海外ドラマ『SHOGUN将軍』がエミー賞18部門に続きゴールデングローブ賞4部門を受賞しました。
この作品の原作は『将軍』ジェームズ・クラベル著(扶桑社)。
外国人の描いた日本、そして武士道。
1980年にドラマ化されており、2024年真田広之プロデュース、主演による作品は、このリメイクになります。
SHOGUN将軍 第一話『安針』 あらすじネタバレ
時は1600年。
日本では太閤(モデルは豊臣秀吉)が幼い世継ぎを五大老に託して亡くなりますが、五大老の中でも石堂 和成(モデルは石田三成)が、まずは吉井 虎永(モデルは豊臣秀吉)を失脚させようと策を弄しています。
さて1600年、新大陸を求めて出航した5隻のオランダ船の最後の一隻、エラスムス号。
操舵手ジョン・ブラックソーン (コスモ・ジャーヴィス)は、日本にたどり着くことを諦めず、壊血病にかかった12人の船員を率いて、エラスムス号を動かし続けます。
そして、船はついに網代に漂着しました。
当時日本には、ポルトガル人宣教師がすでにカトリックの布教に来ていたんだ
イギリス人のジョン・ブラックソーンは、スペイン・ポルトガルと対立しているオランダ船の操舵手に雇われ、違法に入手したマゼラン海峡の地図を使って日本にたどり着いたんだな
網代の武士・樫木央海(金井浩人)は船員たちを手荒に扱い、船外へ追いやります。
鷹狩りを楽しむ吉井虎永 (真田広之)親子が向かうのは、大阪城です。
大阪城で権勢をふるうのは石堂和成で、虎永を除く四大老で結託して、吉井を陥れるつもりです。
石堂の振る舞いを『非礼』となじった虎永の家臣・宇佐見忠義(高尾悠希)とその子の命はありません。
まず石堂は、江戸に人質として引き留められている落葉の方(二階堂ふみ)を大阪に帰すよう申し付けます。
「落葉の方という人質を取り戻せば、石堂は虎永を亡き者にしようとする」と主張する忠臣・戸田広松に、「網代へ行け」と命じる吉井です。
網代では漂着した船を曳航し、伊豆の領主・樫木 藪重に見せます。
仲間だけは解放してくれと頼むジョン・ブラックソーンですが、樫木 央海は彼らを乱暴に扱いますい。挙句に村人を通りすがりに斬り捨て、残虐性をむき出しにします。
藪重とジョンの通訳を申し付けられたカトリックの宣教師に対し、プロテスタントのジョンはあえて敵愾心を見せ、怒らせます。
宣教師はジョンを「略奪戦に乗ってきた海賊」と呼び、ジョンは「日本はポルトガルの宝物庫だ」と言います。
藪重は船と積み荷を召し上げると宣言し、このままでは処刑されると考えたジョンは、宣教師の十字架を奪い、踏みつけて破壊し怒りを見せます。
理由を知りたくなった藪重は、ジョンを保護するよう申し付けます。
また、オランダ船の船員一人を浜辺で釜茹での刑で処分することを楽しんでいたのでした。
網代の民家で目覚めたジョンは障子・着物・風呂など、日本の文化を知り始めます。
藪重にオランダ船の積載している武器について進言した央海ですが、彼らの前に戸田 広松が現れ、すべてを押収していきます。間者の存在に気づく藪重。
ジョンは虎永に会うため、大坂へ連れていかれます。
嵐を乗り越えて大阪に着いたジョンは、通訳を務めるキリシタン・鞠子に紹介されるのです。
虎永の間者は、キリシタンの村治であったことが映像で示されます。
SHOGUN将軍 第一話『安針』 キャスト一覧
登場順にてご紹介します。
役名 | モデルとなった人物 | 俳優 | 備考 |
ジョン・ブラックソーン | ウィリアム・アダムス/三浦 按針 | コスモ・ジャーヴィス | 網代に漂着 |
樫木 藪重 | 本多 正信 | 浅野 忠信 | 網代藩主 |
樫木 央海(おうみ) | 本多 正純 | 金井 浩人 | 藩主の甥 |
吉井 虎永 | 徳川 家康 | 真田 広之 | 五大老の5 |
吉井 長門(ながかど) | 松平 忠吉 | 倉 悠貴 | 虎長の息子 |
石堂 和成 | 石田 三成 | 平 岳大 | 五大老の1 |
木山 右近定長 | 小西 行長 | 井田 裕基 | 五大老の2 キリシタン |
杉山 如水 | 前田 利家 | 戸田 年治 | 五大老の3 |
大野 晴信 | 大谷 吉継 | 黒川 武 | 五大老の4 キリシタン |
戸田 広松 | 細川 藤孝 | 西岡 徳馬 | 吉井虎永の忠臣。藤の祖父 |
宇佐見 忠義 | 高尾 悠希 | 吉井虎永の忠臣。藤の夫 | |
戸田 鞠子 | 細川 ガラシャ | アンナ・サワイ | 明智光秀の三女。キリシタン |
落葉の方 | 淀君 | 二階堂 ふみ | 秀俊の側室。世継の母 |
宇佐美 藤 | 穂志 もえか | 宇佐美忠義の妻 | |
中村 八重千代 | 豊臣 秀頼 | セン・マーズ | お世継ぎの君。7歳 |
お菊 | 向里 祐香 | 遊女 | |
大蓉院 | 高台院/ねね | AKO | 太閤の正妻 |
ロドリゲス司祭 | ネスター・カーボネル |
SHOGUN将軍 第一話『安針』 史実との関連
これってフィクションなの? 実話なの?
その関連性を紐解いていきます。
ウィリアム・アダムズ=三浦按針は実在の人物
ウィリアム・アダムズ(1564年9月24日~1620年5月26日)は実在する人物です。
江戸時代初期に徳川家康に外交顧問および通訳として仕えたイギリス人の航海士、水先案内人、貿易家。
1598年、オランダ・ロッテルダムから出航したホープ号に乗り込み、途中リーフデ号に乗り換え。ヘローフ号、トラウ号、ブライデ・ボートスハップ号の5隻でマゼラン海峡を抜けて極東を目指していました。リーフデ号1隻のみが日本にたどり着いたのはドラマ『将軍』のとおりです。
日本で結婚し、息子ジョゼフと娘スザンナをもうけています。
吉井虎長は徳川家康がモデル
白馬にまたがり鷹狩をする吉井虎永は、葵の紋の馬印を掲げています。
関ケ原前の、徳川家康を表しているんですね。
戸田鞠子は明智光秀の娘・細川ガラシャ
明智光秀の三女・玉は細川忠興に嫁ぎました。
1582年本能寺の変の後、明智光秀の一族は誅殺されますが、忠興は玉と離縁することはせず、1584年まで彼女を丹後国の味土野(現在の京都府京丹後市弥栄町)に幽閉し、命を救いました。
1584年秀吉のとりなしで大阪の細川屋敷に移ると、カトリックに興味を持ち始め、1586年には洗礼を受けてガラシャという洗礼名を授かります。
1600年、忠興は徳川家康に従い、上杉征伐に出陣。
家臣には「もし自分の不在の折、妻の名誉に危険が生じたならば、日本の習慣に従って、まず妻を●し、全員切腹して、わが妻とともに死ぬように」と常に言い聞かせていたと言います。
石田三成がガラシャを人質に取ろうとすると、ガラシャは自分だけが命を捨てようと言い、クリスチャンは自●を禁じられているため家臣に命じて介錯させ、さらに爆弾を仕掛けて遺体が残らぬようにしました。
辞世の句は「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」。
SHOGUN将軍 第一話『安針』見どころ!
大阪城のセット
大阪城の巨大なセットは外観の巨大さ、さらに内装の美しい仕上げに目が離せません。
豪華な着物だけど帯がない
男性も女性も、「これでもか!」と言わんばかりの豪華な金襴緞子の着物をとっかえひっかえ見せてくれます!
合計2300着が製作されたということですが、気になるのが「帯がない?」こと。
現代では着物に負けずに贅を凝らす帯ですが、当時は細い紐のようなものを使っていたようで、もちろん時代考証に抜かりはありません。
現代に伝わる太い帯は江戸時代以降のものだったんですね!
知らなかった・・・
SHOGUN将軍 第一話『安針』名セリフ!
虎永が長男・長門に鷹を語る
「こ奴は太陽を背にして獲物の目をくらませる。
力を蓄え、襲い掛かるときを待ち構えておる。
相手は敵がすぐそばに居ることすら気づきもせん。
…では、参るとするか」
吉井虎長 『SHOGUN第一話』
虎長自身、慎重に時勢を見極め、恭順の仮面の下に野心を隠している・・・
鷹に託して自分の考えを語っているんだね。
鞠子が藤にかける言葉
虎長の家臣・宇佐見忠義 が石堂に対して『非礼』と暴言を吐いたため、忠義は切腹、子の命も絶たれます。
赤子を手放すくらいなら自害を、と懐剣を自らの首に向ける藤。
「死にたいお気持ち、ようわかりまする。
私も同じ思いをいたしました。
されど、その安らぎは求めてはならぬもの。
殿が生きよとご命じになった。
それが 藤殿の生きる意味ではございませぬか。」
戸田鞠子『SHOGUN第一話』
鞠子の父は明智光秀なので、織田信長への反逆のため、、
一族郎党根絶やしになったんだ。
一人で生きてきた鞠子を支えるのはカトリックの教えと、
主君への忠誠心だったのかも。
短刀を藤の手から放させた鞠子は、赤子を取り上げようとする男たちを一喝します。
「最後にこの子を抱くのは 母の手に。」
女性どうしならではの寄り添いだよねー
しかし、自室で一人になった鞠子は、十字架を手に取り
「神よ、お許しくださりませ。」と呟きます。
気丈に振舞っていても、心の中では自分自身の地獄が思い出され、また藤の身に降りかかったあまりにも残酷な運命に打ちのめされそうな気持だったんだろうな
藪重に命じられ央海が詠んだ歌
「そのまなこ 奈落のふちを彷徨いて 責め苦のほどを語るなりけり」
樫木央海『SHOGUN第一話』
前夜、浜で釜茹でにされたオランダ人の船員の声は、村人の心に暗い影を落としました。
領主である伯父に取り入りたい央海ですが、さすがにうんざりした顔をしています。
人には3つの心がある
「人には3つの心がある
1つ目は口の中 人に見せる心
2つ目は胸の中 友だけに見せる心
3つ目は見つからぬよう 隠してある秘密の心
生き残りたければ その心を誰にも見せるな
生き残ることができればいつか分かるだろう」
ロドリゲス司祭『SHOGUN第一話』
これも虎永の哲学のようだけど
原作小説を読むと、ジョン・ブラックソーンも、壊血病にならないように、分配された林檎をこっそり長持ちさせている周到さがあったりして、誰にも秘密があることを暗示しているように思えるね。
SHOGUN将軍 第一話『安針』まとめ
『SHOGUN 将軍』はディズニープラスの配信で視聴することができます。
超弩級スケールの娯楽作品ですが、登場人物の思考の表と裏、当時の社会情勢、史実との関係など深堀りしていくとりきりがないほどの多くの要素があります。
第1シーズンは10話で完結ですが、当然ながら第2シーズン関ケ原の戦いも制作が決定しています。
何度も繰り返し見直しながら、第2シーズンを楽しみに待ちましょう!
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