシンの錬丹術と錬金術を組み合わせた術を研究して、右腕に分解・左手に再構築の錬成陣のタトゥーを入れていました。
兄の右腕を受け継いだスカーの右腕は「破壊の右腕」と呼ばれています。
錬金術は理解・分解・再構築という順番で行われますが、スカーの場合あらゆるものを分解、破壊するだけなのです。
物語の後半、変わっていくスカーが見られるよ!
『鋼の錬金術師』スカーとロックベル医師の関係
ウィンリィ・ロックベルはエドとアル兄弟の故郷・リゼンプールの機械鎧(オートメイル)技師の少女です。
エルリック兄弟とは兄弟同然に育ち、エドが右腕と左足を失ってからはエドの機械鎧を作り、メンテナンスも担当しています。
スカーが意識を取り戻し、衝動的に殺してしまった医師夫妻こそ、ウィンリィの両親だったのです。
現代の場面で、その事実を知ったウィンリィが思わずスカーに銃を向けた時、スカーは
「ただし撃てばその瞬間に己れはおまえを敵とみなす」とも言います。
ウィンリィは引き金を引くことができません。
そんなウィンリィをとっさにかばうエドの姿に、スカーは自らの兄者の姿を重ねるのです。
一難去った後、エドはウィンリィに「おまえの手は人を殺す手じゃない。人を生かす手だ」と優しく告げるのです。
『鋼の錬金術師』スカーのその後
スカーはエドをはじめ多くの錬金術師と触れ合いつつ、兄の遺した研究をずっと続けていました。
そして独裁者たちの勢力に立ち向かうエドたちに共感するようになり、その左腕に「再構築」の錬成陣をみずから刻み、力強い味方になっていくのです。
『鋼の錬金術師』スカーの傷はなぜついた?まとめ
スカーの額の傷は、13年前のイシュヴァール殲滅戦でアメストリス軍の “紅蓮の錬金術師”キンブリーによってつけられたものです。
この時スカーは右腕と敬愛する兄をも失ってしまいました。
些細なきっかけで祖国を蹂躙され、大切な物を失ったこの時の、アメストリス軍および国家錬金術師に対する怒りと恨みが冒頭のスカーの行動の理由です。
戦争の恐ろしさと愚かさ、またその戦争を仕組む人間が存在することの脅威を感じますが、このような状況下でも成長していくスカーの姿を頼もしく感じます。
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