『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』という映画は、カンフーとマルチバースが融合したSFアクションコメディ映画です。
アカデミー賞の候補に最多ノミネートされ、大変評判の高いこの映画。
主題歌、あらすじ、キャストと評価をご紹介します。
映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』主題歌
『This is A Life』は、3ピース・バンドサン・ラックス、ニューヨークを拠点に活動する日系アメリカ人シンガーソングライターmitski、元トーキング・ヘッズのデヴィッド・バーンによって制作されたオリジナル曲です。
マルチバースのカオスに叩き込まれた本編の後、エンドロールでこの曲が流れるのですが、まったりしたテンポのヴォーカルが体にしみこむように感じられます。
This is a life、映画を観終わったあとの感慨に浸ってしまう曲です。
映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のあらすじは
エヴリン(ミシェル・ヨー)は、コインランドリーを営む中年女性。
店の経営、税金の申告、中国からやってくる父親のためのパーティを企画したことが重なり、夫のウェイモンド(キー・ホイ・クァン)とまともな会話をする時間もありません。
ウェイモンドがエヴリンに手渡した不思議な装置は、マルチバースの世界にアクセスできるものでした。
エヴリンは、異世界でのカンフーマスター、女優、歌手などなど、様々な「自分」を体験します。
そして、いつも隣にいてくれるウェイモンド、娘のジョイ、父や周囲の人々との絆に気づき、自分の中にある力に気づくのです。
この映画はマルチバースのアクション映画であり、カンフー映画であり、上質のコメディでもあります。
そんなカオスの中で徐々に浮かび上がるのが家族の物語であり、人と人とのつながりの物語なのです。
映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のベーグルは何を象徴しているのか?
「すべてを乗せたベーグル」は黒い輪の形。
税務署の監察官が領収証に黒々と丸印をつけるのも黒い輪です。
まるで宇宙のブラックホールのように、すべてを飲み込み無に帰してしまうものの象徴でしょうか。
しかし、ベーグルに吸い込まれないように家族が手をつなぐとき、それはすべての始まりのようにも見えました。
この映画にはもう一つの黒い丸が出てきます。
エヴリンが銃で撃たれたと覚悟した時、まるで『マトリックス』の世界のように弾丸は彼女の手前で止まっていました。
エヴリンが手に取ると、弾丸はおもちゃの目玉に変わり、暴力ではなく笑いをまき散らすのです。『エブエブアイズ』と呼ばれているこの目玉を額に貼り付けたエヴリンは無双状態!
この目玉は「白い丸に黒目」。ベーグルの逆の色使いにも見えます。
映画の冒頭では多忙を極め心を亡くしていたかのようだったエヴリンは、「親切にしよう」「貴重な時間を大事にしよう」と語るようになっていきます。
これこそが目玉効果では?
終わりと思われたところからの新たな始まりであり、新たな気づき、目覚めであるとも言えるでしょう。
映画パンフレットの表紙には立体の目玉シールが!カワイイ。
映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のキャスト
ミシェル・ヨー:エヴリン・ワン
ステファニー・スー:ジョイ・ワン/ジョブ・トゥバキ(エヴリンの娘)
キー・ホイ・クァン:ウェイモンド・ワン(エヴリンの夫)
ジェームズ・ホン:ゴンゴン(エヴリンの父)
ジェイミー・リー・カーティス:ディアドラ・ボーベアドラ(税務署の監察官)
タリー・メデル:ベッキー(ジョイのガールフレンド)
ジェニー・スレイト:ビッグノーズ
ハリー・シャム・Jr:チャド
監督・脚本:ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート(ダニエルズ)
映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の評価
この映画の評価は、非常に高いです。
例えばシネマトゥデイの記事では、この映画を「マルチバースとカンフーが融合したカオスな世界観の異色作」と評しています。
また、エイガドットコムの記事では、湯浅政明監督が本作について「多くのアジア映画へのラブレターでもある」と語っています。
さらに、MSNニュースの記事は、この映画が全米映画俳優組合賞で最高賞を含む4部門を受賞したことを報じています。
映画『エブエブ』アカデミー賞ノミネート一覧
米アカデミー賞では、なんと10部門に11ノミネートされ、映画好きの間でも大きな話題となりました。
内容は以下の通りです。
作品賞:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
監督賞:ダニエルズ
主演女優賞:ミシェル・ヨー(受賞すればアジア人初)
助演男優賞:キー・ホイ・クァン(グーニーズ、インディ・ジョーンズ2の子役でも活躍!)
助演女優賞:ジェイミー・リー・カーティス、ステファニー・シュー
脚本賞:ダニエルズ
歌曲賞:サン・ラックス、mitsuki、デヴィッド・バーン
作曲賞:サン・ラックス
衣装デザイン賞:シャーリー・クラタ
編集賞:ポール・ロジャース
様々な視点から高い評価がされていることがわかります。
映画館で鑑賞すると、サン・ラックスの音楽が非常に印象的で、ノミネートもうなずけると感じました。
映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の撮影場所
この映画は、主にアメリカのロサンゼルスで撮影されました。
また、一部のシーンは香港や台湾でも撮影されました。
撮影期間は約2ヶ月だったようです。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』あらすじとキャスト、アカデミー賞ノミネートなどまとめ
話題の映画『エブエブ』のあらすじ、キャスト、アカデミー賞ノミネートの内訳をご紹介しました。
また、作品の中で登場するベーグルや、『エブエブアイ』と呼ばれる目玉シールが象徴するものについて考察してみましたが、皆さんは映画を観てどのような印象を持たれるでしょうか?
SFアクション、カンフー、コメディの映画なのにもかかわらず、ラストでは家族愛に感動するというまるで『全部のせ』みたいな欲張りな映画です。
アジア人のバイタイリティと温かい人間性も感じられ、自分も「人に親切にしよう」「貴重なひと時を大切にしよう」という気持ちになれました。
【関連記事】
『エブエブ』レビュー|ミシェル・ヨーはリアル超セレブって知ってた?
コメント